118.いにしえの魔王の偉業
ちゃちゃっと先に進めようとしたんですが……なんだか女神様が取り乱しちゃいまして。
話が全然進んでいません……。
有象無象のひしめく地上を睥睨し、女神は目を眇めた。
彼女にとって醜い物が、この場には溢れて存在し過ぎる。
美意識に則って行動するのであれば、醜い物を薙ぎ払って片付けてしまいたい。
無限の荒野となったとしても、ごちゃごちゃと醜い汚物で溢れかえっているよりも……いっそ何もない方が、綺麗といって良いかもしれない。
腕をゆるりと上げ、振り払おうとして……
ふと、思い当たる。
地上の中でも特にこの場所は……厄介な存在の、庇護下にある。
アレの管轄という訳ではないが…………
だがアレが大事にしているのは確かだ。
そんな場所を、断りなく蹂躙したとすれば。
『………………』
自分の身辺が危うくなるような危険は、冒さぬ方が賢明だろう。
それに今は地上の醜さなどどうでも良い。
それよりも大事な物が、今にも自分の手中に得られそうなのだから。
――地上。
醜く穢れた、この大地の中にも……僅かではあるが、時に彼女の目に叶うようなモノが生まれることはある。
特に美しい物は、摘み上げてでも己が物にしてしまいたい。
いいや、しても許される筈だ。
何故なら自分は美の女神。
この世に存在する美しいもの……ありとあらゆる『美』は自分の管轄。
この美の女神に、占有権が認められて然るべきだから。
――という理屈で、この女神様は降臨した訳だが。
彼女は知らなかった。
己の身勝手な理屈は、天の世界でも快く万民に受け入れられている訳ではない。
だというのに、この地上で。
それも神々の手の及ばぬ、この魔境で。
女神とはいえ一個の理屈など、簡単には通用しない。
ただでさえこの魔境は、ありとあらゆる理屈が通じはしない。
人間の理屈すら跳ね返して蹂躙してしまう、この魔境で。
人々の信仰の上に力を持って成り立つ神が、その理屈をどうやって通すと言い張るのか。
圧倒的なその力で以て、神々は己の理屈を押し通してきた。
では、その力を相手が恐れなければ?
その答えを、女神は不愉快な思いと共に知ることとなる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
鬱陶しげに、地上を睨んで。
それから不機嫌そうに、兎を睨みつけて。
突如天から降臨した美貌の熟女は、苛立ちを隠しもしない口調でほざきました。
『――この無能めが。お前、お使い一つまともにこなせないの?』
「ひ、ひぃぃっ御母堂様が御自ら降臨なさるなら、そもそも吾が来る必要なかったですよねー!?」
『話を摩り替えないで、この愚図。そもそもお前が役目を果たせないからこの妾が自ら降りる羽目になったのでないの』
「……。そもそも吾は御母堂様ではなく、愛の御方の眷属なんですけど」
『そのお前の主が、妾にお前を貸してくれたのでないの! それをお使い一つ満足にこなせないのみか、相手を死なせそうになるなんて。どういうつもりなの、お前』
「ひ、ひぃぃっ!」
兎はよっぽどあの女神が怖いのか。
身を縮めてぶるぶる震えているのですが。
あんなに怯えられるなんて、これは間違いなく性格悪いですね! あの女神。
だけど見るからにご立腹の女神の注意が、兎に向いているこの隙です。
何とかこの身体の拘束を振りきって、動くことは……
……って、あれ?
「まぁちゃん?」
「おー?」
「なんで……動いてるの?」
「はあ?」
この試合場に居合わせた、皆々様が動けぬ中。
何故かまぁちゃんは平然と動いている訳ですが。
「え、まぁちゃん? 平気なの?」
「……おお。そっか、お前ら動けねーのか」
「陛下、先ほどのあの女神が……降臨の際、何か会場全体に術をかけたようですね。馴染みのない魔力の動きを感じました」
「あれがもしかしたら神の力ってヤツなのかもね。しっかし、遠くて女神の顔がよく見えないなぁ……出来れば、顔の雰囲気くらいは知りたいんだけど。次回作の為に」
おっと、まぁちゃんだけかと思いきや。
……りっちゃんとヨシュアンさんも、平然と動いてますね?
