第84話 愛し続けると誓います
第三章、終幕です!
「俺と結婚して、一緒にこの国を支えて欲しい」
「っ!?」
『俺にはアリシアがいる。だから、お前は要らない。お前はもう、未来の国母になれない』
半年前、別邸で言われた元婚約者の言葉が蘇る。
毎日のように王太子妃教育を受け、未来の国母になることだけを信じて歩き続けた十年。
その全てがあの日、たった一言で否定された。
――私の存在も、私の努力も、何も見ようとしなかった元婚約者に否定された。
そんな私が、再び『未来の国母』になる日が来るなんて。
驚きに目を見開いた私を見つめたまま、フォール様は両手を優しく包み込み、真剣な表情で言葉を続けた。
「そして……一緒に幸せになろう。誰かに奪われ、虐げられていた分も含めて」
「っ!」
『お義姉さま、交換してください!』
お母様が亡くなってからずっと、私は公爵家や王族から大切なものを奪われ、多くの人たちから理不尽に虐げられてきた。
けれど――
『俺が……いや、私が、リスタット辺境伯家長男、フォール・リスタットです。今日、貴方を未来の妻として迎えられたことを、心から光栄に思います』
『これから先、君が何を話しても、君がどんなことをしようとしても、俺が全て受け止める。そして、絶対に君が害されるようなことはしないし、させない……未来永劫だ』
私の全てを知った上で、フォール様は『婚約者交換』で辺境へ来た私を、その言葉と行動で見守り、支え、導いてくださった。
――私、この人じゃないと幸せになりたくない。
だから……!
震える唇をぎゅっと噛み締める。
溢れそうになる涙を堪える。
そして――
「はい!」
フォール様からのプロポーズに笑顔で頷いた。
その瞬間、満面の笑みを浮かべたフォール様は立ち上がると、私を力強く引き寄せ、そのまま強く抱き締めた。
「フォール様!?」
「ありがとう、カーラ。本当に……ありがとう」
「フォール様……」
耳元で聞こえる彼の震える声が、どれだけこの日を待ち望んでいたのか、痛いほど伝わった。
――フォール様、私を諦めないでくれてありがとう。
すると、顔を上げたフォール様が満面の笑みを浮かべる。
「カーラ。俺はこれからもずっと、君を愛し続けると誓う」
「っ!?」
『カーラ、愛しているわ』
お母様の最期の言葉が脳裏をよぎる。
溢れ出した涙を見られたくなくて、私はフォール様の胸へそっと顔を埋めた。
「カーラ!?」
珍しく慌てるフォール様が少し可笑しくて、思わず小さく笑みが零れる。
涙を拭い、私は真っ直ぐ彼を見上げた。
そして、勇気を振り絞り、私は初めて彼への想いを口にした。
「フォール様。私もこれから先、フォール様を愛し続けると誓います」
この言葉を伝えたいと思えたのは、フォール様が初めてだった。
元婚約者には、一度も伝えることのなかったその言葉を、私は初めて口にした。
その言葉を聞いて、耳まで真っ赤に染めたフォール様は、誰よりも幸せそうに微笑んだ。
――この方と一緒に国を支え、そして、幸せになろう。
互いに笑みを交わした私たちは、ゆっくりと距離を縮める。
そして――初めて口づけを交わした。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
というわけで、二人が初めてキスしたところで第三章終幕です!
甘々だった第二章とは違い、シリアス全開の第三章でしたが、いかがでしょうか?
短編以上に重厚なお話になったと思います。
個人的には、話のバランスが非常に難しく、何度もリライトした章でした(笑)
次回、ついに最終章です!
全てを取り戻したカーラの運命は!?
最後まで楽しんでいただけると幸いです。
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(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)




