86 クリスの修行2
駆け出しの冒険者がこんなに動いた事はないのだろう、クリスは滝の汗を流しながら倒れている、冬も近いのに。
人形の攻撃を食らう回数が増えてきた。
リーネに氷と水を出してもらって、患部を冷やさせ、水を飲ませる。
「今日はもう終わりにしまーす」
「まだ、やれ…」 「やりません。」
即断わった、明日はきっとクリスは筋肉痛だ。10日で筋肉を付けるのは難しいかも知れないが、卵と肉を食わせてやろう。
タンパク質はマッチョへの近道だ!
前の世界で動画で見てたけど、何もしてなかった人がしっかりトレーニングを続けると、10日程で明らかに身体つきが変化してくるのが多かった。
コーチとしては最低でもその辺を目指したい。
アニーは居ない、珍しく忙しくないダルクが狩りに連れて行ってる。
そっちは10日で仕上げる必要はないから気楽だろう。
おや?なんで僕がコーチしてるんだ?おかしいなぁ。ダルクがやればよくない?
お腹が空いたのでセリーヌにご飯をもらう、食べ終わったら動き方のレクチャーをしてくれるようだ。
そういう所は本職に任せた方が良いだろう、僕はなんちゃってだからね。
ご飯を食べ終わって1時間程休憩をしてから、僕はレクチャーを受けるクリスとセリーヌを見ている。
クリスは基本の足捌きや剣の受け方を教わっている、ハードなトレーニング後なのでセリーヌはゆっくりと教えていた。
「全て躱さなくても受ける、流す、逸らす(反らす)、払うを取り入れるといいわよ〜」
成る程凄い、なんちゃってコーチとは違う、理論的に防御の手段を増やしている。
「そうね今回は相手の力の方が強そうだから流す、逸らす、払うを重点的に覚えましょうか」
確かに他に守る人が居ないのならわざわざ受けてやる必要がない、ふっ飛ばされたり、手を痛めたりするだけだ。
逸らすと反らすは違うと言う、目線で誘導したりする逸らす、物理的に曲げたりする反らす、今回覚えるのは逸らすの方らしい。
セリーヌもブリッツは体力なさそうだからそのうち自滅すると読んでいる。
「そうね〜例えば相手が右の構えだったら左から攻撃されることはないわよね?更にそれが上からの攻撃だったら?」
暫く考えてクリスが応えた。
「上と右からしか攻撃は無いです!」
「そうそう、じゃあそこでクリスが右に動いたらどうなる?」
「上からの攻撃もなくなりますね!」
「それよそれ、そういった動きをして誘導するのよ」
セリーヌがパチパチと手を叩いて褒める、ヤミーもしっかり聞いている、めちゃくちゃ聞いてフンフンと頷いている。
じゃあジュリオ一度人形を出して手合わせしてみて。
ドッペルゲンガーで出したセリーヌに似た人形が右上段に構え、先程の教え通りにクリスが右に逃げる。
イテッ!
人形が左に回転しながら枝を振った…。
「何じゃけぇ〜!」
セリーヌが顔を抑えながら一言だけ発した。
ヤミー恐ろしい子!フラグを一撃で回収して御満悦だ!