いや、三人だけじゃなかった。
「みんな、だるまさんがこーろーんっだー♪ですの?」
「いえ、主様。皆さん、どうも女神に動きを封じられているようです」
「封じ? っ大変ですの! みんなが可哀想ですのー!」
「リャン姉、大丈夫か? 辛いよな……えっと、この束縛を解くにはどうしたら」
「リャン姉様、今すぐせっちゃんがお助けしますの!」
私のことを案じるように取り囲み、顔を覗きこんでくるのはせっちゃんとリリフ、ロロイ。
どうやら魔王の血筋に当たる姫君と、真竜の御曹司達も女神の束縛に動きを阻害されてはいないようです。
……ってことは、あれ?
えっと、もしかして仲間内で動けないのは私だけ……?
「リアンカちゃん、リアンカちゃん! 俺がいるよ……俺も動けないから☆ ほらほら仲間仲間!」
「えー……サルファと一緒? 仲間とかやだー」
「ちょ、酷っ! 一人じゃないぜ☆って励まし合うとかしようよ!」
しかしサルファ一人が私と同じ境遇でも、何の慰めにもなりません。
いえ、観客席にいる他の人間さん達も軒並み私と同じ目に遭ってるみたいですが……よく、見てみると。
金縛りを喰らっているのは、どうも軒並み人間さんが中心のようで。
どうやら魔族さんの中で一定以上の実力を有する猛者達は、若干動き辛そうにしながらもそこまで女神の影響を受けている訳じゃないらしく。
更にその中でも一握りの有力者達はケロッとしたもので。
……そういえば発祥がそもそも神の御業に寄らない魔族さん達は、神々の干渉を受け難いって話でしたっけ。
そんな魔族さんらの頂点に立つ魔王城の実力者達が何の問題もなく動けるのも当然なのでしょうか。
だけど、これは良いことです。
戦闘能力のない私が動けなくても問題はありません。
それよりも私以外の強い人が平気で動き回れる僥倖を喜びましょう。
喜びに背中を押されて、私は期待を込めて叫びます。
「まぁちゃん、お願い!」
「よっしゃ任せろ!」
まぁちゃんは素敵に良いお返事で、ぐっと親指を立ててくれました。
その仕草が、私の安心感を呼び起こす。
だってまぁちゃんは、いつだって私の期待を裏切りません。
いつだって私のお願いを叶えてくれて、頼りがいも抜群で。
先程の女神降臨で出足をくじかれていましたが……気を取り直して、今度こそ。
私のお願いを……勇者様の保護という仕事を、達成する為に。
……ちょっと『勇者』の保護に走る『魔王』という図式に不思議な物は感じますが。
まぁちゃんは混沌の場と化しつつある試合場の真ん中へ向けて、観客席の柵から飛び降りました!
そして叫びました! 女神様の心に刺さる暴言を!
「おうこら厚塗りババア、こっち向け――――――!!」
そして叫んだ直後、姿が掻き消えました。
あー……あれ、移動用魔道具使いましたね。
発動させると瞬間的に、発動地点からランダムで百m離れた所に転移させるっていう……使えるようで微妙に使えない悪戯グッズを。
大体、あれって自分が移動させるんじゃなくって無作為に相手を現在地点から移動させるっていう、ちょっぴり悪質な悪戯に使うのが定番なんですけど……
『!? 誰かしら、いま妾に信じ難い暴言を吐いたのは……っ』
女神の反応は、一拍遅れて振り返るというモノ。
戦闘特化の種族である魔族や魔王を相手にするには、その反応は鈍くて遅い。
軍人じゃなくって平民の魔族さんでも、あんな分かりやすく目立つ奇襲をかけられたら瞬時に現在地点から飛び退いて、俯瞰できる位置を確保次第反撃用の持ち技を発動させてますよ。
軍人さんだったらわざわざ飛び退いたりせず、その場で迎撃したりするんですけどね。
ああ、でも相手が魔王だったら……如何に戦闘に関して勘の良い、色んな意味で鍛えられた百戦錬磨の軍人さんだろうと逃れることも反撃することも叶わないんでしょうけれど。
何しろまぁちゃんは、大陸最強の魔王様なので。
恐らく戦闘慣れしていない、女神の反応鈍いなって思ったんですけど。
案の定。
振り向いた次の瞬間には、まぁちゃんの飛び蹴りが真後ろから女神様の後頭部に炸裂していました。
わーお、直撃クリティカル!?
