勇者な村人D 1話
本日二度目の投稿。後にもう1話投稿して、今日の分は終わりです。
ーーーアルグ王国辺境の村、カサン村。
ここで、数日前に奇怪な発光の目撃情報アリとの報告を受け、王直属近衛部隊【聖騎士】隊が調査に向かっていた。
黄金色が太陽に反射する、目に痛いくらい眩しい甲冑を身に纏い……これまた豪華絢爛な馬に乗り何処までも続く田舎道をひたすら歩く御一行。
その先頭の、明らかに周りの騎士より一回りも二回りも小さな騎士。
【聖騎士】隊団長シャーロット・S・ガーネット。
国王と同じ【ガーネット】の家名を持つこの者こそ、次期王女であり、また国一番の戦力と謳われ【女傑】とまで呼ばれたにも関わらず、まだ少女と言っても過言では無い年頃の女の子である。
突然だが、シャーロットは国一番の……などと口が裂けても言えないが、博識だった。
そして同時に理想の【勇者様】を夢見る………それこそ年相応の少女だった。
ーーー真紅に燃ゆる《劔》の紋章。
伝承では金剛石かの如く発光したり、サファイアのように深い輝きを見せたり……また、《劔》を模したものでなく、《槍》を模したものであったり、《槌》を模したものであったりーーーと、多種多様、伝承ではその勇者様に一番合った【属性】と【武具】が紋章に現れる…………と記されてある。
向かう途中で聞いた話では、今代の紋章はガーネットの如き真紅の煌めきと、雄々しい《劔》を模した紋章だという。
一体何処の誰が今代の勇者様に選ばれたのかは未だ分からないが、【属性】は火で、得意な【武具】は剣と来た。
何故か道行く人に聞く勇者様像があやふやすぎて、全くと言っていいほど勇者様という人物が掴めないのだが、私には分かる!ーーーと、
まるで恋慕する少女の様に思考はピンク一色で、されどそれを表に出さない。
実はそんな残念美少女だとは【聖騎士】隊の誰一人として気付いてなかった。
「無礼を承知でお聞きします隊長!」
唐突に話しかけて来たのは【聖騎士】隊副隊長、ディオン・オリオン。
鎧の下からはくぐもった声しか聞こえないが、根は誠実で王からの信頼も厚い。また、武芸にも通じていて槍を使えば右に出るものはいないとまで言われている。
「よい、発言を許可する」
「ハッ!実は隊の中で我々の目指しているものと隊長の目指しているものに微かな相違があると噂になっているのですが………我々が目指しているのはあくまで謎の発光物体ですよね?魔王軍の進行が激化した今、例えこんな辺境の地でも潰すべき種は潰す……そう考えての進行だと………」
「ふむ………」
シャーロットは悩む。別に本当の事を話しても良いのだが、もし、万が一、最悪の可能性を否定できない自分がいる。
一番その可能性を否定したいのに、否定しきれない自分がいる。
「仕方がない、判断はお前に任せる。実はな………」
ここでとった行動はこれだ。
ーーー責任転嫁。
例え、最悪の可能性になって隊の士気を下げたのは私じゃないからね!違うんだからね!を使ったのだ。
「ハッ!………まさかそんな事が……流石博識なシャーロット様!拙、感銘を受けました!」
「む、むう……そうか?こんなもの文献を漁れば幾らでも出て来ると思うが………」
「いえいえ!拙達が日頃行っている事と言えば一に鍛錬、二に鍛錬、三四は飛ばして、五に鍛錬!ですから!」
「よし、帰ったら勉強会を開くぞ」
「………え"っ」
我が隊が思いの外脳筋過ぎたことに、今更ながら危機感を覚える次期王女であった。




