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Kiss of Vampire  作者: かなみち のに
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13/112

013

橘結は「仕事の依頼」を受けた際「こうなる」であると見越していた。

そして「護衛者」を手配していたと言うのだ。

「二、三日中にはこちらに参られるでしょう。」

「だから一体誰なのよ。もしかして」

「残念ながら御厨様ではございません。」

橘結がこの街からいなくなった。

たったそれだけの事なのに

事態は俺なんか想像もできないくらいの大事らしい。

この街のこれから起きるであろう事はその一部でしかない。

しかも、「些細な」。

事の始まりではあるが、世界から見ればそれは取るに足らない事案。

「私達がその者を追い詰める算段を知られてはなりません。」

「佳純様が狙われるのはキッカケでしかないのです。」

「本部は恐らく欧州。大きな組織はアメリカにもあります。」

「それらをこの機に全て壊滅させようと動き出したのです。」

一体誰がそんな事。

「結様の旦那様です。あれ?ご結婚はまだでしたっけ?」

「は。あの人かー。」

「はい。不思議なお方ですね。」

「一見普通の、失礼ながらあまり頼りになりそうもないのですが。」

「あの方の一言で世界中の「継ぐ者」が動いたのです。」

「私、丁度その場に同席しておりましたが。」

周囲の大人達も「半信半疑」だと言った。

「橘結の夫」それだけの存在だと誰もが考えていた。

「何故この場にいるのか」とさえ思っている者も多かった。

重苦しい会議の中、彼はスマホを取り出し、メールを送った。

直後、会議場の電話が鳴り続ける。

ドイツ、フランス、ベルギー、フィンランド、ルーマニア、オーストリア。

アメリカ、カナダ、チリ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー。

さらにエジプトやナイジェリア、南アフリカまで。

世界中から「協力する」旨の連絡が届く。

彼はただ

「大事な人を助けたいから力を貸してほしい。」

とだけ連絡したのだった。

「皆様は揃いも揃って友の願いだから。と内容も聞かずに協力を約束しました。」

小室絢は得意気に

「だから前から言ってるだろ?アイツは凄い奴なんだよ。」

「まあ絢姉ちゃん振るくらいだからなぁ。」

「振られてねぇよっ。」

綴さんに聞いた事がある。

綴さんも、小室絢も橘結の恋人に惚れていた。

「あのとき姫から奪っていれば今頃綸はここにいいなのよねぇ。」

昔の失恋一つで予想もしていなかった未来になる。

「結果的に綸を息子に出来たのだから正解だったのよ。」

俺がフと「この人は本当の親じゃない」なんて事を考えると

綴さんはそれを察してその人の話をしてくれた。

出会いであるとか縁であるとか

それがとても大事なのだと言いたいのだろうが

未だによく判らない。

「それで、助っ人て誰なの?」

「私もお名前は伺っておりません。」

橘佳純自身にも心当たりはないようだ。

あまり過度の期待はしない事だ。

「そうですね。有事の際のみ。と考えておくべきでしょう。」

プロの用心棒を雇うとか、道楽で人助けをするだとか

何より「事が起きる前に」こちらが準備をするわけにはいかないのだから。


滝沢伊紀の危惧は、その予想を裏切った。

小室道場での話が終わり、

箱田佐代と別れ、宮田柚とも敷島楓とも別れ、

俺と、滝沢伊紀と、橘佳純の3人での帰り道。

神社へと続く道。手前の公園

3人の男。

滝沢伊紀。橘佳純から離れるな。

「俺達は橘佳純に用がある。」

橘佳純への要件なら俺が伺う。

「怪我をしたくなければ消えろ。」

きっと強いのだろう。

橘佳純に何の用だ。

「子供には関係無い。」

1人が俺の肩に手を置いた。

「邪魔をするなら子供と言えど」

俺はその手首を取り、極めた。

橘佳純が俺にそうしたように、俺はその男を投げた。

初めての実戦。興奮とか緊張とか何も無かった。

自分がどう動いて相手がどうなったのかもゆっくりと眺めていた。

立ち上がった男は怒り興奮している。

1人は怯えている。

もう1人は薄ら笑っているように見える。

「子供だと思っ」

もう一度、今度は胸倉を掴もうとしたのか、首でも締めようとしたのか

俺はその腕が届く前に、全ての台詞を聞き終える前にソイツの頭を蹴った。

カウンター気味に、自分でも驚くくらいキレイにヒットした。

男はぐにゃりと膝から崩れた。

なのに、どうして蹴りが飛んでくる。

違う。蹴ったのはその男の後ろから別の奴。

笑っていた男。パーカーを着た小柄な男。

だがその「体つき」は普通ではない。

蹴りの速さは小室絢には遠く及ばない。

だが重い。受け止めた腕が痛い。

道場にはいないタイプだ。受けるより躱せ。

フェイントを一つ入れて強烈な一撃を。

だが入れられたのは俺だった。

ハイキックが躱しきれず、中途半端に受けてしまい

体制を崩されまともにローキックを受けて横から落ちた。

受けた足の感覚が無い。立ち上がれない。

男は薄らと笑いながら俺の横を通り過ぎる。

既に俺は眼中にない。目的は橘佳純。

滝沢伊紀が立ち塞がる。

歯を食いしばれ。立ち上がれ。立って戦え。

橘佳純には触れさせたりしない。

卑怯なのだろうか。俺は後ろからそいつに殴りかかった。

だが腕を取られ、極めらた。脇固め。

地面に押し付けられると同時にに腕から鈍い音が聞こえ激痛。

右腕が上がらない。

右足はも上がらない。

それでもコイツを倒さなければならない。


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