……って、思ったんですが。
あれは手間だし面倒だし、効率悪いって言って滅多にやらない奇襲の手口です。
使い勝手が悪いらしく、奇襲で相手の意表を突く時ぐらいしか使わないんですけどね。あれ。
まあ、今は正しく奇襲で相手の意表を突く形で使った訳ですが。
私、思ったんですよ。
あれで決まったって。
だってまぁちゃんだし。大陸最強の魔王様だし。
いつだって私の期待を裏切らない魔王様の攻撃で直撃喰らって、如何に女神だろうと絶対に意識刈り取ったって。
そう思ったんですけど。
残念なことに。
とてもとても……とっても残念なことに。
まぁちゃんが、初めて私の期待を裏切りました。
まぁちゃんのせいじゃないとしても、不可効力でも。
期待を裏切られるという初めての体験に、私も茫然としてしまいまして。
自分の目で見た光景が、信じられないくらいでした。
だって。
だって、ですよ?
まぁちゃんの攻撃が、女神様を擦り抜けました。
避けたとか、防いだとか。
そんな話ではなく……文字通り、擦り抜けたんです。
え? 女神って触れないの?
「そんな、まぁちゃんの攻撃が効かないなんて……」
「効かないというか、突き抜けては効果がなくとも仕方がありませんが」
「りっちゃん、あれどういうこと!?」
動揺の隠せない私に、りっちゃんも難しい顔をしています。
その両目は、逸らすことなく女神に向けて眇められている。
「とても口惜しく、納得できないことですが……。どうやらあの女神は、我々の存在している次元とは異層……薄く、僅かにずれた界にいるようですね。存在位置がずれる為、物理的な接触を界の層が阻んでいる」
「うん、さっぱり意味がわからない」
「……ええと、そうですね。積み重ねられた硝子の箱を思い浮かべて下さい。透明硝子なので隣の箱の中身は透けて見えますし、角度によっては隣り合う箱の中身同士が同じ箱の中に存在しているように見えるかもしれません」
「でも、実際にはガラスで隔てられた、それぞれ別の箱にいるから手が届かない?」
「ええ、その通りです」
「うっわ……自分から来たように見せかけて安全圏に場所を確保したまま干渉しようだなんて。あの熟女、ずるいですね! 卑怯ですよ!」
「陛下も用意さえあれば次元の壁など突き破れそうですが……この急場で、次元破りに挑戦するには時間が足りません」
「そんな……それじゃあ、勇者様だけでも確保しないと!?」
私達が慌てて、観客席という遠い場所で焦っている間。
その間にも、試合場の上空で事態が動きます。
いきなり自分の体を誰かが突き抜けて行って、奇襲に気付いたのでしょう。
驚きのあまりか硬直していた女神の身体が、ゆらり陽炎のように揺れました。
本当にあの姿は、陽炎の様なものかもしれませんが。
面相を彩る怒りだけは、陽炎でなく本物の様で。
ぎらぎらと苛烈な怒りのままに、女神は自分に背中を向けるまぁちゃんを睨み、金切り声で怒鳴り付けました。
『お、お前……この世にも尊き美の女神に向けて、何たる無礼を! それも一瞬の躊躇もなく頭部を狙いったわね!?』
「無防備に曝してやがる方が悪ぃーんだよ」
『なんだと!』
一切悪びれることなく、むしろ自分の攻撃を無効化された不機嫌さで忌々しげに舌打ちを漏らしながら。
まぁちゃんは女神に、わかりやすくガンつけました。
