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田舎のヒキニートおじさん、化物になってものんびり暮らしたい 〜裏山で巻き込まれて烏と狐に目をつけられた〜  作者: イシクラゲ


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龍と部屋






 天狗に


 


 この老人が龍だと告げられた。


 


「……」


 


 少しだけ、驚く。


 


 だが、納得もしていた。


 


 天狗や九尾とは、明らかに違う。


 


 “何か”が違う。


 


 格というか。


 


 存在そのものが、違う。


 


 視線を向けられる。


 


 龍に、見られている。


 


 その瞬間、背筋が伸びる。


 


 何もかも、見透かされているような感覚。


 


 思考。


 


 過去。


 


 今。


 


 全部だ。


 


「……」


 


 言葉が出ない。


 


 だが


 


 とりあえず、挨拶はする。


 


「……はじめまして」


 


 それだけ言う。


 


 そのまま


 


 収納鞄から、酒を取り出す。


 


 親父や、カラス、亀に渡そうと思って買っておいたものだ。


 


 とっておきの日本酒。


 


 何かあればと思って、用意していた。


 


 こういう時に使う。


 


 ついでに、おせち料理も出す。


 


 テーブルの上に並べる。


 


「……つまらないものですが」


 


 そう言って置く。


 


 ふと視界に入る。


 


 テーブルの上に


 


 林檎のタブレット。


 


「……」


 


 見なかったことにする。


 


 九尾が言う。


 


「こやつがお主のクエストを受けたのだ」


 


 龍に向かって。


 


 龍がこちらを見る。


 


 そして、軽くうなずく。


 


「……礼を言う」


 


 短い言葉。


 


 それだけで、重い。


 


「……いえ」


 


 軽く返す。


 


 そこからは


 


 なぜか、普通の時間になった。


 


 酒を飲む。


 


 料理を食べる。


 


 会話が始まる。


 


 内容は


 


 アニメ。


 


 漫画。


 


 ネット小説。


 


 配信。


 


「……」


 


 黙って聞く。


 


 天狗も九尾も、普通に話している。


 


 龍も混ざっている。


 


 普通に盛り上がっている。


 


「……」


 


 思う。


 


(こいつら、オタクだな)


 


 だが、口には出さない。


 


 どうやら


 


 異界でも、日本の文化は広がっているらしい。


 


 特にこの辺りは、影響が強い。


 


「……なんでだ」


 


 小さく疑問に思う。




 視線が、林檎のタブレットに向く




「……」


 


 その流れで、龍が言い出す。




「お前たちにより凄く」


 


「面白いものを作った」


 


 少し得意げに。


 


「……何ですか」


 


 聞く。


 


 龍が言う。


 


「修行部屋だ」


 


 そして、続ける。


 


「外の世界の一日が、中では一年に相当する」


 


 少し間を置いて。


 


 かっこつけて言う。


 


「……」


 


 一瞬、沈黙する。


 


「……それ、あれですよね」


 


 言いかけて、やめる。


 


 名前は出さない。


 


 たぶん、怒られる。


 


 天狗が反応する。


 


「じゃあ使うか」


 


 即決だ。


 


 九尾も


 


「いいな、それ」


 


 乗る。


 


 やる気だ。

 


 三人が、こちらを見る。


 


「……なんですか」


 


 嫌な予感しかしない。


 


「修行だ」


 


 天狗が言う。


 


「……いや」


 


 丁重に断る。


 


 だが、無理だった。


 


 天狗が言う。


 


「柔術と槍術を教えてやる」


 


 九尾が続く。


 


「剣術と呪詛に解呪だな」


 


 さらに


 


「お前、呪いがあるからな」


 


「解呪もやっとけ」


 


「……」


 


 逃げ道がない。


 


 龍も笑う。


 


「行ってこい」


 


 面白がっている。


 


「……」


 


 断れない。


 


 その前に、龍が手を動かす。


 


「礼だ、加護をやる」


 


 そう言う。


 


 加護を与えられる。


 


 体に、何かが流れ込む。


 


 軽くなる。


 


 感覚が変わる。


 


 さらに、鞄を渡される。


 


「これも持っていけ」


 


 受け取る。


 


 開ける、収納鞄か。


 


 中を確認する。


 


 小瓶だ。


 


 龍の涙に見える。


 


「……これ」


 


 聞く。


 


 龍が答える。


 


「儂の涙だ」


 


「……は?」


 


「その中に大量に入っている」


 


「……」


 


 意味が分からない。


 


 説明される。


 


 最近、配信や書籍を見て。


 


 歳のせいか、涙もろい。



 すぐに涙が出る。

 


 その涙を回収していた。




 大量にあって邪魔だった。


 


「……」


 


 言葉が出ない。


 


「だから大量にある」


 


 龍が笑う。


 


「これからも増える」


 


 楽しそうだ。


 


 さらに


 


「修行には使える」


 


「腕が切れても問題ない」


 


「……いや」


 


 問題しかない。


 


 だが、誰も気にしていない。


 


 そのまま


 


 天狗と九尾に腕を掴まれる。


 


「行くぞ」


 


 逃げる暇はない。


 


 次の瞬間。


 


 修行部屋へ


 


 連れて行かれた。


 


 時間の流れが、変わる場所へ。






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