翠と橙(みどりとゆず) vol.121 看護師、「これから検査になります。」
部屋から出てきた救急隊員に翠、椅子から立ち上がって、
「あの…。」
「先生から、お話があると思います。…ただ、倒れてから、それほど時間が経ってませんので…。」
そこまで女性に告げて、
「我々は、これで…失礼します。」
その後、巽は別の場所に搬送され検査を受けることになる。
担架の上の巽に声を掛ける翠、
「ユウマ。巽~~。」
看護師、
「これから検査になります。」
一緒に歩きながら翠、
「検査…???」
看護師、笑顔で、
「万全を尽くします。お待ちください。」
翠、その看護師の顔を見て、
「あっ。」
そして、小さな声で、
「さっきの…人…。」
それからしばらくして、廊下を走る音。
ベンチから立ち上がる翠。
「ルッポラの…。」
珂帆である。
廊下のベンチの傍で立っている姿に珂帆、
「…???ジェシカ…の…???」
翠、珂帆にお辞儀をして…。
珂帆、
「巽…君…。救急車で運ばれて、この病院にって…、電話で聞いて、びっくりして…。あな…た…は…???」
巽が東京駅のホームで倒れ、救急車で搬送されて、現在MRI検査を受けている。
これまでの間、大よそ2時間弱。
翠、なかなか、電話連絡が出来ずにいた。
翠、
「店長、お話します。」
そんなところに、ドアから出てきた医師と看護師。
翠、
「看護婦さん。…先生…???」
珂帆、
「遊馬が勤務している店の店長をさせて頂いている本条と申します。家族には…連絡しているんですけど、なかなか連絡付かず…。私が…。あの…???」
医師、
「奥村師長。」
美南、
「こちらの女性は、遊馬さんとご一緒の方です。…残念ながら、まだ、家族の方とは連絡が…。」
医師、
「そうか。本来ならば、家族優先の…。止むを得ませんな。まっ、勤務先の代表の方と言う事であれば…。ただ…、こちらの方は…。」
珂帆、
「いいえ。彼女も大丈夫で、私が責任を持ちます。」
医師、
「ふん。…それでは…。」
看護師に頷いて。
美南も頷いて、
「はい。承知しました。」
医師、
「遊馬…さん。脳卒中です。」
その声に珂帆、そして、翠、いきなり真っ青に。
「脳卒中の中でも血管が詰まる脳梗塞。MRI検査で、それが診断されました。」
翠、
「脳梗…、そんな…。」
珂帆、
「先生…。」
翠、いきなり眩暈を感じ、珂帆、
「わっ。」
その翠の肩を。
目をパチクリさせて翠、
「わっ。すみません。」
医師、
「うん。」
そして2秒ほど間を置いて、
「けれども、今回のケース。発症してからの時間が、とにかく早くて助かりました。これからある療法を行います。早ければ早いほど効果の可能性の高い療法です。」
そこまで告げて医師、
「あとは、看護師の方から…。師長。」
美南、
「ありがとうございます。」
歩き去る医師に翠、珂帆、
「ありがとうござました。」
美南、女性ふたりを伴って、
「こちらになります。どうぞ。」
翠、小声で、
「店長、詳しい事は…後ほど…。」
珂帆、
「うん。了解。」
既に病室で点滴が開始されている巽。
ふたりの看護師がそれぞれ対応していた。
翠、
「あっ。」
看護師、
「先ほどは…。」
女性にお辞儀をして。
美南、
「麗奈、もう、上がっていいよ。」
麗奈、
「はい。あっ、でも…師長。」
美南、少し考えて、
「ふん。そっか。分かった。いいよ。」




