表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/131

人間の体

77        人間の体


「あー。あーあーあー」


人間の体に乗り移り、ようやくゴーストではなく人間になることができた俺は発生練習のように声を出す。一応さっきでかい声で叫んだけども、何となくこの小学五年生とか四年生くらいの身長+童顔の声が気になったのだ。


「………この外見で中身の俺は35歳何て、詐欺もいいところだよな」


まだ声変わりが来ていない小学生らしい声と35歳のおっさん臭い口調。口調も変えていきたいところだが、35歳にもなって『僕』とか何となく恥ずかしいような気がする。


「段々と慣れるしかないな」


ようやく人間の体に乗り移ることが出来たけれどもゴーストの時の感覚が抜けなく、つい心のなかで言葉を発してしまう。この世界に来てから長い間はずっとゴーストだったから、その感覚に慣れてしまったのだ。そして、一番困るのは戦い時である。

 ゴーストの時は基本的に物理攻撃はきかなかったが、人間になった今だときいてしまう。……………まあ、ステータスがいきなりチート級にまでなっから大丈夫だと思うけど。


「【解析:ノワールがいる場所】」


《 ―――解析不可。固有名ノワールは解析できない場、もしくは解析を受け付けない場所に居ます。 》


なーんだ。折角強くなったところを自慢してやろうと思ったのに。


「いや~ハルトさんすごいですね~。私の目に狂いはなかったようです~。これで天界からいつ攻め込まれても大丈夫ですね~」


「ちょっと待ってください。人間になったのに狙われるんですか!?」


「はい~。天界は一度決定したことを変えない老獪共が多いので~きっと今もハルトさんを殺すための計画を練っているところです~」


―――やばくね?せっかく人間になれたというのに、ノワール達と再開するまでに死にそうなんだけど。

 女神様は相も変わらずのほほんとした雰囲気を見に纏い、俺に説明してくる。…………こんなに可愛い顔をして結構鬼畜なこと言ってくるんだよな…………。


「………まあ、天界のことは襲ってきてから考えるとしよう。今はもう少しレベルを上げたり、習得したスキルがどんな感じなのかが気になる」


「そうですか~。じゃああそこにピッタリなのがいますよ~」


俺が辺りを見回すと女神様は遥か遠くを指差す。その方向に目線を向けると、さっき倒した混合獣がいた。…………しかし、さっき倒した奴よりも大分デカイ。混合獣のボス的な存在なのかもしれない。


「…………ちょっと怖いけど、行ってきます」


「はい~行ってらっしゃい~」


今回はさっきと違って、まだ混合獣がこちらに気がついていない。それを利用する他ないと判断した俺は【認識阻害】を発動して姿を消しつつ、【身体強化】で身体能力を上げて一気に距離を詰める。混合獣の目の前まで近づくと、野生の勘というものか混合獣は少し警戒をするような素振りを見せる。不意打ちで攻撃を仕掛けても構わなかったのだが、ステータスが向上して初めての敵だったので自分の今の強さを確かめながら戦うことにした。


「よう混合獣。さっきも倒したけど、さっきの奴よりも随分と立派だな」


――スキル【認識阻害】を解除して警戒している混合獣に姿をさらした。すると混合獣は待ってましたと言わんばかりに俺の方を睨み、そして威嚇するように雄たけびを上げる。そして……まるで虎のように長く鋭い爪で俺を切り裂こうと攻撃をしてくる。


いきなりスキル【天滅】を放っていつものノワールのように消し飛ばしても良かったのだが、防御力67000という数字の耐久力が知りたかったのであえてその攻撃を受けることにした。まるで自殺に行くように腕を広げて急所をさらした俺。混合獣はその俺がさらした急所を爪を立てて切り裂く―――




「…………え?終わり?」


―――しかし、混合獣の攻撃はわざわざ晒してあげた俺の急所に傷一つつけられることはなく、むしろ混合獣の長く鋭そうな爪が数本割れてしまった。


「……あんまり実感なかったけど、俺って結構チート級な強さを手に入れちゃったの?」


今までチート級の強さを持った奴とはわりと会ってきたけど、俺もそんなチート級の強さを持つ連中に仲間入りしてもいいということだろうか。……いや、さすがにチート級の強さは思い上がりすぎか。


「グアァァァァァァァ!!!!」


「ん?どうした?」


自分の攻撃が俺に全く通用しなかったことに対して怒ったのか、混合獣は今まで以上の雄たけびを上げて瞬間移動をしたかのように俺との距離を広げる。そして……口を大きく開けた混合獣はそこからレーザー光線のようなものを俺に放った。


「【解析:混合獣が放った攻撃】」


《 解析が終了致しました。

  スキル名【即死光線(デスビーム)】。光属性のなかで最も強いスキルで、全スキルの中でもトップクラスに位置するほど強力なスキル。その名の通りその光線を受けた者は認識できないほどんの速さで死ぬ。まさに即死必死の光線である。 》


「【魔結界】」


解析が終了したタイミングで【即死光線(デスビーム)】はすぐそこまで来ていたので、とりあえず俺は【魔結界】を張って気持ちだけでも防御をしておくことにした。確かゴーストの時の【魔結界】は混合獣の通常攻撃で破壊されたっけ。

 いくらステータスが上がったからって、さすがに混合獣のスキルまでは防げないだろう―――



―――そして数秒後、俺が張った【魔結界】に混合獣が放った渾身のスキル【即死光線(デスビーム)】がぶつかるが俺の魔結界が破壊されることはなかった。さすがの混合獣にも焦りが出てきたのか、少し疲れた様子で息を整えている。


「さすがにそろそろ攻撃に入るか」


防御面は大分確かめることができたので今度は攻撃面の強さを調べることにした。スキル【ゲート】を使って丁度混合獣の真後ろに空間と空間を繋ぎ、まずはがら空きとなっている尻の部分を何もしないで思い切り殴って見る。

―――ズドォォォォォン!!!

 思い切り拳を握り、その拳をコークスクリューブローの容量でパンチを放つがどうにもパンチを放った音ではない音が荒野に鳴り響いた。すると、デコボコだった荒野の一部があっという間に更地と化した。混合獣は持ち前の野生の勘に頼って何とか回避したみたいだが、俺を見つめる目が悪魔を見るような目になっている。いたぶる気はないので、ここは一瞬で終わらせるように配慮するとしよう。


「……よし!!行きますか!」


混合獣までの距離は約200メートルと確信した俺は逃げられる前に追いつくために【身体強化】と【音速走】を発動させて一気に距離を詰める。これこそ瞬間移動と言うものじゃないだろうか、1秒かかったか分からないほどの速度で200メートルという距離を移動した。

 先ほどと同じように拳を固めて混合獣にパンチを放とうと思ったけど、何となくやりたいことがあった。


「やってみるか」


目の前にいる混合獣は完全に蛇に睨まれた蛙の状態で一歩も動くことが出来ず、俺はその隙にスキル【風塵】を拳に纏わせる。パンチの破壊力に【風塵】の風の力を上乗せする―――




――――すると、混合獣を巻き込んでさっきの倍以上の範囲が荒野から更地と変わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