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鈴木な太郎君は薔薇の都で戦乙女と輪舞曲を踊れるか?  作者: へたれのゆめ
月曜日 目覚ましの音は閻魔の高笑い
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十一時限目 校庭十週と反省文十枚…どちらが良いですか?


 



 どうも怪盗の心眼は他者から見えないようになっている様で、付けたまま帰ってもアルとアリアハムには何も言われなかった。怪盗の装備だからステルス効果か何かが付いているのかもしれない。


 第五層で止まった事と三レベルにまで上がったのには驚かれた。どちらも少なすぎると言う意味で。


 アリアハムは八階層の七レベル位を想像していて、アルは今日中に制覇をして十一レベル位になると思っていたようだった。


 過度の期待を受けていると言う意味なのか、あのレベルの階層が続くと言う意味なのかは分からないが、しばらくは期待に沿えないと伝えるいい機会なので、これからの計画を伝える。


 ただし五階層の構造とモンスターが変わったと言うのは秘密にしておくことにした。あれだけの特典を貰って釘を刺されたのだから、少しでも秘密が漏れる様なことは防ぎたかったのだ。


 そのことも考えて、五階層のモンスターの内三割をマットパペットにしてもらった。これで多少レベルの上りが遅くても怪しまれることは少なくなるだろう。


 アリアハムは呆れながら訓練馬鹿と言い放ち、アルは感心したように頷いていた。


 どうやらアルも大器晩成型訓練法(成長値上げに勤しむ訓練法の事)の方が良いとは思っていたが、僕に会いたい仲間が居ると言う事に遠慮していたらしい。


 一瞬、瞳に野望の焔の様な物が見えた気がしたが、取りあえず見なかったことにした。アルが僕になにかするとは考えられないし。


 とにかく明日からはまた忙しくなりそうだ。


 


 ポケットに入っていた勲章をこっそりと鑑定してみると、それらはマキシマム・セロとミニマム・セロ、未来への重荷と言う物だった。



 未来への重荷   種別 勲章


 耐久 2000


 指定 R4


 効果 全ステータスが十分の一になるが、成長値が上がる値は二倍になる



 これからする事に対しては嬉しい贈り物だが、例の核兵器級の勲章も一緒に貰ってしまった。


……仕方ない、勲章は受け取った本人以外にも使えるらしいし、待たせたお詫びとしてヒヨコ辺りに献上しよう。


 そう心に誓って、僕は微睡に意識を預ける。






 次の日はアリアハムの在庫の中から、鉄製では無い槍を探すところから始めた。それでいてなるべく重く耐久度の高い物を探すと、それは以外にもあっさりと見つける事が出来た。



 重熊の骨槍   種別 槍


 耐久 1500


 指定 N



 名前に重とか入ってるんならと出してもらったら、それは一メートル位の深い緑色をした短槍だった。


 先端がやや湾曲した三角錐型(学校の校長室とかの旗に付いてるやつに似ている)になっていて、その全てが一つの物体から削り出されたように、継ぎ目などの見当たらない作りになっていた。


 持ってみると、その重さに愕然とする。二倍ほどの長さを持っているモナフェスよりさらに五倍は重いだろうか? とてもではないが、トリッキーな動きの戦闘には使えなさそうな重さだった。


 実際、試しに振ってみた所、突きや振り下ろしなどは上手くできたが、余り余計に振り回したりすると、直に手からすっぽ抜けそうになり、アリアハムに怒られた。


 しかし、これならば鈍器としても使えるので、メタルイーター相手なら使えるだろう。同じものを三本買い(一本三万くらい)、ポーチに入れてから拠点を出発する。


 いい加減な言葉と丁寧な言葉で送り出されながら、僕の訓練の第二弾が始まった。






 あれから三日。初日に買った短槍を二本壊してしまい、今使っているのは三本目と四本目の短槍だった。


 僕は、この修行で両手に一本ずつ短槍をもって戦うと言う事を試していた。どちらかの槍で相手をたたき、出て来た核をもう片方の槍で刺す事によって、以前と近い速さでの殲滅スピードを目指している。のだが、これが中々難しい。


 ステータス十分の一(もちろん勲章装備)のデメリットが在ると無いとでは、腕の疲労が段違いに違って来たのだ。そのため、少し戦っては安全地帯である階段に逃げ込むと言った戦法を取っているのだが、その休憩時間のおかげで中々修業が進まない。


