5話 「迷子」
ひとこと
めいです!5話も
よろしくお願いします
「あ、来てくれたのですね」
アザができている巫女の手首を強く握って
引きずりながらこちらに近づいてくる。
「ね、夢見ちゃん、なんで庵に
ブルーナイトメアの事を言わなかったの? 」
「っ! 」
どうやらあの巫女の名前は、夢見というらしい。
しかも何で俺の名前を知ってるんだ…?
前の男と言い、今の女といい、何かがおかしい。
「庵はブルーナイトメアを見ている。
なぜ言わなかったのですか? 」
ブルーナイトメアって、なんだ?
夢見さんが苦しさであえぐ声が聞こえる。
もう、見るに堪えない。
「も、もういい」
スーツの女性がこちらに振り向いて、
口を開く。
「お面を渡してください。
お面を渡してくれれば夢見を解放します」
「ダメ!絶対渡さないで! 」
「夢見の事は無視して。お面を渡せば
夢見ちゃんを渡してあげます」
恐怖で顔を歪める夢見さんと、
ずっと表情が変わらず、無表情な
スーツの女性。
どっちを信じればいいんだ…?
ここは一旦お面を渡して…夢見さんを
解放してもらおう。
「 わかった。お面を渡します」
「わかりました。じゃあ、お面を」
スーツの女性が人差し指を立てていた手の
手のひらを上にして、こちらに腕を向けてくる。
確かポケットに入ってたような…。
ズボンのポケットからぐしゃぐしゃなお面を
出して渡すと、夢見さんをこちらに乱暴に投げてくる。
俺が反射的に受け止めると、
「何してるんですか!渡したら…」
と怒って泣きながら俺の頭を
ポコポコ殴ってくる。
叩く腕は、とても傷だらけだ。
「え、いや、俺はあなたを助けようと…」
「ダメだったんですよ!私の事なんか
ほっといた方が良かった…」
次は殴っていた手を顔に当てて、泣いている。でも、少し安心したような泣き方ともとれた。
夢見さんの泣いている姿を
ぼーっとして見ていると、スーツの女性に
力強く腕を掴まれて、引きずられる。
その怪力に俺はゾッとする。
か細い女性なのに、現役男子高校生が
抗えないくらいの力だ。
その体のどこにその力が隠されているのだろう。
その怖さに俺は声も出なかった。
そりゃ夢見さんも動けないわけだ、と思う。
「いてっ」
しばらく引きずられていると、暗い牢屋のような場所に放り投げられた。
「さようなら」
ガチャンと、鉄でできているドアを閉められた。
「何でこんなことになったんだ…。」
横から聞きいた事のある男の人の声が聞こえる。
「君もここにいるってことは、
ムーンドールなのかい? 」
暗闇から出てきたのは、柊だった。
「ムーンドール?あ、お前!この前
俺を殺そうとしただろ!! 」
「え、それ、偽物だよ。俺はお前と
会ったことなんてないよ」
「うそだ!本当は偽物なんだろ! 」
「違うってば!なんで初めてあった人に
怒らないといけないんだ…」
そのまま言い合いをして、
朝になってしまった。
「おーい、朝だぞ〜。起きろ〜! 」
この前お面を奪おうとしてきたスーツの男性が起こしに来ている。
やはり、スーツの女性と関係があるのか。
「え、もう朝? 」
「嘘だ…! うう、寝たかったのに!! 」
「ご、ごめんごめん。本物ってこと、
分かったから許してくれ」
「…わかったよ。」
俺が謝ると、柊が許してくれた。
ご飯を貰ってきて、
柊の隣に腰掛けると、なんだか不安になってきた。
家族、心配しているだろうな。
「なあ、柊」
「ん?」
「俺たち、このまま出られないのか?」
「何もしなかったらね。でも、
ちゃんと考えていけば出られる。」
最後ら辺は小声で言う。
「ふーん」
俺は鉄のトレーに乗っているコンソメスープを飲んで言った。
「正彦さま」
「やっと…手に入ったか」
「はい。庵が持っていました」
「ふふ…あのムーンドールか。
よくやった、瑠依」
「いえ…」
スーツの女性が、小さくお辞儀をした。
「これで…フェンガリ教の
最終目的が終了する」
続く
あとがき
めいでーす
5話です!どうだったでしょうか?
これからフェンガリ教の謎や、
瑠依、スーツの女の人が
お面を必要としていたか、
分かってくると思います!
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とても嬉しいです!
次回もよろしくお願いします(*^^*)