八十三章「BE IN CAPTIVITY」
城の地下牢にフィーネは、繋がれていた。
「くっ!」
鎖を外そうと力を込めるが全く持って意味がない。悔しさに口元が歪む。魔力を吸収する鎖のせいでスペルギアダストの力も使えない。
「っもう!」
苛立ちのこもった声でフィーネは、鎖を乱暴に振った。
金属のぶつかり合う激しい音が辺りに響く。
「おやおや。乱暴はよくないよ。お嬢さん」
突然の声にフィーネは顔をあげる。
見ると牢のそとにひとりの男がいた。
見たところ、敵には違いない。フィーネは、その男を睨みつけた。
「誰?」その問いに男は、クスリと笑う。
「これは、失礼。僕の名前は、ヴェーガ。極秘魔隊の一人さ。あぁ。極秘魔隊ってのは、この魔界を治めるベルゼドゥード様の特別部隊の一つさ」
「・・・・魔界・・・・ベルゼドゥード・・・・」
フィーネは、訳が分からないと言うような顔をする。それを見てヴェーガは見下すような目をして、言った。
「まだ、状況が理解できないようだねぇ。まっ。仕方ないと言えば仕方ないけど・・・・」
そう言って、ヴェーガは、牢から離れて階段へと歩いていく。
「君には、私達の兵器実験に協力してもらうよ。魔力源としてね。」
「!?実験?何するつもり?協力なんてしないわ!」
フィーネの言葉を背にヴェーガは階段の登り始める。しかし、ふと足を止めて振り返った。
「そう言えば、君のお仲間達が君を助けようと必死になってたよ。まっ無駄なんだけどね」
「え?」
想わぬ言葉にフィーネは、かえって困惑する。それは、最後でなく最初の一言であった。
(カリア達もここに・・・・)
そう考えた途端力が湧いてくるような気がした。
ヴェーガが姿を消すと、フィーネは体内に魔力を集め出した。
来る時の戦いの為に
アグネは、空間の狭間にいた。その周りには、いくつもの魔法陣といくつもの異世界への窓がある。
「そろそろか・・・・」
アグネが呟いた瞬間、辺りの魔法陣達が一斉に赤黒く輝きだした。
それを横目に冷ややかな表情で真ん中の魔法陣に視線を移す。
「本意じゃないんだがな・・・・」
次の瞬間
カッ!!!!!
辺りが赤黒い光に包まれた。
そして、真ん中の魔法陣から一人の男が現れた。黒に金と赤のラインの入ったロープは羽織り、真っ白な髪を後ろで適当に束ねている。年齢は、50代ぐらいだろう。
その男は、ゆっくりと目を開いた。
「これは、驚いた。なぜガクラの関係者たる貴様が宿敵たるこの私を甦らせる?」
すると、アグネは冷たい目で男を一瞥し静かに答えた。
「久しぶりだなガソール。本意じゃないんだが頼まれてな。」
ガソールと呼ばれた男は、それを聞いてニヤリと笑った。
「私を甦らせるとは、よほどのことだな」
その言葉にアグネは真っ直ぐにガソールを見て言ってた。
「心配するな。今のガクラは、貴様なんぞ話にならんくらい高見へと上り詰めた。貴様は、ガクラに触れる事すらできんだろう。だが・・・・」
「だが?」
ガソールは、怪訝そうな顔になる。
アグネは、ゆっくりと続けた。
「貴様を今回倒すのは、ガクラでもアスロでも俺でもない。・・・・カリアと言う少年だ。」
それを聞いて、ガソールは、薄笑いを浮かべた。
「ほぅ。」
その声は、空間に静かに響き渡った。