その顔を、まぁちゃんの麗しくも妖艶な御尊顔を見て。
女神様の顔色が変わった。
ちなみに三段変色でした。
まずは怒りから軽い驚きと感嘆に。
激怒の真っ赤から、頬をうっすら朱色くらいに色を変えて。
遠く離れて細部まではわかりませんが、あの雰囲気は知っています。
まぁちゃんの顔に視線を奪われ、美貌に驚き魅入られた顔です。
というか直前まで怒っていたのに、目の前でババア呼ばわりしたまぁちゃんにあっさり目を奪われるとか、女神様って顔が良ければそれで良いんですかね? 女神様が節操なしなのか、まぁちゃんの顔面偏差値が天元突破しているだけなのか……。
『まあ、なんと……このような場所に、これ程までに麗しき者がいようとは………………ん? お前……人間では、』
「人間じゃねーよ」
まぁちゃんのスパッと一直線な否定を聞いて、女神様が変な顔をしました。
感動からか何なのか、興奮に紅潮していた頬がなんか青くなっていきます。わあ、みるみる青褪めてくー。
やがて唇をカタカタ震わせながら、女神様がまぁちゃんを指さしました。
その御面相に浮かぶ顔色は……信じたくないという気持に満ちた、怯えと空意地。
『…………………………………………この気配、もしや……魔王?』
「おうともよ」
まぁちゃんからの簡潔なYES。
それを聞いた瞬間。
『いっ……いやぁぁあああああああああああああああああああああああっ』
なけなしの威厳を吹っ飛ばす勢いで、女神様が明らかな悲鳴を上げた。うわ、離れてるのに耳が痛い……。
女神様の顔に浮かんでいるのは、もう怯えとかそんな生温いレベルじゃありません。
あれははっきりと明らかに、恐怖です。
え、神様って魔王様が怖いの?
神様って凄い超生命体だとばっかり思っていたんですが……そう、魔王に何度突貫されて急襲されようと、滅ばないどころか大した被害も出さないなんていう人間さんの目玉が飛び出るような強靭な生物なんだと。
……両者の力関係がわからない。
『美』なんていう戦闘には一切関わりなさそうなものを司っている神様だから、戦闘向きじゃないってことはわかるんですが。
それでもいざ目の前にしたからと悲鳴を上げるなんて、神々の矜持的にどうなんですか。
神様と魔王様、一体どっちが強いのか……
っていうか、あの反応。
あれって明確に、なんらかの被害を魔王から受けたことのある人の反応ですよね?
…………確かに話に聞くところ、かつてのやんちゃ系魔王様の中には神々にちょっかい掛けまくるのが大好きで、相手がなんど住処をお引っ越ししようとも執念深く執拗に居所を嗅ぎつけて攻め込むなんていう、神々からしてみれば災難以外の何物でもない好戦的な魔王様が何人かいたみたいですけど。それもしっかり記録に残るくらい、なんか色々やらかしちゃっているみたいですけど。
あの女神様、そんな魔王さんの中の誰か……あるいは何人かに、なんか酷い目に遭わされたことがあるんでしょうか。
衆目の見る前だというのに余裕は皆無のご様子で、身も世もなく女神様は小娘の様に騒いでおいでです。
良く見るとその両手で、何故か頭……いえ、頭髪を庇っておいでですね。
背中に流していた黄金の巻き毛を、ひしっと両手で握って庇っています。
……えっと、頭髪関係で何かあったんですね?
