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超越者――戦争の終わる日  作者: 4ランクは下の人間
第四章 日本編

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第四章1 超越者ノ間

超越者が日本の天皇を代行者に選んで半年後、


まだ北朝鮮が日本へ攻撃していない時分の話である



超越者ノ間

それは東京に設置された。


正式名称は、超越者対話機構。


通称、超越者ノ間。


その施設は、東京の中心部に建設された巨大な建物ではなかった。


むしろ、外観だけを見れば驚くほど質素だった。


そこにあるのは、一定の面積を持った特殊な区域。


そして、その区域に天皇、あるいは三親等以内の皇族が入ったときだけ、超越者との対話が可能になる。


これまで、超越者から人類への一方的な対話は存在した。


しかし、人類側から自由に超越者へ質問することはできなかった。


超越者から政治介入する気はない。


それでも、以前から超越者は説明責任について語っていた。


そして何より――


超越者の出現によって、日本政府には世界各国から問い合わせが殺到していた。


その対応に追われた日本政府は、天皇を通じて超越者に一つの提案を行った。


超越者と人類が対話するための、恒久的な場所を設けたい。


その提案に対して、超越者は答えた。


『作ればいい』


そして、条件を示した。


代行者、あるいは代行者の血族が一定の区域に入った場合、その場所で対話できるようにする。


一つの対話空間だけでは足りないのであれば、その上下に同じ仕組みを持つ空間を作ればいい。


複数の場所から同時に対話することも可能だという。


超越者にとって、同時に複数の人間と会話することは問題ではなかった。


人類にとっては、それだけでも理解し難い話だった。


こうして超越者ノ間は建設された。


その超越者ノ間が完成した。


母屋そのものは三階構造。


地下にも対話可能な空間が設けられた。


さらに隣接する建物を接続することで、施設全体は九つの階層を持つことになった。


必要であれば、将来的にさらに増設することも可能だった。


そして――


それぞれの階層で、別々の人間が超越者と対話できる。


アメリカが質問している間に、中国も質問できる。


中国が質問している間に、日本も質問できる。


国家と国家。


政府と科学者。


軍人と外交官。


それぞれが、それぞれの問いを投げかける。


それに対して超越者は、何の負担も感じることなく答えていく。


軍隊も必要ない。


核兵器も必要ない。


巨大な通信設備も必要ない。


ただ、そこにいるだけでいい。


それだけで、世界各国が日本へやって来る理由になった。


日本が超越者を支配しているわけではない。


超越者が日本の命令に従うわけでもない。


それでも――


世界で唯一、超越者と対話するための正式な場所を持つ国。


その事実だけで、日本の立場は大きく変わっていた。


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