表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鈴木な太郎君は薔薇の都で戦乙女と輪舞曲を踊れるか?  作者: へたれのゆめ
月曜日 目覚ましの音は閻魔の高笑い
15/38

十二時限目 立ってたい?いやあ、君は素直ですね



 小迷宮・入界門 第五層魔改造修業一ヶ月半経過




 


 鈴木 太郎



 Lv5


 HP 2012


 MP 401



身体 182(78)


気力 172(74)

 

生命 159(61)


精神 149(67)


魔力 81(28)


拒絶 222(121)


運  277(89)



称号 未来への重荷


クラス 力に餓える殺戮者


加護 狡智神の加護


スキル ・物理― 投擲(159) 足技(99) 棒術(75) 槍術(15)


・強化― 幸運(103) 血の滲む努力(槍) 戦士の勘(74) 下克上(55)


・特殊― 覚醒(3) 鑑定(245) 努力(26) 罠士(88) 盗賊(71) 隠密(124)




 「まだやってたんだ」


 イケメンが訪ねてきた。






 「いけない? 最近やっとコツがつかめて来たんで楽しくなってきた所なんだけど?」


 やれやれと呆れ顔のロキに返すと「べつに~」と言う適当な答えが返ってきた。


 それから何か言おうとしているが言葉を探している風な感じだったので、まとまるまで休憩をしようと腰を下ろした。この部屋は、少なくても後五分は何も湧いてこない。隣の部屋からモンスターが張ってこなければ、だが。


 今日の収穫は中々良かった。何しろレア鉱石の金が取れたのだ、しかもさらに希少な魔金が。確か相場は虚空のリュックが買えるくらいだったはず……しかし、加工すれば決戦兵器級の投擲槍にもなるそうだ。


 ……うん、今は金には困っていないし、保留としておこう。


 「……迷宮の調子はどうだい?」


 結局言葉が見つからなかったのか、在り来たりな世間話を振ってきた。いや、ここは彼が作ったのだし、これはこれで大切な質問なのかもしれないが。


 「最初は使いづらかったけど、ここ一月は満喫した修業が出来てるよ。」


 ほれほれとステータス表を見せてみると、初めて見た為かかなりびっくりしているようなロキ。わざとらしく飛び上がって見せる。


 「……いや、なかなかだとは思っていたけど、君どれだけ頑張っちゃってんの? と言うかどれだけ潜れば二ヶ月くらいでこんなに上がるのさ? ハッキリ言って地上にでたやつらの中でも中堅どころ位のステータスはあるよ? ちなみに三十前後くらいのレベルのやつらと比べて」


 「いやいや、それは無いだろう。どんだけサボったらそんなステータスになるんだよ? と言うかもう三十超えたやつ居るんだね」


 やはり地上は経験値多そうだなー、このままでも三十レベル行けば軒並み千超えるやーとか考えていると、ロキが少し困った顔をした。


 「いやー、中堅と一流との間にもかなりの差があるんだけど……ランキング一位の子と同じくらいの成長値してるんだよね、きみ。どう? そろそろ出て来る気は無い? 何だか外の待ってる子たちも心配したりイライラしたりで大変そうだったんだけど?」


 「主に彼が……ね?」とか言われると正直迷う。彼はサンタで決定だが、多分泣き出すヒヨコと癇癪起こす香住がアイツに突っかかるんだろう。普段の僕の立場なのでザマアとか思わなくもないんだけど……流石に何日もって言うのはかわいそうだ。


 「そうだね、それならそろそろ出ても良いけど……ランキングって?」


 聞き慣れない単語だ。


 「ん? ああ、そうか。君はまだ説明を受けていないんだね? ランキングって言うのはね、二月ごとに行われるランキング戦と普段のクエストの傾向で付けられる戦士の序列だよ。今の一位の子はね、この前行われた第二階大会の優勝者で、クエストをクリヤーすると溜まるクエストポイントが平均の倍と言う、何とも超人じみた子でね。……まあ、このまま成長すれば並び立つってんだから、君も十分超人じみてるけどね?」


