レティシアと冬は終わり
私の奇行のせいで冬っぽいことが出来ていない?奇行というのは訂正してほしいけど、確かに冬っぽくなかったのは理解するよ。
「冬っぽいことって何?」
そもそも暖かい星都に一番似合わない言葉じゃないかな。
「煮込む?」
私、大得意だ!
「オールシーズン煮込んでるよね」
「レティシアの煮込みは最高だ!」
マリーの反応を見るに、不正解だったようで。
「冬の行楽か……。でも冬って、春の準備しなきゃだから、そもそも遊ぶ暇なんてないよね」
「ああ!それは置いてて!」
「冬スポーツかな?スキーとかスケートとか」
なんか誤魔化された?
スキーなんてどこでやるの?そもそも雪は降らないし、降っても湿った重い雪質らしいから、スキーには向かないって聞いたよ。北の山岳地域まで行かないと楽しめない、金持ちのスポーツだ。まあ、……私は経験者だけど!
「レティシアって何考えてるのかいつも謎だけど、ドヤ顔は可愛いよな~」
「それは認めざるを得ない」
ひそひそ話も聞こえてるよ。二人とも私のこと好きすぎるんしゃない?
「で、いつ行くの?スキー」
「え?行かないけど」
うん、この二人のあきれ顔も見慣れたな。
実は私もスキーに行かない理由は分かっている。
「ごめんごめん、冬らしい話題はおしまい」
「話題として言ってみただけだから」
なんと、一週間くらい前に急に終わってしまったのだ、冬は。気象の専門家によると、あと一回は寒くなるだろうけど、それは続かずもう春なのだとか。
「コレはアレね、早く出て行けってことよ?キミたち」
「ひっどい!さすがレティシアは美人なだけあって心は冷たいのね!」
むずかしいカラミをするなよ。ソフィアは無視しよう。
「レティシアはそんなに私達を追い出したいの?」
そう問われれば、悪いけど答えはイエス。でもな~ここは答え方だろうね。
「二人が居てくれて、とても心強かった。安心できたよ」
「そうだよ、私たちが出て行ったらまた……」
「でもね!……お世話するのが、大変なんだ」
また二人そろってビクッとした。面白い……。
「約束だよ、冬が終わるまで。その後は……私が決めるの」
街で暮らしていけないなら、故郷に戻るしかない。
でもね、私なりに勝算はあるんだよ?それを最初から出来ないって決めつけて、その辺は正直頭に来る。
「でも……レティシア」
デモもストもないの。
「じゃあ、どうして帰りたがらないの?逆に聞くけど」
今までのこの子達の様子からして、私が街で暮らせないという心配じゃなくて、町に帰らせたくないらしいんだ。心配のポイントがたぶん違う。それは何故だ?
「私に何か隠してない?」
「それは……」
くう……
「ソフィア?」
「あ、ごめん。……はは、おなか空いたね」
「少しは我慢してよ、ってもうお昼ね。今からだと時間がアレね。外で食べよっか?……二人とも、その顔やめなさいって」
私ほどではないけど十分可愛いお顔が台無し。ポカーンとしてるとはこういう顔だの見本みたい。ヒドいことになってる。
「えっと、私たちが帰る話だけど……」
「そうだったわね。ソフィアがお腹に獣を飼ってるから、脱線しちゃったね」
「そこまでヒドくなかったでしょ!」
うん、可愛い音だったよね。
「ほら、今日とか明日だったら準備もできてないし……。あと一回寒くなるって言ってるから、それまで待って」
「……わかったよ」
天気予報によれば、明日は一転、冬の寒さが戻るらしいけどね。軽い頭痛がするのも、天気が急に変わるからだろう。イテテ……。
「レティシア、どうしたの」
「ちょっとね、頭が少し痛い。……天気痛ってやつかな」




