とある兄妹(妹)3
私達兄妹は、この世界でも、前世の名前で呼ぶ事にした。それは、捨てた家族と2度と関わりたく無い気持ちからだった。
一応兄にこっちの世界の名前も教えて貰ったけど、なんかしっかり来ないんだよね。
私がそんな事を考えていたら、兄は納得が出来ないと騒ぎ立てていた。
「なんで、俺が誘拐の手助けをしなきゃなんねぇんだよ!」
「しょうがないでしょ!お兄ちゃんがクラウスって名前なのが悪いのよ!」
「意味わかんねぇよ!それにその名は捨てた!俺はケントだ!」
「ケントを名乗ってもこのイベントは必ず起こるのよ!起こってくれないとこのまま私達どうやって生きて行くのよ!」
「百歩譲って誘拐に手を貸しても、お前が人質になる事に同意出来るわけねぇだろ!」
「人質になっても助かるのよ!生ジル殿下を見れるチャンスなの!寧ろ邪魔すんな!私の1番の押し、この目に焼き付けたいと思うのは乙女心でしょーが!」
「わけわかんねぇよ!1番の押しなんてしらねぇーよ!兄として心配なんだよ!ちょっとはこっちの気持ちも汲みやがれバカ妹!」
私達は言い争い、結局は兄が折れた。
めちゃくちゃ睨まれつつ、作戦を兄に伝える。
もし、誘拐する相手がイザベラ様だった場合、兄は全ての責任を取らされて殺されてしまうので、その場合は逃げるようにと。
私は、捕らわれている場所が、エンカ様の所ではなくあの方だった場合、逃げ出す事にした。
そして、アイリーン様だった場合、そのまま逃げずに彼女と共に捕らわれ逃げ出すように伝える。
それこそ、命をかけて賊を倒せと伝えとく。
兄は不機嫌そうに頷いた。
なぜ、アイリーンって名前が出てくるんだっていってましたが無理矢理納得させた。
兄は一作目しか読まなかったみたいね。
さて、私の予想は当たってるかしら。私はニマニマと笑いながら、その時が来るのをじっと待った。