 「やめてよ、僕はただの凡人の引きこもり。本当の超人って言うのは数値じゃあ測れない物だよ。まあ、数値でもひどいんだけどね」


 アイツとかアイツとかあの子とか……とにかく酷い差別だ。


 「おーい、遠い目してるところ悪いんだけど、ちょっと用事を頼まれてくれないかい?」


 少しボーっとしていたらしく、ロキに現実へ戻させる。目の前で振られている手を払ってから彼を見ると、相変わらず人好きのする笑顔で話を進められる。


 ロキの話では、とある鉱石が必要らしいが、それは今は余りで回らない物らしく、彼方此方当たっても見つからなかったらしい。そこで、ヴァルハラ内に在る鉱石なら大抵はランダムでドロップするメタルイーターを思い出し、まだここから出たとは聞いていない僕が持っていないだろうかと尋ねて来たらしい。持っていなかったなら、大量に湧くように作ったここでロキが直接狩りまくっても良いと考えてるとか。なるほど、これが本題なわけか。


 「で? 何ていう鉱石が必要なの?」


 一応色々便宜(半分は強引に)も図ってもらったわけだし、加護も(呪いとかじゃない事を祈る)貰っているから、御供え物(献上品?)くらいはしても罰は当たらないだろう。


 「助かるよ。欲しいのはメルディア鉱石とキルキ鉱石って言う物で、一応ノーマルランクの品なんだけど……ある?」


 「メルディアとキルキ、メルディアとキルキ……お、キルキはあった。メルディアは……そう言えば少し前にそんな鉱石が出た気がする」


 「ほんとかい? いやー良かった」とロキが良い笑顔で喜んでいる。イケメンが素で笑っていると変に気取るより良い顔する気がする……バクハツシロ。


 「ほんとだよ。じゃ、待っててくれる? ちょっと持ってくるから」


 部屋の倉庫は部屋からじゃないと操れない。だからしまってある物は部屋に戻らないと取り出せないのだ。


 が、


 「ごめん、時間が無いんだ。出来るだけ早く持っていきたくてね、悪いけどここで取り出してくれないかい?」


 とか言いながら、何時かのように腕を振って黒い霧を呼び出すロキ。そうだった、この方も立派なちーと神様でしたね、ええ。


 少し呆れながらアイテムボックスを開いて目的の物を取り出す。十七個あったので五つほど取り出し、キルキ鉱石も四つ取り出した。


 「はい。五つもあれば足りるでしょ? 上げるから早く持って行くと良いよ。僕はもう少し修業してから出るから」


 「おお、ありがとう。よしよし、これだけあれば何とでもなるだろう。いやー、本当に助かった。これはクエストとして扱っておくよ? ここを出た後、適当に時間が経った後に受理するようにして置くからね。報酬は……そうだな、コレで出来た物を一つ上げるよ。予想ではあまり強くは無いけど、使い勝手の良い物が出来るはずだ。量が在るともっと渡せるけど、どうする? 君の好きな便利道具だよ?」


 便利道具が好きと言われると、悔しいが否定は出来ない。実はこの年で通販とか大好きなんだ、親父も好きな物だからたまに同じものを買ったり相手のを勝手に使ったり……冬野のおばさんには何時もお小言を頂いてたな……と言うかなんで知ってんねん。


 どんなものかを聞いても、「出来てからのお楽しみさ」とか言われる始末だった。くそう、気になる。


 そういう事で(どういう事で?)取りあえず十五個づつ渡しておいた。ホクホク顔がウザイ。イケメンバk


 「そう言えば、具体的にあとどれくらいで出るんだい? なんならまた言づけでも預かるけど?」


 む? それは助かるな。遅れる時は連絡を入れると言うのはヒヨコとの約束だし。


 「んー、じゃあ切りよくあと二週間。待たせてゴメンって言っといて」


 「……ん? それだけでいいのかい? きっと出た時に大変だよ? 特に香住君とか」


 ……まあ、否定はしないけどね? 


 「別に大丈夫だよ、家の教育方針は報告すれば自己責任だから。言っておけば取りあえずは何位しても良いんだ。まあ、怒られる時は怒られるけどね。変な良い訳は逆効果だったりするんだ。だから大丈夫……だと思う」


