九、最低の先へ
「うわ。今度はジメジメしたところなんだな」
「え?リルから聞いていませんの?カルカルダンジョンの第二層は、沼地帯ですわ」
「え?ソリュはリルから聞いていたのか?俺は、何も聞いていないけども…」
何で、ソリュにだけダンジョンの情報を?…そういや、俺は第二層の魔物情報だけ聴いた気がするな。あれか?また、重要な情報を忘れないように最重要な魔物の情報だけ俺に教えたと?・・・あり得るなあ。
「分かりましたわ!旦那様には、魔物との戦闘にだけ集中して欲しいと言う、リルからのメッセージですわ!」
「そ、そうだな。うん、そうに違いない」
そう言う事にしておこう、深く考えたら負けだもの。
「しかし、2層ともなれば他の探索者にも会うかと思ったけど…いないな」
「当たり前ですわ。第二層は、不人気エリアなのですわ」
「え?そうなの?」
「そうなのですわ。理由は…すぐに分かると思いますわ」
「そうか…それじゃあ、初めて戦う魔物が出る事だし、慣れるまでは腕組むのは禁止な?」
「・・・我慢しますわ」
「まあ、俺のすぐ後ろにいろよ?守ってやれなくなるからな」
「はいですわ♪」
「いや…後ろから抱き付かれたら動き難くなるだろ…」
「申し訳ございません!嬉しくて…つい♪」
嬉しさが抑えられませんって感じで、両手を頬に当ててもじもじするソリュは可愛い。だけど、命かかってるからね?マジで頼みますよ?振りじゃないからね?
「それじゃあ、行こうか」
「はいですわ♪」
「・・・いや、だから抱き付いたらダメだと…」
「ハッ!?条件反射で抱き付いてしまいましたわ♪今度こそ、気を付けますわ!」
・・・うん、最悪抱き付かれたまま迎撃出来るように頑張ろうか…パーティなのに、難易度上がってね?
しばらく進んでみたが、不人気の理由が分かった気がする。とにかく、地面がぬかるんでいて歩きにくい。ブーツも汚れるし、いざと言う時に足を取られそうで怖い。これは、わざわざこのエリアでは戦いたくないな。下手をすると、1層でトレント狩って2層は飛ばそうとかなりそうなくらいだな。まあ、トレントは3パーティ以上推奨なほど危険な魔物らしいが…あ、基本的に1パーティ5人らしいよ。俺たちは例外と言う訳だね、うん。
「この階層が不人気なのが分かったよ。この足場じゃ、いざと言う時に致命的なミスを誘発しかねないもんな」
少し、知的に語ってみた。俺も、やれば出来るんだぜ?
「それもありますけど、それよりも…戦闘になれば分かると思いますわ」
「ん?どういう…っと、噂をすれば影だな。2層初戦闘と行こうか!!」
ソリュと会話をしていると、殊更ぬかるんでいるまさに沼地からドロドロっとした魔物が現れた。まあ、名前はそのままドロドロなんだけども…
「うし!俺がやってみるからソリュはそのまま待機してくれ!」
「はいですわ!」
「おりゃ!先手必勝!!」
リルから聞いた限りだと、今の俺が苦戦するような魔物ではないはずだが、ソリュの言い分が気になった。そこで俺は、最初から全力で倒すべく、軽い飛び上がりからそのまま一刀両断の勢いで剣を振り下ろした。
「ん?手応えがなさすぎって!?ぎゃあああ!!?」
全力で斬り付けたドロドロは、大した手応えもなく倒せた。だが、やつは消え去る前に最後の足掻き?で全身の泥を四散させたのだ!?思い切り全身に泥を被った状態になった俺は、悲鳴を上げたわけだ。
「さ、さすが旦那様ですわ!」
そう言いつつも、いつものように抱き付いてこないソリュ。まあ、全身泥だらけの奴に抱き付こうとは思わなんだな。
「フッ、いつものように遠慮なく抱き付いて来て良いんだぜ?」
泥の鎧?と言う鉄壁の防御を得た俺は、ソリュを挑発してみた。いや、こんなセリフを言うと間違いなくソリュはどんな時でも飛びかかってきそうだからな…少しからかってみたくなったのだ。決して、説明してくれればここまで泥を被らずに済んだのに!とか思っての小さな逆襲ではないと明言しておこう!本当だよ?
