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記録60 通信異常について


 特務魔術師エウラーリエが言うには、今日、魔術装置による帝都と自由カオラクサ間の通信において、通信異常が発生したらしい。それは、これまでの散発的な信号の乱れや通信途絶とは違ったという。全ての通信を塗り潰す異様な波形が、数分にわたって観測されたのだという。

 わたしはなんだか嫌な予感がして、特務魔術師エウラーリエがに尋ねた。

「それは、皇領ルガンエに埋まっている魔術装置が関係しているのではありませんか。例えば、彼の地で黒い石碑がついに発掘されてしまって、それを手に入れた貴族派の連中が物のためしにと適当に動かして、その時の信号をこちら側で受信したとか……」

 エウラーリエは困ったような顔をした。

「その可能性は低いと思われます。いくら黒い石碑の表面に説明が刻まれているとはいえ、それを解読して、実際に信号を発信する状態まで用意するには、どうしても時間がかかるはずです。わたしたちが魔術装置を動かせているのは、知見の蓄積があるからであり、貴族派にはそれがありません」

「その知見が、漏洩している可能性は?」

「執政殿」と、特務魔術師殿エウラーリエはこちらをじっと見た。「仮定に仮定を重ねても、実際の問題の解決にはつながりませんよ」

 こちらの不安症を指摘されると、わたしは恥じ入るしかなかった。

「いや、申し訳ない。特務魔術師殿のおっしゃる通りです。──しかし、黒い石碑の埋蔵地点という機密が、すでに漏洩しているわけで、それを考えると……」

「──」

 一瞬、特務魔術師殿エウラーリエが何かを言いかけたように見えた。しかし、彼女はすぐに思い直したように、口をつぐんだ。

 彼女はひとつ咳ばらいをすると、何かを取りつくような感じで、いった。

「──皇領ルガンエの件については、共和政府も、手を打っていると聞いています。執政殿のご心配には及びませんよ」


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