翠と橙(みどりとゆず) vol.126 会社のドアの前。少し躊躇するように翠。
呉羽、
「つまりは、名古屋の往復、翠に付き合ってくれた訳だ。まぁ、その人物も同様に、翠が付き合ってあげたという意味もね。」
スタッフたち、
「……。」
「ただ、東京に帰ってきて…。東京駅でね…。その人物…、突然…倒れちゃったのよ。翠と一緒にホームで歩いていて…。」
音羽、
「倒れちゃっ…たって…???」
万美、
「倒れ…???へっ…???なんで…???」
呉羽、
「すぐに救急車で、その人、病院に…搬送されたんだって。」
スタッフたち、
「うんうん。」
「もちろん、一緒にいた翠も救急車の中。」
尋音、
「あっ。そっか…。」
橙、
「チーフ。」
咲茉、
「…と、言う事に…なるか…。」
呉羽、
「そして…、その倒れた人の、症状…、というか、診断が…。」
スタッフたち、首をコクリと…。
「脳梗塞。」
「えっ…???」
「うそっ。」
「そんな…。」
「ひど…。」
「え~~~。」
「なんで、なんで、なんで…???なんでそうなるの…???」
「うそでしょ。」
呉羽、
「その人物と名古屋まで。そして帰りも東京駅まで…。そして、ホームに着いた。そして歩いて突然…。倒れて…。それから救急車で病院に。そして診断が、脳梗塞。」
ひと呼吸置いて呉羽。そして翠を見て、
「みど、最後まで、ず~~っと、付き添っていてあげたんだって。」
スタッフたち、
「みど…。」
「みど。」
「みど。」
「みど。」
万美、自分の左肩に翠の頭を…。
尋音、
「みど…。」
橙、
「チーフ。」
スタッフたち、
「た~~いへん。」
「怖~~。」
「やだ…、私…。そんな…。」
麗佳。
榛名、そんな麗佳の頭をコツン。
「ばか、麗佳、不謹慎な。その場にいてごらん。」
尋音、
「しんどいよ、みど…。」
万美、
「あっ。でも…、コバちゃん。…あっ、いや…。リーダー…。その…人物って…???」
その万美の一言で、スタッフたちも、
「あっ。」
その雰囲気に呉羽、唇を絞り、鼻で息を…。そして唇を尖らせて息を吐いて…。
「みんなも…知っている人。」
「へっ…???」
万美。
愛海、陽詩、顔を見合わせて…、
「私たちの…知って…???」
「いやいや…。分かんない。」
みな、それぞれ、顔を見合わせて、
「???」
万美、
「誰…???」
呉羽、
「遊馬…巽君。ルッポラの…。」
その言葉を聞いてスタッフたち、
「え゛――――――――――――っ!!!!」
万美、
「!!!!」
尋音、口に両手を当てて、
「うそ…。」
橙、
「!!!!…えっ…???今…、な…、なんて…。言ったんですか…???」
目をパチクリと。
スタッフたちの口から、次から次へと飛び出てくる巽の名前。
「遊馬君。」
「遊馬君って…。」
「巽君…。」
「えっ???えっ…???えっ…???なんで…???」
「なんでよ…。」
その瞬間、橙、
「遊馬…、巽…。脳梗…塞…。」
そしてそのまま目が…、そして体が…。
尋音、
「ゆずっ!!!!!」
瞼が微妙に動き、薄っすらと瞼が…。
そしてぼんやりとどこかの天井。
そしてハッキリと…。
「あっ。」
橙。
「気が付いた…???」
目に飛び込んできた顔、翠。
「チーフ…。」
ラウンジのソファーの上、横になっていた橙。
「わ…た…し…。」
「倒れて、みんなで、ここに運んできた。」
橙、記憶が…。
「ハッ!!!チーフ。」
翠、そんな橙の顔を見て、
「うん。」




