レティシアとコスモノワール!2(5/20)
蕎麦屋さんの続きだ。
結局あんみつはお代わりをすることになった。それぞれ、「お昼ごはん」と「デザート」という位置づけになることで意見は一致。
別に聞きたくもなかったのだけど、何故か宇宙軍に詳しいソフィアによると、宇宙軍は13それぞれの星系でイメージカラーが異なるとのこと。で、白の制服にワンポイントでその色をあしらうのが普通らしい。
我らがトレジエム軍は真っ黒だったじゃないか。
そういや、ジャーヴィ達も黒かったな。「黒の団体」くらいにしか思っていなかったけど。
そんなことを話しながらアカリさんが出て行ったドアを見ると、ちょうど話していた「コスモノワール」の制服の女性が入ってきた。
私たち四人と目が合ってしまって女性はびっくりしていたが、意を決して私たちのほうに近づいてきた。
「こ、こんにちは……」
私を見てるな……。この四人だったら、マリーが頭ってわかるだろうに。
「えっと、身構えないで!私はレベッカっていうの。見ての通り宇宙軍所属なんだけど」
「さっきの男の人の彼女さんですか?」
出た、ソフィアの特殊能力「先制攻撃」。
新しいユニットが場に出ると高確率で(ダイスを振り、奇数値が出た場合成功)攻撃ができる。相手は防御できない!そしてこの効果は敵味方関係なく発動する!
「え?」
ソフィアのあんまりな第一声にレベッカさんも答えに詰まる。それで、なんで私を見る?
「違うよ!確かにちょっといいかもって思うけど、あれよ?憧れの先輩ってやつで!」
レベッカにクリティカルヒット!私にもなぜかダメージ。
「まぁまぁ、時間があるのでしたら、こちらに来ませんか?」
「……ありがと」
マリーの勧めでレベッカさんはテーブルの空いている席に座る。
「いきなりごめんなさい。もう一人連れがいて、トイレから全然出てこないから外で待ってたんだけど、暑くてね。制服を着崩すくらいなら、店で涼ませてもらえって、隊長が……。隊長ってさっきの男の人ね、あ~隊長じゃないんだけど癖でね」
レベッカさん自身は、ごく普通の人だった。まあ、動作の一つ一つに隙がなかったり、時折トイレのほうを見る時に隠さない殺気とか、怪しいところは多々あったけど。
結局彼女もあんみつを注文した。
連れの人、なかなか来ないね。トイレで倒れてたりしてない?
「バイタルに急激な変化があれば、判るようになってるのよ。……まだ生きてる」
どこを見て言ってるのやら。
「それ、コンタクトレンズ型のモニター?」
「……秘密にしててね」
そのゴードンとやらはトイレとは全く反対のほうから現れた。
「ゴードンさん、どこに行ってたんですか?」
彼はレベッカさんの隣の席に座る。
「ちょっと司令に捕まってた。お、レベッカ良いもの食べてるな?おねーさん俺にも一つ!」
ゴードンさんの図々しさに、みんな呆れている。
「皆さんごめんなさい、この人を軍の標準と思わないでください、かなり酷いほうなので。ゴードンさん!せめて挨拶してください」
「ああ……失礼した。トレジエム防衛軍教育大隊の少尉をしている、ゴードンという。……あれ?アカリは」
「外で待ってますよ」
「なんだ、アカリの席じゃなかったのか。あ~ほんとゴメン。あいつ関係でなんか説明要らないかな、とか思ってた。うわ、なんだ可愛い子ばっかりじゃないか!レベッカ、なんでお前こんな席にいるんだ?」
「騒がしいな……。そこの、奥のプラチナブロンドのお嬢さんが隊長とお知り合いなんです。そのご縁で、待たせてもらっていたんです、あなたを!」
ゴードンの、もう呼び捨てでもいいだろう、デザートが運ばれてきたのと、ちょうどしびれを切らしたアカリさんが入店してきたのはほぼ同時だった。
アカリさんは店員さんに何か伝えると、私たちのテーブルに近づいてくる。
今日はまだお話できていないけど、逢えてうれしいな。凄く怒っているようだったけど、私を見ると表情を切り替えて笑いかけてくれた。でもまた……そりゃ怒るわな。
笑顔の消えた私の様子を見て、二人はとても大事なことを思い出したようだ。怖くて振り返ることができないみたい。
「……ゴードンさん、やばいよこれ。隊でタナカ君がお仕置きされてた時のオーラです」
「え、タナカって廃人になったあの?」
「あ、それはまた別の理由で……」
何それ、軍隊コワい。
「君達、これはどういう状況だ?」
「ゴードンさんを待っていたら、皆さんが会話に誘って下さってお喋りしてました」
レベッカさんに関しては私たちも擁護する準備がある。
「それは理解した。皆さん、レベッカがお世話になったね。僕は彼女の元上官で、アカ……すまない、名前はここでは控えさせてもらう」
ゴードンのおかげでみんな知っていますけどね。
「レティシアの彼氏さんでしょ?」
ソフィアの能力が発動した!
「だと良いんだけどね」
ダイスチェック失敗!え!でもそれって!?
「まあこんな格好しているけど軍属ではない。街であったら挨拶くらいはさせてもらうよ。で、ゴードンは?」
「戻ってきて、私がこの席にいるのを見つけたら勝手に混ざってきて……」
いっさいの擁護もないレベッカさんの説明だが、いつもの事なんだろう。
「ゴードン」
「おう……じゃない、はい!」
「体調は戻ったのか」
「はい、快調です」
アカリさんはため息をついて怒りを消すと、私達に話しかける。
「君達、大事な時間をとらせて済まなかった。……もしこの後時間があればで良いんだが、もう少し彼らに付き合ってやってくれないか?」
え?ラッキー?アカリさんとお話しできる?
「私は良いけど、皆は」
マリーが問いかけるとほかのみんなも肯定する。
「ありがとう。彼らはちょっと事情があってね、友人がいないんだ」
「隊長、言い方!」
レベッカさんはそうは見えないけど。
「じゃあね、レティシアさんまた。ご友人達もお騒がせしました」
アカリさんはとくに振り返りもせず店を出ていってしまった。
「……彼女残して行っちゃうんだ」
「……彼女じゃないし!」