「分かりましたわ!泥ごときで、私たちの愛を妨げる事は出来ないのですわ!!」
「へ?ちょっぉぉおおお!!?へぶぅ!?
「きゃあ!?」
説明しよう!!まさか、本当にソリュ飛び込んで来るとは思っていなかった俺は、全く心構えが出来ていなかったのだ。そこに、俺に対して溢れんばかりの愛情と言う燃料に火をつけたソリュが全身全霊の突撃を見せる。
するとどうなるか?答えは簡単だ。俺は、思いっきり押し倒された…つまり、沼地にザブーンでござる!!結果、俺たちはまさに泥人間と化したのだ。
「あははっ!旦那様ってば、全身泥まみれですわ♪」
「いや、ソリュもなんだけど?何が楽しいんですかね?」
「そんなの、旦那様と一緒だからに決まっておりますわ♪旦那様となら、どこで何をしていても楽しいのですわ♪」
目をキラキラさせながらそんな事を言うソリュ。全身泥だらけの色気のない状況なのに、何故かソリュが魅力的に見えた。きっと、俺とは違って今を必至に生きているからだろう。
俺はどうだ?魔物との戦いと言う一番重要な事を理由に、ソリュはおろか、リルとも必至に向き合っているとは言えない状態だろう。俺は・・・どうしたい?答えは簡単だが、難しい。リル…そして、ソリュ。言い訳を排除しよう。そして、今少しでも前に進まずにいたら、今後も動けないだろう。それなら…
「ソリュ、こんな状態だけど真面目な話をして良いか?」
「もちろんですわ♪」
目をキラキラさせたまま、俺の話を聞こうとするソリュ。いや、冷静になってみたら、泥だらけとは言え、女性に押し倒されたままする話かこれ?いや、こういう余計な事を考えるから言えなくなるんじゃ…ええい!勢いに任せないと出来ない情けない奴なのを認めて行くんだ!その先に!!
「ソリュ、どうやら俺には君が必要みたいなんだ。その…女性としての君が」
「旦那様!!」
「ストップ!うやむやにしたく無いから、もう少し我慢してくれ」
「分かりましたわ♪」
と言いつつ、目が爛々と輝いてますよ、ソリュさんや?ちょっと、話が終わった後が怖いけども…今さら引き下がれまい。
「ただ、俺は最低な奴らしく、リルを諦めたられたわけじゃ」
「もちろんですわ!リルを説得して私は第二夫人で問題ありませんわ♪」
「いや、そう言う事じゃなくてな?リルに告白してから…ソリュの思いをしっかりと受け止めたいんだ」
「つまり、旦那様の中でしっかりと覚悟を決めてくれたって事なんですの?」
「そう言う事だ。・・・3日だ、3日で初心者ダンジョンをクリアしてリルに告白する!!ついて来てくれるか?」
「もちろんですわ!!」
「ソリュ、告白が成功したら第二夫人として、リルに断られたら第一夫人として、俺のそばにいて欲しい」
「分かりましたわ!もう逃がしませんわ♪」
そう言って、泥だらけになろうと関係なく俺に力いっぱい抱き付いて来るソリュ。
「最低な告白だと思うんだが…良いのか?」
「もちろんですわ♪何度も言っておりますが、私の居場所は旦那様の隣リ以外ありえませんわ!!」
ズバッと言い切るソリュ。ここまで思いを寄せられたら、断れないよな…少なくとも、俺には。キープ宣言みたいな最低な発言をしているのに、一切の揺るぎを見せないソリュはすごいと思う。だから、期限を決めて俺は俺自身を追い込む。これくらいしないと、本気になれない自分が恥ずかしいが、それでもリルには全力で挑みたい。ここまで思ってくれている、ソリュのためにも…
「へくちっ!」
しばらく抱き合っていた俺たちだったが、ソリュの可愛らしいくしゃみで我に返った。
「こんな格好と体勢と場所でやる告白じゃないよな、すまない」
「問題ないですわ!想いが溢れてくるのに、場所は関係ありませんもの♪」
そう言って、にっこりと微笑んで来るソリュ。うん、泥だらけだと締まらないな…本当にごめんなさい。
「じゃあ、ここからは狩りの時間と行こうか」
「はいですわ!第二層の魔物を狩りつくすのですわ!!」
「やるぞおお!!!」
「やりますわ!!!」
と、意気込んだ俺たちの前に現れたのは、初顔合わせのヌッマー。ドロドロよりも、液体化が進んでおり、上手く急所の硬い場所を狙わないと倒せない厄介な魔物のはずだったが…
「今の私を止められる者はおりませんわ!」
と、テンションがMaxなソリュの魔法で爆散したのだった、南無。
その後、ソリュのまりょくが尽きるまで驀進は終わらなかった。うむ、テンションの上がり過ぎに注意って事ですね。
「旦那様!ゴーゴーですわ!!ファイトですわ!!!」
現在、俺一人で泥だらけになりながら戦っている。まあ、すでに二人ともどうにもならないくらいに泥だらけなんだけども。
「ふう…ソリュ、まりょくの回復状況はどんな感じだ?」
「余り回復している気がしませんわ」
「自然回復はするんだよな?」
「そのはずですけど、さすがに空っぽになるまで使ってしまったので時間がかかりそうですわ」
「倒れたもんな…」
「お恥ずかしい限りですわ」
無理してまりょくを絞りつくしたソリュは、パタッと倒れたのだ。俺が慌てたのは言うまでもない。二度とやらないで欲しい、マジで。
「勢いは大事ですけど、乗り過ぎるのも問題だと悟りましたわ」
「俺も、肝に銘じておこうと思う」
二人して、うんうんと頷く。泥だらけの二人がやっているとシュールに見えるだろうな。
「旦那様!明日、確実に第三層に行くために、あれを倒しましょうですわ!!」
「あれ?・・・って、あれは沼坊主じゃないか!?」
説明しよう!この第二層にも、第一層と同じくボス的な魔物が存在する。それが、沼坊主だ。沼坊主もそのまま名前通りで、泥だらけの巨大なてるてる坊主って感じだ。あ、頭だけのな?
こいつも、トレントと同じで遠くからでも分かるくらい巨大だ。つまり、普通は近付こうと思わない。と言うかね、リルにも近付くなって何度も言われたわけですけども…
「倒せるかどうかよりも、リルに怒られない?」
「怒られると思いますわ」
「ならさ」
「でも、3日以内で初心者ダンジョンをクリアするにはそれくらいこなさないとダメだと思いますわ。ランクが上がっても、エルルさんに止められそうな気がしますもの」
「確かに…」
いや、説得されてどうするんだ!?でも、確かにエルルさんはそれくらいしないと止めて来そうな気がするな…いや、その前にリルに止められるか…
「仕方ないか…まずは、様子見だからな?」
「はいですわ♪」
あ、これパターン入ったわ。うん、ほぼ戦うの確定だな。
そーっとそーっと俺たちなりに慎重に泥坊主に近付いていく。今のところばれてないか?と言うかさ、こいつどっち向いているの?確か、目なんてものないよな?つまり…え?こっち向いていたらばれるんじゃない?どう敵を感知しているのか知らんけど…あれ?どっち向いててもばれる?
と言う、俺の予想は嫌だけど当たっていたようで、急に泥坊主が動いた!?
「ちょ!?戦闘態勢!ソリュ!とりあえず、後ろに下がれ!!」
「分かりましたわ!!」
と、ソリュが下がった次の瞬間、泥坊主が口?から大量の泥を吐き出して来た!?
「うげえ!?多分、ただの泥なんだろうけど何かきたねえ!?」
俺は、思わず後退した。仕方ないよね?口に見えるところから出て来たんだよ?そう思っても仕方ないと思いませんか!?
「ってか、俺に当てる気じゃなかったのか?何の意味が…って、うわあ…」
さらに後退する事になった俺。だって、さっきの口から吐き出した泥がポコポコしだしたと思ったら、何かドロドロとヌッマーが形作られていくんだもの…ドン引きです。ドロドロとヌッマーは、泥坊主のゲ〇だったのです…引くわあ。
「だ、旦那様。私、2~3発くらいしか魔法が撃てそうにありませんわ」
「ま、任せとけ!ドロドロやヌッマーなど、物の数ではないわ!!」
さっきの汚いと思ったイメージを無理やり振り払い、俺は魔物の群れに突撃した!!