 ならばともっと軽い槍でやろうとしたのだが、それではそれで威力が出ずに、核自体が出て来るほどの衝撃を与える事が出来なかった。


 そのために、こうしてチマチマと訓練している訳だが、これでも大分ましになってきた方だった。短槍と普通の槍では取り回しがの勝手が違い、普通サイズの槍と比べて槍術スキルの補正が少なかった事もあるが、やはり初めて使う短槍に慣れていなかった事が苦戦の理由だった。だから、迷宮に潜っていないときは取り回しの練習をし、アルにも教えを乞うた。アルもあまり短槍の扱いに詳しくは無かったが、それでもかなり慣れた手つきで振い方を実演してくれた。アルの話では、槍術スキルが上がっていけば派生スキルとして短槍スキルと言うスキルが出てきたりもするらしいし、短槍を使っていても槍術スキルは上がるらしい。


 まあ、つまりまたしてもアルとのマンツーマン講座をもってしての修練が行われて初めてここまで来れた、と言う話だった。最初は階段部屋の前を通りかかったメタルイーターをチマチマ狩っていて、昨日あたりから初めて連続の戦闘が出来るようになったのだ。


 それでも十体も倒すと腕が棒になりそうなダルさに襲われるのだが、今日の最初の方は五体が限界だったのだから、かなりの勢いで成長はしているのだろう。


 ちなみに今のステータスは




 鈴木 太郎



 Lv5


 HP 1823


 MP 376



身体 172(44)


気力 159(36)

 

生命 141(34)


精神 112(31)


魔力 75(18)


拒絶 180(61)


運  240(49)



称号 未来への重荷


クラス なし


加護 狡智神の加護


スキル ・物理― 投擲(90) 足技(35) 棒術(46) 槍術(5)


・強化― 幸運(61) 血の滲む努力(槍) 戦士の勘(13)


・特殊― 覚醒(1) 鑑定(147) 努力(10) 罠士(9) 盗賊(3) 隠密(8)




 と、なっていた。前に見たときから二レベルも上がっているのは、隠しクエストを達成した時に倒したマットパペット五百体の結果なのだろうが。それでも二レベルしか上がらないってことは、これ以上マットパペットを倒し続けてもレベルは殆ど上がらないと言う事なのだろう。


 今の僕には好都合だが、行かせんここを抜けるための平均レベルがこれくらいで良いのだろうかとも思ってしまう。


マットパペットからドロップするアイテムは、魔粘土が二十、魔石が百五十ヤルクで売ることが出来る。前にアリアハムが、ここに居ての平均収入が百前後と言っていたことがあるが、そうだとすると、ここを通る奴らは五 六体のモンスターしか倒せないと言う事になる。


こんなに弱いやつらに本当にそこまで手こずるのか疑問だが、これを聞くと、アリアハム辺りは呆れ顔で「ハいハい強シ強シ」とか言ってはぐらかしてしまうし、アルに至っては「さすが我がマスターです」とか言って話をそらしてしまう。


取りあえずは修行の成果と言うことでプラスに考えようとするが、染みついた凡人根性のためか中々受け取れないのが現状だ。


……それにしても、問題は加護だろうか? 狡智神……狡智は確かずる賢いとかそういう意味だったはずだ。と言う事は…と言うか関わりのある神様なんて一人しか思い浮かばない。あの人、ここまで大盤振る舞いしていいのかな? まあ、良いんだろうな、そう言う人種みたいだし。


鑑定でも効果がはっきりしないのだが、これを手に入れてから拒絶の成長値の上りが凄いことになっている。十五回攻撃程されれば一は必ず上がっているので、いつの間にかステータスで一番高くなってしまった。


良い事なんだが……慣れないチート能力をいきなり手に入れた様で落ち着かないやら明日には凄惨な死が待っていそうな気がするやらで気が休まらないことこの上ない。






怪盗の神眼を手に入れてから得た三つのスキルは、中々良い物だった。


盗賊スキルは、ドロップアイテムの落ちる確率が上がるのと、急所に攻撃を当てると一定格率でアイテムが手に入ると言う物があり、また忍び足と言う技が使える。


技とは、スキルを手に入れたり鍛えて行ったりすると出来るようになる物で、普通はスキル熟練度の中で出来る行動を自分で決めて練習することで、攻撃力が上がったり早く攻撃出来たりする行動がとれるもので、一般的には剣術スキルや槍術スキルの三段突き(素早く鋭い突きを三回繰り出す)や弓術スキルの二連打ち(二本の矢を同時に打てる)などがあり、普通こう言った物は地上に戻った後に、専門の道場で教えてもらうらしい。人によっては自分で作ってしまう者もいるらしいが、そう言った物も道場に売れるので、殆どの動作は道場にそろっているらしい。


まあ、ここから出なければ関係ないし、アルから槍術スキルは教えてもらえるのであまり違いは無いのだが……


話が反れた。


次に、隠密スキルは、隠れる事に特化したスキルで、盗賊でもあった抜き足が使え、また抜き足をしている最中は敵に発見され難いと言うスキルだ。しかも隠密発動中に攻撃した場合は結構な確率で相手の拒絶の値を無視した攻撃を与える事が出来、しかも相手の精神の値がこちらの拒絶より低いと、その差だけ一定距離を開けた攻撃の後に発見され難いと言う物だった。


