《はじまりの話》朧 瑠璃 / 三浦 湊斗 2:可能性
[背景: 湊斗の部屋 昼]
湊斗: ……。
[背景: スマホの画面]
記事: VTuberなら可能性がある、と言われたんです。
[背景: 湊斗の部屋 昼]
湊斗: 可能性。
湊斗: (曖昧な言葉だ)
湊斗: (パーセンテージは気分で容易に恣意的に上下する)
湊斗: 奇跡とあんまり変わらないよなあ。
湊斗: (結局のところ、話し手にとって都合の良い何かでしかない)
湊斗: (そんな曖昧なものに、人生を預けられるのかな)
[背景: スマホの画面]
記事: 28歳元アイドル、次はVTuberに挑戦
[背景: 湊斗の部屋 昼]
湊斗: (俺は26歳)
湊斗: (2歳差なんて、似たり寄ったりかもしれないけど)
湊斗: 可能性。
湊斗: (俺にはあるのかな)
湊斗: (プログラマーとしての可能性?)
湊斗: (それとも、マネージャーとしての可能性?)
湊斗: (……あれ、今これ、俺って人生の転期ってやつじゃないか?)
湊斗: 人生の転期。
湊斗: (このままプログラマーを続けるのか)
湊斗: (本格的にマネージャー業を引き受けるのか)
湊斗: (あるいは……他の選択肢)
湊斗: 他の選択肢?
湊斗: (そう、例えばこの28歳さんが、VTuberになるみたいな)
湊斗: ……。
[背景: スマホの画面]
記事: VTuberなら可能性がある、と言われたんです。
[背景: 湊斗の部屋 昼]
湊斗: (この人に会ってみたいな)
湊斗: (それで、本当の言葉を聞いてみたい)
湊斗: 可能性を、信じているのか……って。
[背景: スマホの画面 オーディションサイト]
サイト: 男性アイドルVTuberオーディション
[背景: 湊斗の部屋 昼]
湊斗: (このオーディションに受かれば、この人に会えるかもしれない)
湊斗: (でも、それって)
湊斗: (俺が「可能性を信じた」ってことに、なるじゃないか)
湊斗: ……。
湊斗: 人生の転期、か。
湊斗: なら、ありかも。
[END]




