翠と橙(みどりとゆず) vol.249 それから数日後、巽、実家で…。
それから数日後、巽、実家で…。
知美、
「えっ…???巽…、今…、何て…???」
その隣で達樹、
「う~~ん。」
「いやいやいや。逢坂…さんと…付き合うって…。うん。まぁ…、それは…うんうん。良いけど…。」
巽の隣で座っている翠を見て、
「アパートを…引き払って、今度は…焼き鳥屋の…隣に…住むって…???はい…???」
達樹、
「う~~~ん。」
腕組みをして。
翠、畏まりながら、
「…はい…。実は…、店主も…もう…契約し…終わっちゃってて…。…で、もう…来月から…工事も…。あ、ははははは。」
困ったような…顔をして。
知美、
「そ…んな…。私たちに…何も…。話し…なく…。」
達樹、
「う~~~ん。」
「私たち…だって、そんな…、準備とか、心…づもり…。」
達樹、口をへの字にして、
「ふん。ん~~~。」
知美、
「もぅ!!!さっきから、う~~ん。ふ~~ん、ばっかり。」
達樹の左太ももをペンと叩いて知美。
翠、思わず、
「ぷっ。」
巽、
「とうさん。」
達樹、
「う~~ん。」
知美、変顔。
いきなり、
「お父さん!!!」
達樹、下を向いたまま。けれども…、数秒後、顔を上げて、右左、キョロキョロと…。
「……。まっ。逢坂さん。なんだ…。巽の事…、よろしく、お願いします。」
頭をコクリと。
知美、
「は…あ…???」
巽、
「父さん。」
翠、
「遊馬…さん…。」
キョトンとした顔をして。
知美、
「な…、なに、言ってんの…いきなり。」
すると達樹、
「いいじゃないか。」
妻に。
「ん~~。…それに、今今、すぐってわけじゃ…ないんだろ。」
翠、
「え…えぇ~~。」
「いずれにしろ、巽にようやく、一緒にいられる人が見つかった。…んまぁ~~。それにだ。巽が脳梗塞になって、ここまで体、良くなったって言うのも、逢坂さんが毎日、見舞いに来てくれた。おまえだって、喜んでたろぅ。」
知美、
「それは…そう…だけど…。…でも…。」
「それにだ。それに。話しを聞けば、逢坂さんがいなかたら、巽、大変な事になっていた…かも…知れないんだろ、東京駅で。」
その話を聞いて知美、唇を尖らせて…。
「普通なら、もう…普通の体に、戻れるか、分からない状態だったんだろ。そんな逢坂さん…。」
黙って巽の母親の顔を見て翠。そして父親の話を聞きながら…。
「それに。聞くところによると、逢坂さんの住んでいる焼き鳥屋。かなりの評判らしいじゃないか。逢坂さん、友達にも恵まれて…。店主の人柄が…うかがえるってもんじゃないか。」
知美、
「それは…そうだけど…。」
「そんな良い環境から逢坂さんを…俺だったら、奪いたくない。」
翠、
「遊馬…さん…。」
巽、
「父さん。」
「多分、焼き鳥屋の隣だったら、今まで以上に、良い環境に…恵まれるんじゃ…ないか…。それに…。」
口を濁すように…、
「焼き鳥が、安く…食えるかも知れない…。」
そんな夫の顔を横目で睨みながらの知美。
思わず翠、
「ぷっ。くくく。」
巽、
「父さん…。」
困ったような顔で…。
翠、
「はい。是非、お出でください。しっかりと…会員価格で…。大サービス。」
達樹、その声に、笑顔で、
「ほんと…???」
「いやいやいや。そうしないと…私が、店主に怒られますから…。」
にっこりと。
巽、翠に、左目を歪めて、
「会員価格…???そんなの…あったの…???」
翠、キッパリと、
「ない。」
達樹、いきなり左肩をガクンと。
翠、クスクスと、
「だって、絃に任せっきりだもん。」
巽、
「あ~~。あ~~。はははは。」




