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これが事実とするならば、ぼくは過去を変えることができる力を。もしくは未来を視ることができる力が欲しい。
フレイヴの母方の実家である『悲劇の町』の入り口前に二人はただ突っ立っているだけ。この町はすでにナズーの手によって壊滅していた。こんな現状にフレイヴもカムラも目を丸くするばかり。涙の町からこの町まで時間はそこまでかかっていない。せいぜい小一時間程度だろう。それなのにである。この町は破壊と大火に包まれていた。
「なっ、なんで!」
この悲惨な光景を見てしばらく経った頃、フレイヴはようやくと言っていいほどに声を出した。冗談じゃない、おかしい、ありえない。次々と否定したいばかりの言葉が生まれてくる。原因が知りたい。そう思い、人の町とは思えないバケモノの町へと入ろうとするが――。
「待って」
やっと止められた。カムラは安堵する。だが、その表情は見せない方がいいだろう。フレイヴは怒りと悲しみに満ちているのだから。
「行っても、フレイヴが死ぬかナズーになるだけ」
「でもっ! おじいちゃんとおばあちゃんが!」
「訊くけど、二人はこの中で無事だと思う?」
カムラの設問に黙った。その答えは『信じたい』である。だが、フレイヴの答えとしては『確信』ではない。つまりは『わからない』というが正しい。わからない答えに対して彼女は「だったら行ったらダメ」と行かせようとしてくれない。
「自分の力量をわかって挑もうとしているの? 勝てないって、わかっているじゃん、あの村で。勝てないって知ったじゃん、あの町で。理解したじゃん」
「しているさ!」
フレイヴは自身の力量を把握した上で行きたい、と申し立てた。このまま知らない状態で過ごそうなんてばかげた人生は嫌だった。せめて、自分の身に起こる最悪を知るべきである、と彼の理念は口にすることはできた。
「ぼくがナズーに勝てないぐらい!」
「それじゃあ、戦わないって選択した理由は?」
「戦わないんじゃないんだよ! 戦おうとする心がなかっただけだ!」
今ならば、戦う。それがどれだけ危険だとわかっていても。戦わなければ。そうしなければ、残された者はどうしたらいい? カムラの制止の言葉を聞かずして、強引に町の中へと入ろうとするのだが――。
「待ちなさい」
誰かによって、町中へと入ることを咎められた。それは一体誰なのか。フレイヴは納得がいかないような表情を浮かべつつ、その声の方を振り向いた。そこにいたのは、悲しみの村や涙の町で彼に事情聴取をしていた軍人だった。いや、軍人一人だけではない。小隊一つが武装をして、炎に包まれている町を冷静に見据えていたのである。