そう、投擲と非常に相性がいいスキルなのだ。これのおかげで、入り口近くから遠くのマッパペットのみを石で危険なく(隣をメタルイーターが通っても気付かれなかった)狙撃すると言う方法も取れた。まあ、距離もあるため一撃じゃ沈まないし、暇つぶしと投擲の練習にしかならないのだが……


まあ、隠密の練習にもなったので良いけどね。


そして最後に、前に欲しいと言っていた罠士だ。罠士は、罠を見つけたり設置したりすることに必要なスキルで、一部の特殊な罠は罠士では無いと設置できない。が、これははっきり言ってこのモノクルがあると意味が無い物だった。


これには罠掌握と言うスキルが付いていて、あらゆる罠を発見し、一べつするだけで解体してしまうと言う物で、しかも材用さえ揃っていれば、MPを一消費するだけで作れてしまい、また設置も思いのままと言う鬼畜使用だった。


しかし、作る罠は正確に理解している物でないと作れず、そう言った設計図は地上の資料庫で閲覧しなければならないらしい。そしてそのためには相応のスキル熟練度が無いと閲覧できないので、結局は上げなければならないのだが……最悪解体した罠は構造が解るので、歩いて迷宮を回るだけでも作り方は分かっていくようだ。


「まあ、上げるけどね」


メタルイーターの核を短槍で貫きながら、五メートルほど先にある落とし穴を解体する。良く解らないが、落とし穴系を解体すると、空間と言うアイテムが手に入った。アイテムボックスから出してみるとそれはビー玉サイズの玉で、鑑定の結果に従って床に叩きつけて見ると、そこを中心に一メートル四方の正方形の穴が開いた。どうやらこれを幾つか使う事で這い上がれない穴を作ったり、鉄杭などのアイテムを併用して仕掛けるのだろう。


しかし……


「中に硫酸入れるとか、チュートリアルの難易度じゃないって」


ここの罠は総じて威力の高い物ばかりだった。硫酸の溜まった落とし穴は当たり前で、踏んだら三ダース位の鉄杭が横向きに飛んでくるスイッチとか、地雷とか……いくらなんでも危なすぎだ。見ないでも何となくある場所が解るとはいえ見つけるたびに肝が冷える。


「それに見合った熟練度は手に入るんだけど……良いのかなこんなに楽して?」


何だか他のスキルに比べると非常に上がりやすいのは良いが、何だか少しだけ釈然としなかった。なにが、とは言わないが。






 このスライムモドキたちは色々な鉱物をドロップするようで、鉄や銅などの良く知った物から、アハルマチ鉱石やアルテナ鉱石とか言った良く解らない物まで落としていくので、今現在僕のポーチには七十種類くらいの鉱石が収まっていた。


 諸事情のためアリアハムに売り飛ばすわけにもいかないので、段々とアルに見せられない拠点の倉庫(拠点の燭台には倉庫機能も付いていて、これはお金を払えば追加の倉庫が使える。入れられる物は、倉庫一つにつき百×百)が目立って来た。ちなみに七つ持っている内の二つが秘密倉庫で、僕の権限が無いとアルにも開けられない(他の倉庫はアルにも開けられるようにした)ようになっている。


 どうも十個に一個ほどで魔力のこもった鉱石が出てきて、そう言った物は魔鉄とか魔アルテナ鉱石とかと言う名前になっている。


 そう言った物は、同じ鉱石でも同じ棚に入れられないので被ってしまい、ある程度溜まったら帰らなければならないので面倒だった。今度アリアハムから新しいポーチでも買おうか……


 今回ももう空きが七つほどしかなく、このままだと後一時間ほどで帰らなければならないだろう。


 僕は手に入れたアイテムを捨てると言う行為が、それが何であろうと大っ嫌いなのだ。


 その後、二時間ほどで収納出来ない鉱石が出てきてしまったので拠点に戻り、全財産をはたいて虚空のリュックなる物を買った。内容量が百×五百と言う化け物の様なリュックだが、コツコツ溜めたアルバイト代の一千万ヤルク+アリアハムに二千万の借金をする羽目になった。しかし、前の借金(強引な貸付とも言う)も払い終わっていたので、中々に気持ちよく(絶対に変だが)借りる事が出来た。















 アリアハムの「金づる万歳」と言う呟きは無視しよう。きっと信用の証だ、うん



 彼の金銭感覚はかなり狂ってます。


 だって、一ヤルク一円位なんですから(笑)


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