85 クリスの修行
前の世界では格闘技には大抵階級と言うものがあった。
基本的に小さい者が、大きい者に勝つのは難しかったからだ。
一発の重さが違う、耐えられるタフネスが違う、そういった面で分けられたのが階級だった。
では武器を使えば?というと、少し差が縮まる、基本的に武器を使用した一撃は耐えれない事の方が多い。
漫画やアニメでズタボロで痛みに耐えながら普段通りに動いたりしてたけど、そんなの無理だ。
「くっ!肋骨が折れたか!?」病院行け!死ぬぞ、ポテンシャルなんて活かせるわけがない。
「〜って事で、攻撃を躱す練習をしましょうかクリスさん。」
「〜って事でって、何も聞いてないんだけど?ジュリオ君」
「説明してなかったけど、当たらなければどうってことは無いという金言がありまして」
ふむふむとクリスが頷く。
「ブリッツの方が多分攻撃力はあると思います、重そうだし。」
ふむふむと納得するクリス。
「だったら躱して此方の攻撃だけ当てればいいのです、何3分も耐えれば勝ちですよ、あの体型でそこまで動けると思えないですし。」
ただ、僕は剣を使えない、なのでここの出番はセリーヌだが家事で忙しいのでヤミーをセリーヌに付けてドッペルゲンガーでセリーヌの人形を作る。
「お母さんの攻撃を躱して隙を見て攻撃して下さいね!」
人形の持ってる武器は当たったらイテッ、と言う程度の細い木の枝だ。
通常使う武器が何度も当たれば病院行け!だ、その病院が無い、神父さんの所位かな?
「はーいそれじゃいきますよ〜。」
ヒュッ ヒュッ ヒュッ ヒュッ
意外と躱している、そう躱すだけなら割と逃げれるものだ、射程に入らなければ良い。
「逃げてばかりじゃなく5回に1回位は攻撃しましょうか!」
攻撃しなければならないというだけで難易度が上がる、近付かなければならないからだ。
ヒュッ ヒュッ イテッ イテッ ヒュッ
流石、元々剣ばかり振ってたというセリーヌの腕前は素人目で見ても凄いと思う、今はヤミーが操作しているがスペックはセリーヌだ。
皮の防具を付けてるから柔らかい箇所に当たってもミミズ腫れ程度だろう。
ヒュッ ヒュッ イテッ バシッ!
「相打ちは負けですよ~」
そう、そんなに痛くないからと相打ち狙いで攻撃したらダメだ、相打ちだと実際は相手の攻撃の方が勝つ。
「あっはい、すいませんジュリオ君」
クリスの僕への呼び方は君付けで落ち着いた、敬語は要らないと言ったが中々そこは譲らなかった。
ヒュッ ヒュッ イテッ ヒュッ ヒュッ
そんなに簡単に上達するものでもないが、期日は10日だ急ピッチで仕上げなければならない。
基本的に貴族ってのは剣を習うらしいので、あぁ見えてもブリッツも意外と動けるのかも知れない。
1時間程経ったが結局ダメージを蓄積させてドッペルゲンガーを解除する事は出来なかった。
「少し休憩しましょうか」
クリスの息が上がっている、ゼーハーゼーハーと聞こえてくる。
ドッペルゲンガーで出した人形は疲れる事も無いのでずっと動けるが、人はそうじゃない今のクリスの様に疲れるのだ。
そしてそれは緊張状態だともっともっと疲れる、元の世界のプロ格闘家が数分間で疲れてしまうのはそういう事からだ。
多分今回の決闘は5分も掛からないだろう。
僕もやり方を変える、5分間人形と戦って休ませるを繰り返させた。
コーチも経験を積んで教え方を覚えていくのだ!ワハハッ。




