翠と橙(みどりとゆず) vol.097 ベッドにバッ。「つ~か~れ~た~~。」
翠に、「今日は早く帰って、ゆっくり休んで。」
そう言われて、言葉通りに部屋にまっすぐ。
ラインで巽に、
「仙台から戻りました~~。」
時間を置いて巽からライン、
「お帰り。後で、部屋にご飯、持って行くよ。」
「うん。ありがと。」
そして、ベッドにバッ。
「つ~か~れ~た~~。」
帰りの新幹線の中で…、何かしら、新幹線に乗って、座席に落ち着いて、すぐにまどろみ、
次に、千慧から、「ゆず。着いたよ、東京。」ものの、数分眠ったと思ったら、
既に東京駅に着いていた。
「帰りの…新幹線。全く…記憶ない。」
けれども、なぜかしっかりと脳裏に甦る、男性のぬくもり。
「ユッキ…。」
そして、頭の中で、その前の記憶まで…。
廊下でバッタリと転倒した時の事。
まさかの、わずかではあったが、初めて男性の唇に触れた自分の唇。
思わず、思い出しながら胸の鼓動がドキン。
「ユッキ…。」
そしてその時に、弾みで押さえられた胸。鼓動の高鳴りが続く。
「ユッキ…。」
その瞬間、いきなり体がベッドから、「バッ!!!」
「えっ!!!私、何考えてる…???」
何故か頭に甦るのが薫郎の事ばかり。
「うそうそうそうそ。」
そしてまた、背中からベッドにバ~~ン。
「つ・か・れ・てるよ~~。」
顔を両手で覆いながら…。
そして次に頭の中に甦るのが、田島川社長と専務の顔…。
口からぽつりと。
「かっこ良かった~~。」
そして、自然に口から、
「ニシ…。」
そして。最後に甦る顔が…、
「あ~~ん。マネージャー。」
初めて、母親以外の女性の胸に抱かれながらの事を思い出して、
「気持ち…、良かった~~。良い匂いした~~。おっきぃ~~。」
自然に体が右に左に。仕舞には枕を抱きしめながら、
「好~~~き。」
そして、そのまま、また…まどろみの中に…。
「ほんと。店…、混んでるね。」
万美。
「なんだか…私たち、かなりラッキーみたいな…。」
尋音。
「まさか…とは、思ったんだけど…。」
奈都。
「あんた、いつからインスタ、始めたのよ。」
万美。
「ん~~。…確か、半年前…。」
奈都。
そしてそんな奈都に、
「お待たせしました~~。盛り合わせになりま~~す。」
絃、笑顔で奈都の前に。
「ありがとう~~。」
奈都。
「それにしても、可愛すぎ~~。絃さんって言ったっけ。」
絃、
「はい。今後とも、よろしくお願いします。」
「奈都のおかげで…。もしかして…、私の席…、なくなった…???…か…???かかかか。」
今や翠はカウンターの中である。
「かかかか。悪ぃな、みど。」
焼き鳥を焼きながら雅樂。
「ううん。だって、さっき私、トイレ行ったとき、外に出てみたら、また並んでるんだもん。昨日から立て続けにダブルビックリだよ。ユッキも帰ったらまた、手伝うって。」
雅樂、
「ありがてぃ限りだよな~~うん。姉ちゃん、恩に着るよ~~。」
そんな雅樂に奈都、
「いえいえ。とんでもない。あんなことで、お店、お客さんに喜んでもらえたら、私の方こそ、嬉しい限り。です。」
「ヨッ。さすがにジェシカ。嬉しい事、言ってくれる~~。けけけけ。」
「それにしても、やっぱり…、美味しい、大将の焼き鳥。」
「おぅよ。ありがとな~~。」
「おやっさん。ごちそうさま~~。お姉さん、会計お願い。」
椅子から立ち上がる客。
絃、
「は~~い。ありがとうございま~~す。」




