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平凡な私のどこに、奪い合う価値があるのでしょうか?  作者: 迦陵れん
最終章 飛翔

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最終話

 奏を孤独へ追い込んだ死灰栖は魔人ではなくなり、執拗にラズリを追い求め続けたルーチェは幼児がえりし、ミルドは本来の姿である青麻へと戻ったことで、とりあえずの大きな問題は全て片付いた。


 奏達が戦闘によって壊した城は元通りに修復され、ルーチェが魅了によって強制的に代替わりさせた王も何事もなかったかのように再び姿を現し、城に勤めていた者達の記憶も、ルーチェに出会う前までの状態へと改竄された。


 ただ一つ違うのは、ルーチェが国王の実子として、今後王宮で育てられることになったぐらいだ。


 だが、今はまだ幼児だから国王と似ていなくてもバレないかもしれないけれど、成長したらまず間違いなく顔の造形が似ても似つかないものとなるだろう。ラズリとしては、その一点がどうしても気がかりだった。


「国王の実子って……バレたらまずいんじゃない? そんな嘘ついて大丈夫なの?」


 王宮を後にしながら、ラズリは不安を感じて何度も後ろを振り返っていた。


 実際のところ自分にはもう関係ないし、どうなってもいいことではあるのだが、性格的に嘘が嫌いなため、どうしても気になってしまうのだ。


 幸いにも国王は独り身──王妃とは死別したらしい──であるし、髪と瞳の色もうまい具合にルーチェと同じではあるけれど、それにしたって顔の造形については、どうすることもできないわけで。


「あまりにも顔が似てなかったら、絶対バレると思うし……」


 そうなった時に大騒ぎしても、色々と手遅れになっているような気がする。それを分かっていながら放置するのはどうなのか──考え込んでいると、奏が明るい声で言ってきた。


「死んだ王妃の遺影を、天使の母親のものとすり替えておいたから大丈夫だろ」


 と、ものすごくいい笑顔で──。


「母親の遺影があいつの本当の母親だったら、成長した時にたとえ父親に全く似ていなかったとしても〝母親似“で片付けることができるだろ? 性格だって能力を奪う際に〝嫌なもの“が一緒に抜け出たおかげで、以前のように酷くは捻じれないだろうしさ。だから心配なんていらないって」


 後から分かったことなのだが、ルーチェの身体から抜け出た〝嫌なもの“は、彼が魔性の父親から受け継いだ能力だとか残虐性だとか、そういったものであったらしい。けれどそれが体内から消えたことで、次にまた彼が青年へと成長した際には善人になっている可能性が高いと、闇が言っていた。


 だったら自分にも魔性の血が……? 


 と不安を覚えたラズリに、しかし二人はすぐさまそれを否定してくれた。


 おそらくだが、ラズリはものすごく天使寄りの天使と人間の間の子、もしくは天使と天使の間に生まれた、純粋な天使である──と。


 でなければ自分とルーチェ、二人分の能力を身体に宿して問題なくいられるはずがないし、何より精神体になって行動するなんてことは絶対にできなかっただろうからと言われた。


 薄茶色の髪と瞳は、幼児期の天使の子供達の纏う色。


 それを大人になってもラズリが纏い続けていたのは、ひとえに奏が邪な考えを持つ者達からラズリを守るために封印を施していたから。


 つまり奏はラズリが幼い頃から、ずっとずっと守ってくれていたのだ。


「奏……ありがとう」


 いまだ長く伸びたままの奏の髪を軽く引っ張り、ラズリは小さな声でお礼を言う。


「ん? 何だって?」


 奏だって他の魔性に目をつけられないよう自分自身に封印を施す必要があるのに、彼はそんな自身に構わず、ラズリに封印をかけることを優先してくれた。結果、彼は今なお封印を解いた状態のままで、ラズリと王宮近くの森の中をゆっくりとした足取りで歩いている。


 さすがの奏も、今回は魔力を一気に消費し過ぎて、回復するのに若干時間がかかるのだと言っていた。


 そこまで私を優先してくれなくてもいいのに……。


 けれど、実際は心のどこかに『優先してもらえて嬉しい』という気持ちがある。


 これまでずっと生きてきて、失ってしまった村のみんなは自分に優しくしてくれたけれど、奏のように想いのこもった瞳で見つめてくれることはなかった。


 ラズリのことが大事だと、拒絶されたら命まで投げ出そうとしてしまうほど、重い愛で包んでくれたことはなかった。


 でも、奏は違う──。


「奏……」


 ラズリはそっと奏の首に両腕を回し、彼の顔を引き寄せる。


「ん?」


 どうしたのかと、ラズリが彼の頬に唇を近づけるタイミングで、奏が彼女の方を向き──。


 唇が、触れ合った。


「ちょっと奏……んんっ!」


 突如として強く抱きすくめられ、身動きが取れなくなるラズリ。


 何とか彼の腕の中から抜け出そうと暴れるも、自分から飛び込んできた小鳥──ラズリ──を簡単に逃がすほど、奏も馬鹿ではなかった。


 天使と魔性──お互い種族は違えども、ようやく心を交わした二人は、森の中で長い口づけを交わす。


 そんな二人を祝福するかのように、鳥達が空へ舞い上がったのだった──……。


 

 


【完】

─────────


これにて完結となります!


長い間お付き合いいただき、ありがとうございました!(最終章が長すぎて申し訳ありません……まさかこんなに長引くとは)


正直、話が長すぎて回収し忘れてる伏線や、謎があったりするかもしれませんが……そこはごめんなさいってことで謝罪しておきます。

もし忘れてても……どこにどう差し込んでいいのか分からないし……。


この小説は、ずっと未完だったのが気になっていたので、これでようやくスッキリできました。


本当はシリーズ化したかったのですが、私の文章力ではファンタジーは難しいと思い知り……挫けた次第です。


最後になりますが、こんなにも拙い小説を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!


次回からは恋愛もので頑張っていきたいと思います。


そちらも読んであげてもいいかな? と思ってくださった方は、是非是非読みに来てください!




 

 


  


  

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