「はっ!!っと!?ほい!!おっと!!なんの!?てやあ!!!」
まず、ドロドロを一撃で切り伏せた。すると、隙と見たのかヌッマーが俺に張り付こうと飛びかかって来た。それを盾で受け、衝撃を受けた場所を急所と見定め、斬り裂いて倒す。そして、叩きつけるように攻撃して来たドロドロをかわし、その先で待ち受けるように追撃して来たヌッマーを盾で弾いて、ドロドロとまとめて斬り伏せた。無言でこなしていたら、格好良いシーンだったかもしれない。
「旦那様!素敵ですわ♪」
声が出てても、唯一の観戦者には格好良いシーンに見えたようなので、良しとしておこう、うん。
次々と襲い掛かって来るドロドロとヌッマーをジャバジャバベチャベチャと倒していく俺。何か、倒している音じゃないと思うけど気にしない。
「ハハッ!!いくら雑魚が群れようと俺の敵では…!?ぎゃあああ!?あっぶねえええええええ!!?!?」
何度も危険な目にあっているのに、学習しない俺は調子に乗った。それを覚まそうとした訳ではないだろうが、隙と見た泥坊主は跳躍して俺を押しつぶそうとして来たのだ!?慌てて下がった俺は、ギリギリの所で何とかかわした!しかし、冷や水ならぬ泥水を大量に被る事になった。
「ぶへえええええ!?くっそお!許すまじ、泥坊主!!」
「旦那様!泥も滴る良い男ですわ♪」
「ソリュさん、いつの間にそんな遠くに…」
ソリュは、しっかりと泥が飛ぶ範囲外に逃げていた。危険予測、凄くない?
「旦那様!前!前!!」
「へ?どわああああ!?」
ソリュの方を見てしまった俺は隙だらけだったのだろう。目の前の泥坊主がのしかかって潰そうとして来ていた。ソリュの指摘で、辛くも身を投げるようにしてかわした。
「ぶへえええええ!?ぺっぺっ!!!」
しかし、当たり前だが泥にダイブする事になった俺は、思い切り泥が口に入った!?ゆ、許すまじ泥坊主!!
どこまでも俺のヘイトを上げてくる泥坊主だが、その攻撃はまだ続いた。
「ぎゃああああ!?おまっ!?俺に恨みでもあんのか!?少しかかっただろ!?」
許すまじと振り返った俺が見たのは、俺に向かって泥を吐き出そうとしていた泥坊主だった!俺は、悲鳴を上げながらとにかく逃げようとした!しかし、間に合わず少しゲ…泥を被ってしまったのだった!最悪だ!!!
「って!やっぱり湧いて来るのかお前たち!?上等だ!やったらああああああ!!!?」
泥から湧き出てくる魔物群を見て、泥塗れにされた俺は怒りと共にその喧嘩?を買った。そして、俺と泥坊主のまさに泥仕合が始まったのだった。
どれくらい時間が経ったのだろう?俺は、未だに泥まみれになりながらも戦っていた。ドロドロとヌッマーを倒しながら、たまに押しつぶそうとして来る泥坊主を回避する。言葉にすればこれだけだが、とにかく酷い戦いだ。
ドロドロが飛び散っては泥だらけになり、ヌッマーに取りつかれては泥だらけになり、泥坊主をかわしては泥だらけになる。常に、全身ベトベト状態だ。ぶっちゃけ、怒りと言うみなぎる力がなければ逃げ出していたかもしれない。
「はぁはぁ…てめえだけは、絶対に倒すぅ!!」
気合いと共に、今回最後のヌッマーを倒した。
「よし!次来いやああ!!って、あれ?何かお前…しぼんでない?」
「言われてみれば、小さくなっていますわ」
「だよな?」
戦いに集中していたせいで気が付かなかったが、明らかに泥坊主は縮んでいた。最初に相対した時は、見上げられないほどの巨体だったが、今は見上げる事が可能な感じだ。もしかして、泥を吐き出し過ぎて縮んだのか?・・・勝機!!
「うらあああ!!!」
俺は、縮んで心なしか疲れているように見える泥坊主に特攻した!剣だと弾かれるかもなので、リルの短剣を手にしている。気分は特攻だ!!
俺のまさかの突撃に、泥坊主は反応出来なかったようだ。リルの短剣が泥坊主の身体に突き刺さった。そして、俺の短剣持ってグルグル攻撃が始まる!ネーミングについては応相談だ!!
「おらあああああ!!?」
相手が泥だからどれだけダメージになっているか全く分からないが、ノーダメージとはいかないはずだ!!現に、泥坊主は身体を震わせるようにして嫌がっている。走る事に集中し、沼に足を取られないように疾走する!!