 張り倒されるか正座させられるかくらいだろう……多分。


 「ふーん? まあ、取りあえず了解。コレ、楽しみにしておいてね? じゃあ僕はこれで」


 そう言ってロキは何時かのように消えるように居なくなった。


 「さて……と?」


 本当はもっとゆっくりやって行こうとも思ったが、そうも言っていられなくなったようだ。これは一日十二時間の修行では足りそうにない。


 これはあの(・・)計画を前倒しにする必要があるようだ。






 「と言う訳で、今日から迷宮に泊まり込む」


 「はあ?」


 「オーぼーダー! 説明が完結スギなんだヨー!! ちゃんとした説明ヲようきュうする~」


 アリアハムが噛み付いてきたのでもう一度説明することになった。



 そろそろやばいと思って、修業を打ち切ろうかと思う。


 でも、今のままじゃあ中途半端な感じなので、ここで一挙強化合宿を行う事にする。


 期間は取りあえず二週間後には出たいので、取りあえず六日間こもって一日戻ってくるを二セットしてから、最後の日に一気にここを出ると言う風にした。


 できれば六レベルに上がったら区切りを付けるとして、それまでは多少無理をする。


と言った感じだった。



 「ということ。分かった?」


 「……畏まりました。では準備をしますので少々失礼します」


 そう言って水場に下がるアル。……アレを作るんだろうな、多分。


 アリアハムの方を見てみると、少し拗ねたような顔になっていた。最近、この人は僕に対して甘えて来たような気がする、どうも日増しに精神年齢が下がって行くのだ。アルは気にしたようではないし、多分これが素なのだろう。


 彼女はそのままそっぽを向いてしまう。


 「……アリアハムさん?」


 「む」


 思いっきり顔を(目を)しかめられた。なんで?


 「え、と? ごめんなさい?」


 「……なんで謝るの?」


 「いや、その……僕のせいでキゲンがお悪いのかと?」


 「……ボソッ(ばか)」


 はい?


 「なんですって?」


 「なんでもナいヨ。そら、必要な物もあるんだロウ? 仕事ダしゴト!」


 結局、理由は聞けなかった。




 


 準備が終わり、短いティータイムを終えてから第五層に下りてくる。見慣れた場所だが、これから六日間、もっと見慣れるのだ。そう思って気を引き締め、ポーチからとあるポーションを取り出す。薄緑色のソレは、中身が対流しているようにうごめいていた。


 ……いつみても毒だよな…


 ホントのところは、一定期間中はHPを回復し続ける代物で、決してこの入界門から出ていないペーペーが持てる物ではないらしいのだが、そこはアルバイト無双で溜めたお金を叩いて買い揃えた分が物を言う訳でして、はい。


 とか言い訳しながら中身を一気に飲み干す。別にさっきまでのダメージが残っている訳では無く、これからの修行では、一個二時間三千ヤルクの代物を、効果を切らせずに使い続ける必要があるのだ。


 体に妙な活力の波が引いたり満ちたりするのを感じてから、僕はあるスキルを発動させる。


 覚醒スキル 不屈の労働者 


 これは、一定時間HPを少量ずつ削ることで、体に感じる疲れや眠気などをまったく感じなくさせ、また痛みなどもある程度は減少させることができる。そして発動中は少しずつ、しかし絶え間なく使用者の体を万全の状態に引き戻そうとする。すると、休憩も睡眠も食事も排泄すら必要なく働き続ける事が出来ると言うスキル技だった。


 ヒントは、ほんの少しずつ覚醒の効果を使えばどうなるのか、と言う考えだった。そこで、最初は敵の居ない所で試してみたのだが……結果は、初めてと言う事でほとんどのHPを使い切ってしまい、真面目に死ぬかと思った。


 そこで、本当に少しずつ試していき、ついにこのスキル技を作ったのだ。消費は毎秒一ずつのHPの消費だが、ポーションの効果は、十秒ごとに五十前後のHPの回復。


 つまりかなりの余剰分が出るが、今回の場合、安全第一なのだから仕方が無い。今更出力を上げてもどんな結果が出るか分からないし、暇が出来たなら調べる事にしよう。


 それに今回は、もう一つスキル技を試すつもりだし。


 ポーチから使い慣れた短槍を二本取り出し、ゆっくりと体を解す。同時に頭からすべての理性を追い出すように思考を薄くしていき、最終的に修業の事以外を頭の奥深くに押し込む。


 覚醒スキル 狂戦士の産声


 これは、少しずつ少しずつ思考を単純にしていき、長い時間をかけて戦闘に特化した思考に変化させ、全ステータスを徐々に強化していくと言うスキルで、消費するHPこそ不屈の労働者の三倍だが、それでも定期回復ポーションの範囲内だから大丈夫だ……多分。


 ふと、目の前に黒いウニウニが通って行く。あっちからは、この階段の間は見えないのでガッツリと無視である。


 しかし、それでいい。この宴の始まりは一方的な殺戮でなくてはならないのだ。


 ……思考がヤバイ方に傾いている事に気付くはずもなく、僕は哀れなイケニエ第一号にそろそろと向かっていく。






 





 さあ諸君、(さつりく)を始めようじゃないか



魔改造編・上でした~、次回は中に入りたいと思います。


 しかし最初のタイトル設定を適当にし過ぎました。かなり反省……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