47 お祭り騒ぎ
ブラウゼアの街はお祭り騒ぎになっている。
ロック鳥を単身で討伐したという、嘘としか思えない話が昼間噂になったと思えば、証拠となる品が商店に運ばれて来たからだ。
ロック鳥の象徴のような赤い羽根が荷台にわんさか積まれているのだ、下に積まれている肉の塊が、そのロック鳥じゃないなんてことはあり得ないだろう。
討伐された巨大な鳥を見ようと商店には大勢の見物人が押し寄せている。
商店の主であるエリン・ガイナンは他の地方の街から流れてきて、1代でブラウゼアの街に商店を建てたやり手の商人だ。
横には出来の悪い息子のバリン・ガイナンが偉そうにしている。
横目で息子を睨むとやれやれと首を横に振り、単身で狩ったという男の顔を目に浮かべる。
ここ最近は見掛けなくなっていたが、今回の件はその子の名前と一致する、大成したのだろう。
男がまだ少年だった頃に手伝いで来ることがあったが、健気で目端の利く子だった。
手伝いをして稼いだ金で粗末な紙を購入し、読み書きを覚えるのに使うと聞いている。
学が無いからと、読み書きを諦めず自身で道を切り開いた子だ。
1年以上頻繁に店に来たが父親が死んだと聞いてからは見なくなった。
出来の悪い息子には査定を任せられず直接指揮を取っているエリンが、荷台から降ろした品の数々を店の者に指示して分けている。
品が後少しではける頃に、男が少年を連れてやってくる。
男には昔見た面影が残っている、本人だろうダルクは目が合ったエリン・ガイナンに右手を差し出しながら声を掛けてくる。
「エリンさん遅くなりました、宜しくお願いします」
エリンは差し出された男の右手を握り連れてきた少年を見据えた。
「夜遅くに幼子を連れてくるのはあまり感心せんがな」
と、一言放つが囲まれるのが嫌なのだろうと、幼子を連れてきた主旨に気付いていた。
ダルクはまさかそれに気付かれているとは知らず、頭を掻いている。
そのうち荷台からロック鳥だった物が全て降ろされ、エリンが番頭と吟味して査定している。
その間にダルクに人がワラワラと集まって取り囲んで質問攻めを受けている、バリンが面白くなさそうにダルクを遠巻きに見ていた。
ジュリオは戻って来て、足元にいるフウタに家へ戻って汚れを落とせと指示を出し先に行かせる。
暫くすると査定が終わったのかダルクがエリンに呼ばれる。
「こんなもんじゃな」
査定された額は金貨37枚と銀貨8枚だった
ダルクは目を剥いてそれを見ていた。
ダルクが1年一生懸命稼いで金貨10枚といったところだ。
1日で3年分以上稼いだ事になる。
「知らぬ顔じゃないから少し色を付けてある、何故か矢傷も見当たらないしな、納得いったならサインをせんか」
エリンがそう促すとダルクが温情に感謝しつついそいそとサインする。
荷馬車を出してくれた運び手に、代金の銀貨3枚と手間賃で余分に1枚多く払っても金貨37枚と銀貨4枚が手元に残った。
金貨を見るのは父親が死んで遺品と一緒に渡された時ぶりだ、その時でもたったの数枚だった。
それが一晩で37枚か…。息子をチラっと見てとんでもないなと呟く。
と、奥から男が寄ってくる。
「よぉダルク、犬から随分出世したじゃないか」
ニタニタと薄ら笑いを浮かべながら近付いてきたのはバリン・ガイナンだ。
向こうでエリンが一度此方を見るが忙しそうにすぐ目を背け番頭と話していた。
「あぁバリンさん、お久しぶりです」
右手を差し出しながらダルクが言う。
差し出された手を受けようともせず、何やら偉そうにダルクに話していた。
犬という単語を言い放ったバリンの話は聞かない方が良いだろう、とジュリオは考えダルクから離れて商店に置いてある品の一部を見て時間を潰す。
やっと解放されたダルクは疲れた顔で戻ってきて
「待たせた、さぁ帰るか」
話を聞きたそうにしていた人々には幼子が一緒なのでと断っていた。
チラっとバリンの方を見ると、鼻で笑っているように見える。
二人で商店を後にしつつダルクに気付かれないよう、後ろにいるバリンに手を向け調整しながらボルトと呟いた。
「ぐえっ?」
何か潰れたような声が聞こえる。
人の親を犬呼ばわりした罰だよと呟いた。
ベル 「レオン様ご報告があります」
レオン 「なんだ?申してみよ」
ベル 「ハッ、単身でロック鳥を討伐したという狩人が出たとの事で御座います。」
レオン 「何だと!?すぐ登用の準備をせよ」
ベル 「それがその〜」
レオン 「何だ歯切れの悪い」
ベル 「前回後見人に失敗した小僧の父親で御座います」
レオン 「何だと!?あのジュリオ」
ドスッ ウグッ! 【効果は抜群だ!】




