02_Wrong choices 〈招かれざる客〉
第三話「Wrong choices」 サブタイトルは「招かれざる客」。
出会ったばかりの探索者ベリオを訪ねるデルフィからエピソードは始まる。
魔術師の仲間が欲しかったのか、とにかくニーロの家は留守で反応はない。
共に暮らしている幼馴染であるジマシュについて、デルフィは思いを巡らせている。
自分の生活を完全に支配されていること、もはやそれが当たり前になったこと。
一抹の不安を抱えながら戻っていくデルフィの前に、件の男ジマシュが現れる。
――迷宮都市へ助けを求めてやって来た商人の為に、迷宮へ行く。
南の町からやって来た商人エリシャニーは、怪我をした息子ディオニーを救ってもらうべく迷宮都市を訪れた。
だが、傷を癒してくれるはずの神殿の働きが、他の町とは少し違っていたようだ。
〇 ウィルフレド・メティス
立派なマントと短剣のみしか持たずに迷宮都市へ流れ着いた男。
登場時の年齢は三十七歳。髪と瞳は薄茶色。髪はオールバックで、髭は口髭のみ生やしている。
どう見ても歴戦の戦士といった出で立ちで、どんな経歴の持ち主かみんなをそわそわさせる立派な外見の持ち主。
身長は百九十六センチ。姿勢も良く、言葉遣いも丁寧で、大抵の若者には親切に振舞う。
その一方、これまでの経歴や家族構成などは一切不明。
ウィルフレドは街中でトラブルに巻き込まれていたアデルミラを助け、カッカーの屋敷へ導かれた。
フェリクスと同じ部屋で暮らすことになり、探索に挑むようになる。
〇 ティーオ・ミオ
カッカーの屋敷に滞在している探索初心者の少年。
明るい性格でおしゃべり。人懐っこいが、さぼり癖も少しある。
登場時の年齢は十五歳。髪はこげ茶、瞳の色は明るい茶色。
身長は百六十二センチで、迷宮都市では小柄な部類。
フェリクスと同じ部屋で暮らすルームメイトであり、ウィルフレドを快く迎え入れたが、どんな人物なのか興味を抑えられないようだ。
― 迷宮都市豆知識 ―
□神官に癒してもらえるのは、迷宮の中で受けた傷だけ
迷宮都市以外の町では、神官は傷を癒してくれる。
だが、これまでの町の歴史で起きた出来事から、「迷宮で受けた傷のみ」を治すという決まりが出来たらしい。
キーレイが言うには、「他の町よりも癒しの力が強く感じられる」そうだ。
ちなみに謝礼の額は神殿によって違うものだが、迷宮都市ではすべての神殿が同額で設定されている。
□唯一、人の命が取り戻せるところ
迷宮を地下に抱いたラディケンヴィルスでは、神官は生き返りの奇跡を授かることがある。
真摯に神に仕える者だけに与えられる力で、初代調査団長ラディケンの妻、流水の神官バルバラが最初の使い手と言われている。
生き返りの奇跡の力を持つ者が、他の町でも人の命を取り戻せるかはわからない。
禁忌とされているので、基本的には他言無用となっている。
だが、人の口にとは立てられないものなので、噂はあらゆる街に流れているのが現状だ。
いまだに神殿がいいように使われていないのは、生き返りを使える神官の数が少ないからなのだろう。
□行方知れずの探索者の荷物は、車輪の神殿で預かっている
探索に出たまま戻ってこない探索者は大勢いて、宿屋には荷物だけが取り残される。
一定の日数が経過した場合、荷物は回収され、その後の処理は宿屋に任されるようになった。
宿の主人が良心的な人物だった時には、荷物の中に含まれた貴重品、思い出の品などは車輪の神殿に預けられることになっている。
アデルミラも兄に宛てた手紙がないか、車輪の神殿へ確認に出かけている。
ここでなにかが見つかったのなら、「探索に行ったきり戻ってこなかった」ことだけが確定する。
その誰かが無事かどうかはまた別の話で、探す家族らの心を揺らすことになるだろう。
□中級探索者はイライラしがち
探索を無事に続けて生き残った者たちは中級者へとランクアップするが、生活はまだ楽にはならない。
荷物が増えたのなら、安宿暮らしからは卒業して貸家に移るべきだが、仲間たちとの共同生活が息苦しいこともある。
「橙」「緑」から「藍」「赤」への挑戦にシフトするが、結局どこも制覇するのは難しい。
「白」「黒」へ挑むには特別な才能が必要で、安易に進むことはできないだろう。
生活も挑戦も半端に制限されてしまい、初心者を卒業したての中級者たちはモヤモヤを抱えながら暮らしている。
なので中級者の暮らす貸家が集まるシルサージ通りが、迷宮都市で一番多く喧嘩が発生する場所になっている。




