48 金貨の使い道
ブラウゼアの門を出て門番から離れたらすぐにダルクを背負い飛んで家路に着く。
ドアを開けたダルクは何も語らず戦利品を机の上に撒いた。
机の上には小さな皮袋と出された金貨が37枚と銀貨4枚が鈍く光っている。
見たことも無いそんな光景にセリーヌは声を出さずに1枚づつ掴んで掲げている、恍惚した表情をしていた。
そんな顔をしたセリーヌを初めて見たダルクは嬉しそうに
「明日一緒にブラウゼアの街へ行って両替商の所へ預けるか」
と言うとセリーヌは頷いて
「そうね、家にこんな大金置いておけないわね」
施錠もない家に大金を置いておけないだろう、なんせダルクの稼ぎの3年分より多いのだ。
次の日一家はブラウゼアの大通りで市場を見ていた。
35枚の金貨を両替商に預け、トーマスさんに借りた斧が刃毀れしていたので新しい斧と多数の釘を買った。
血が染み付いて駄目になった男二人の服の代わりとセリーヌ、リーネにも新しく服を買う。
少なくなってきた塩とパン、滅多に食べられない蜂蜜と雌鶏を二羽購入して家に戻る。
全部で金貨1枚支払った。
「やったね!これから卵が食べられるようになるね」
この世界に来て5年過ぎたが、まだ一度も食べて無い卵の味はどれほど美味しいのだろう?
まだ日中なので飛ぶ事もなく皆で歩いて話しながら家に着く。2羽の雌鶏はコッコッコッと小さな声を出している、
ダルクは新品の斧をトーマスさんに渡し、いくつかの木材を持って戻って来る。
鶏小屋に使う木材だった、代金は水で良いと受け取って貰えなかったようだ。
足元の四体は鶏の真似をしながら彷徨いている。
ドッさんを呼び土に絵を描いてこんな形のアースウォールを作れるか聞くとドッさんは
「やれるッス」
手を握り親指を立てながら言った。
僕もアースウォールは使えるが、細かく細工出来はしない、ドッさんを連れ早速作業に取り掛かる、畑の横を平らにして四隅に均等な大きさの石を置き土台にした。
「アースウォール」
モコモコと土で囲まれた格子が出来た、入り口を作ってその上から布を長めに垂らし石を置く、取り敢えずこれで良いかとセリーヌを呼びに行く。
セリーヌは雌鶏の風切羽を切っていた。
切り終わるまで待ってから先程作った土の格子に案内すると
「ジュリオは本当に凄いわね〜」
と感心していた、やったのはドッさんだけどね
セリーヌには土の精霊が付いているが、セリーヌ本人は魔法を使う事が出来ない、元々の魔素が足りないようだった。
セリーヌが使えなくても精霊は使えるのだ、それとなく伝えた事もあったが困ってないからと言う。
少し寂しそうなセリーヌに付いている土の精霊が気になった。
リーネがトーマスさんの所から戻ってくるとユーリとテスが付いて来ていた。
どうやら雌鶏を見に来たようだ。
ドアを開けリーネとユーリが2羽を追い回し捕まえると
「この中に入れるの?」
と聞いてきたので頷く、入り口を開け放たれた2羽はコッコッコッと鳴きながら忙しそうに土を突付いていた。
リーネ、ユーリ、テスの3人はこの2羽の雌鶏の名前をあーでもないこーでもないと考えているようだった。
ダルクの元へ戻ると不格好な犬小屋にも見える鳥小屋を作っている、後少しで完成だろう。
何度か気に入らないと思われる箇所を取ったり付けたりしつつ完成させたので土の格子へ案内した。
「おー凄いの造ったなこれは、雨が降っても平気なのか?」
とダルクが聞いてきたので
「魔素で造られてるから頑丈だけど気になるなら上に何か被せば良いんじゃない?」
と応えておく。
安易ながら2羽はコッコとコケコに落ち着いたようだ。
フウタ達は自発的に中へ入りここから出せー!出せー!と騒いでいる。
入り口の石を多く積んでやった。
オイ、本当に出れないぞ?
[マジか][マジだ][ッス]
[出してちょっと、本当に出して?]
[おーいジュリオおーい、オイラ達まだ出てないけどおーい何処行くのー?]