「おらあらああ!!ゲッ!?」
飛び上がったら一旦離れようと思っていた俺だったが、泥坊主が取った行動は口から泥吐きだった。今の状態で、大量の魔物に襲い掛かられるとまずい!そう思った時だった。
「させませんわ!!!」
ソリュの声と共に、泥坊主の口元が爆散した!どうやら、ソリュの魔法が命中したらしい。ナイスすぎる!!
「ナイス!ソリュ…って!?あちゃちゃちゃ!?ぎゃああ!!?」
ソリュが爆散させた泥が、熱いままに俺に降り注いだ!?空中である程度冷やされているから熱い!と思う程度で済んでいるが、身体に張り付き生温くなった泥が気持ち悪い!!
「絶対に許さねえええええ!!!」
俺は、怒りを全て沼坊主にぶつけた!ソリュの魔法も悪い?知らないね!全部泥坊主が悪いのだ!!俺は、また泥を吐き出される前に渾身の力を込めて泥坊主を刺しながら回る!
「もう、何もさせねえぞお!!っ!?やべべべへえ!?」
余りにも勢いよく回り過ぎたせいか、遠心力が働き過ぎて足を取られて見事に泥沼にダイブしてしまった。って、やば!?
「追撃され…ん?」
何やら泥坊主の様子が可笑しい?プルプル振動が段々激しくなって・・・はじけ!?
「ぎゃああばばばばばばばばあ゛あ゛!!?!?」
泥雨がスコールのように降り注いで来て何もかもが見えなくなった。目が痛いとか口の中が気持ち悪いとか言ってる場合じゃなくなった!何とか、空気を求めて移動しようとするがどちらに言って良いのかさえ分からない!?あ、やべ…落ちるかも…
「さむ…ん?後頭部だけ幸せなような…」
「目が覚めましたの?」
一瞬ビクッとなりそうになったのを堪えた。だって、泥迷彩した人物が覗き込んできたら驚かん?何とか、状況を捻り出してソリュだと分かったよ、うん。って
「すまない!寒かっただろ!?」
「大丈夫ですわ!もう少し横になって良いのですわ♪」
そう言って、俺が起き上がろうとしたのを手で制したソリュだったが、やはり、寒いのか少し震えているようだった。何て良い娘なんだ!!
「絶対に、大事にするからな」
「フフッ、こうやってずっと一緒にダンジョンを攻略出来るだけで幸せですわ♪」
くっ!?泥まみれでも可愛いと思ってしまった。泥まみれじゃなければ、感極まって抱き締めてしまったかもしれない!って、今はそんな事をしてる場合じゃなかった。
「俺、やっぱり泥坊主のせいで?」
「はいですわ。泥の雨のせいで意識を失っておりましたわ」
「だよな…助けてくれてありがとうな」
「とんでもございませんわ!元はと言えば、私の発言のせいですし…」
「それを言ったら、俺の3日攻略発言のせいだろ?・・・うし、もう大丈夫だ」
「あ・・・本当に大丈夫ですの?」
「ああ!お陰様で心が温まったぜ!!」
「それは良かったですわ♪」
俺が立ち上がってしまったのを少しだけ残念そうにしたソリュだったが、俺が大丈夫だと言うと彼女も立ち上がった。と言うかですね、状況が泥まみれじゃなかったらもっと膝枕を堪能したかったさ!俺だってさああ!!!
「顔が歪んでおりますけど…本当に大丈夫ですの?」
「大丈夫ですよ!」
膝枕の魔力の高さよ!?・・・うし、切り替えた!!
「・・・思いつき立つなかったんだけど、もしかして…この泥の中から魔石集めしないとダメなんでしょうか?」
「そうなりますわ…ね」
くそ!?最後もこんな落ちかよ!?
「やったろう!夫婦の共同作業だ!!」
「!?頑張りますわ!!」
空元気の俺と、気合十分でルンルン頑張るソリュは、凄い勢いで泥漁りを始めた。途中ドロドロたちに邪魔されたが、俺の八つ当たりアタックの餌食になるだけだったとさ。たまには、綺麗に終わりませんかね?トホホ…
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
週3更新を定着させたいので、次話も2日後に更新予定です。自分の中の最低文字数を減らすのはしたくないので、中々厳しいですね…
次話も宜しくお願いします。




