表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
14/112

014

コイツを、


コロス。


「ダメっ綸君っ」


俺はその男の首を掴み、持ち上げていた。

上がらない筈の右腕で。

何がどうなっている?

橘佳純と滝沢伊紀が俺を取り押さえるようにしがみついている。

「手を離してっ。お願いっ」

橘佳純の声が聞こえて、何がどうなっているのか判らないのだが手を離した。

男は崩れ落ちた。

滝沢伊紀が駆け寄る。

「大丈夫です。」

ダイジョウブ?何が?

右腕と右脚の痛みが戻った。

しかしもう1人いる。結果的に追い詰められた奴は何をしでかすか判らない。

何かをしでかす前に大人しくさせなければ。

事態を簡単に見過ぎていた。

公園の駐車場に止められた車から2人の男が降りて来た。

腕も足も痺れている。それでもやるしかない。

「まったく子供相手に。」

その声は神社へと続く階段の上から聞こえた。

まだいるのか。

現れたのは女性。

この人、たしか宮田桃の知り合いの保育士。まさか。

「あえて保母さんと呼んで。」

彼女は俺と、男達との間に割って入った。

「一般人には何の関係もない。邪魔をするならお前も」

「関係あるわよ。姫様の留守にこの街で好き勝手させるわけないでしょ。」

「大体子供に手を上げるような奴を保母さんが許すと思う?」

車から降りた2人の男が揃って「何も無い何か」にぶつかって尻餅を付いた。

見ると怯えていた男の前にも女性が立っている。

気付くと5人の男が突っ伏して呻いていた。

「よく聞きなさい。日本の、いえ世界中の魔女は橘佳純を守る。」

「その関係者に手を上げようってのなら覚悟するのね。」

車が一台物凄い勢いで公園の駐車場に止まった。

「あら、もう来た。もうちょっと脅かしてやろうと思ったのに。」

車から降りたのは2人の女性。

「全員無事か?」

「心配要らないわよ。1人綸君が殺しかけたけど。」

「よしよし。生きてればいい。」

「コイツらの乗って来た車ってこれ?」

「多分。」

何だか判らないが事務的に「事後処理」をしているようだ。

「お前達、乗れ。」

男達は現れた2人の女性の言うままに車に乗り込んだ。

この2人も魔女なのか?

「挨拶はまた後でね。」と男共を引き連れて早々に引き揚げてしまった。

唖然としたのは滝沢伊紀も同様だった。

「肩、見せて。」

保育士兼魔女が俺の腕を取った。

脱臼しているだけだった。「ちょっと痛いわよ。」と填められた。

「保母さんてそんな事もできるんですね。」

残ったもう1人の女性はこの保育士の知り合いか。

「まあね。子供って頭重いから結構転がるのよ。」

「そんな事より。藍ちゃんどんどんイヤラシイ身体になるわね。」

「なっなんですかそれ。久しぶりに会って言うことですかっ。」

「いいじゃない。ちょっと抱き付かせてよ。」

「まったく。」

保育士の神流川蓮(かんながわ れん)

そして藤沢藍ふじさわ あい)

2人とも魔女。

綴さんから聞いた事がある。この街の魔女の恐ろしい伝説。

「ちょっと止めてください。」

「あんな化物と一緒にしないで。」

化物のような魔女が他にもいるのか。

「遅れてゴメンね佳純ちゃん。」

「いえ。ありがとうございます。伊紀の言ってた助っ人って。」

「どうでしょうか。魔女の方とは伺っておりませんでしたが。」

「何の話?」

「結姉に頼まれて私の事を。」

「違うわ。世界中の魔女が佳純ちゃんの味方なのは本当だけど。」

ともかく、橘佳純が狙われ、襲われ

予定外だが魔女達の活躍により守られた。

俺は何もできなかった。

ただ魔女に助けられただけ。

俺は何もできなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