『まっままままま魔王! お前、あの鬼畜の子孫ねっ!?』
「どの鬼畜のことかは知らねーけど、そいつが魔王なら可能性はあんじゃねーの? はっきり肯定してほしけりゃ、そいつの名前言ってみろや」
『いいい言えるはずないでしょうっ!! 迂闊に名を呼びでもして、うっかり復活して目の前に現れるようなことがあれば、どう責任を取ってくれるというの!? アレの名は、天界では今でも禁句指定なのよ!』
「おいおい化け物扱いか? 俺の御先祖が何したってんだよ。精々が天界に斬馬刀片手に突っ込んで……行き合ったうざってぇ美形至上主義女に、イラッとして衝動のまま髪の毛根こそぎ刈り取ったくれぇだろ?」
『お前、知っているのではないの! しっかり把握しているのではないのー!』
おっと……図星でしたか。
どうやら女神様は、かつて歴代の魔王の何方かから、髪の毛刈りの憂き目に遭遇したことがあるようです。
……女性なのに容赦ありませんね?
それとも女性なのにそんな目に遭わされるくらいの、何か余程相手の腹に据えかねる様な事でもやっちゃったのでしょうか。
彼女の性格とか良く知ってる訳じゃありませんけど、言動を鑑みるに。
この女神様なら、なんか過去の魔王の逆鱗に触れるようなことをやらかしたんじゃないかと思わなくもないですが。
『いきなり頭を狙ってくることといい、その太々しい態度といい……先祖の所業を繰り返す気!? わっわわわわわわわ妾のかか髪の毛は、もう一筋たりとも渡しはしないわっ……不変の肉体を持つ神の身で、一度失った髪を再び育むのにどれだけの時間を要したとお思い!? ここまで伸ばすのに千年近く要したのよ、 千 年 も!!』
渾身の力と思いがありったけ込められた声音でした。
肩がぷるぷる震えていて、泣きそうな声で。
これではどちらが悪者かわから……いえ、いえいえ、女神様が悪いんでしたよね、うん。勇者様の御身を思えば、女神様の方が悪いんですとも。勿論。
ですがあそこまで伸ばすのに、千年……。
女神様の髪の毛は、背の中程まで伸びています。
どれだけ短くされたのか知りませんが、襟足まで短くされていたとしたら、私だったら半年ちょっとで伸びるくらいの長さです。
でも実際は、そこまで伸ばすのに千年。
やっとで伸ばした髪が余程大事なようで。
女神様は全力で、自分の髪の毛を守りに入っています。
女神様はちょっとずれた次元に降臨しているので、まぁちゃんが直接触る術は現時点ではないんですけどね!
そのことも恐怖のあまり忘れたのか、それとも覚えていても安心できないのか。
「りっちゃん、あの女神様と過去の魔王様の因縁って具体的に知ってる?」
「私も詳しくはありませんが……魔王城に過去の魔王陛下の戦利品を集めた部屋があるのですが、確かそこに、あの女神の髪の毛と思わしきブツがありましたね」
「え、持って帰って来ちゃったんだ? しかも現存してるんだ」
「魔王家の方々は代々物持ちが良いですからね。持って帰ってきたのは恐らく……天界に残して、あの女神がカツラに仕立てるのを防ぎたかったのではないかと」
「ああ、嫌がらせかぁ。でもそんな扱いで持って帰って来たんなら、保存もおざなりだったんじゃないの? 本当にあの女神様の髪の毛ですかね」
「私も不思議な縄か何かだと思っていましたが、あの女神の神の輝きと酷似しています。間違いありません」
「へえ…………それで、長さどのくらい?」
「……三つ編み状で、確か五mほど」
「ごめーとる……」
うっわぁ……まぁちゃんの御先祖、容赦ねぇー……。
髪は女の命って言いますもんね。
それが美を重んじる美の女神なら、さぞやこだわりがあったことでしょう。
そんな女神の髪の毛、根こそぎ収穫。
そりゃ泣くわ、と深く納得してしまいました。
次回こそは勇者様が誘拐されるところまで……持って行けたらと思うのですが。