第77話 少女弟子②と女性弟子②の壱
滞在していた国を経ち、少女と女性は大勢の人に見送られたのだった。
「あそこまでの、基礎の基礎。しばらく繰り返せば問題なさそうね?」
「そうだね、リシア姐。私たちの教えたもので足りるかな?」
「ん~~。まあ、もう一度行くとかは伝えてあるし、それまでに精進していることを願うまでね?」
「だね」
第三世代のシェラスとリシアは、指導していた国を出て再び旅路を歩むことにしていた。
ある程度の技術。
そこを三か月くらいで無理やり叩き込んだものの、もともとの素質が高い料理人たちが多かったため、『基礎』は問題なく実行することが出来たのだ。
これが故郷のセルディアスでも『激マズ』のパンの時代を思い出すようなことでもしていたら、もっと時間を必要としていたかもしれない。リシアがはじめて彼らのパンをひと口食べたときは『素人ちょい』程度の力量と判断できたので、修正箇所がまだわかりやすかったのだ。
なので、無理難題を最初からふっかけ、ふた月程度で料理合戦のようなものをさせた。あれで、互いの闘志を奮い立たせねば、わずか三か月でも基礎を整えることは出来なかっただろう。
リシアとしては、故郷の養育機関の違いを思い知らされた感があるので、他国への指導は慎重にという師からのお達しの意味がようやく分かったほど。
「他の国の方がもっと酷い状態かもしれない。まだまだ旅は続くわよ?」
「そうだね! 今回がただラッキーだったかもしれないし、ほかの皆とも連絡取り合っていないから……皆どうしているかな?」
「そうねぇ?」
筆頭弟子のルチャルが一番気になるが、彼女のことだからひとりで長く滞在する可能性はある。一番の貧乏くじを引いたら、徹底的に矯正するまで、念入りに指導する可能性は考えてもすぐわかること。
彼女が一番幼いのに、自分にも厳しいくらい他人にも容赦しない。
その性格を兄弟弟子としてよくわかっているからこそ、相手のことが心配になるのだ。容赦なさ過ぎて、うまくついていけるかどうか。師にもやんわり指摘を受けていたルチャルのことだから、少しは加減しているといいものだが。
「ニンリーはホムラ皇国行ってそうだね?」
「そっちは遠慮しましょうか。半分あの国の血筋を持ってるあの子は、下手するとルチャル以上に容赦ないもの」
「想像つく!! 肉まんとか角煮まんはあの子のが美味しいもんね?」
「負けたくないけれど。向き不向きがあるというもの。そこは仕方ないわ」
ほかの兄弟弟子たちも元気でいてくれればいいけれど。使命を果たすのに、各国にちらばって『失われたレシピ』の復活を促していく。
祖がひとりでは出来なかったことを、娘である師に伝え、師が異能を弟子らに付与することが可能になったからこそ、この任務を遂行することが出来た。
何十年もかかったが、まだまだ世界の食事情は整っていない。
リシアも、シェラスも知り得ない国々の事情がまだまだ多いのだ。
次はどんな国に辿り着くのか。滞在していた国の陛下からの書状を手に、歩みを早めるのだった。
次回は木曜日〜




