第1話<白髪の老人と少女魔術師>
レオナ・クロムエルは、一人ギルドに向かって歩いていた。
すでに一刻程前から探し続けているのだが、一向に見つかる様子はない。
とはいっても、決してレオナが方向音痴な訳ではない。
原因は、この町の複雑すぎる道にあった。
いくつもの枝分かれする細道に、曲がり角・・・注意していなければ宿にも帰れなくなりそうだ。
しかも、極め付けに町の地図は大変大雑把で、おもな通りしか書かれていない。
何度も人に道を尋ねたが、それでも複雑すぎてよくわからないありさまだ。
今日はもう諦めて帰ろうかとも思ったが、レオナの通う魔法学校の課題で、ギルドのBクラスの依頼の中で自分に出来そうな物を一つ受けて、その経過をこと細かくレポートに書かなくてはならないのだ。
なんでも、実践を学生のうちに経験してほしいという学園側の考えのもとで、このような課題が出されるらしい・・・・
本来ならば長い夏休みの間に行えばそれですむような課題だったのだが、レオナは他の用事で休みがほとんどつぶれてしまったため、レポートの提出期限まで後4日を切ってしまっていた。
主席であるレオナは、期限に間に合わないなどあってはならない。
そのためには、一刻も早く依頼を受けさっさと終わらせなければならないのだ。
なのでレオナは、もう一度誰かに道を聞くことにした。
辺りを見回し、声をかけやすそうな人を探す。
すると、視界の片隅に腰のあたりまである白髪の老人の姿が見えた。
こんな老人に道を聞いてもわからないだろうと目を逸らそうとしたその時、フラフラと歩いていた老人は若い男にぶつかられ思いっきり転んでしまった。
レオナは特別正義感が強い訳でもなかったが、さすがに見て見ぬふりをすることも出来ず、老人に駆け寄った。
なかなか起き上がる事の出来ない老人を助け起こすと、老人にぶつかっておいて謝りもしない男を睨みつけて、文句を言おうとしたが、その声は当の老人がレオナの服の裾を強く引っ張った事によって遮られた。
「何でよおじいさん!!!ぶつかってきたのはあっちでしょう!!!おじいさんには反論する権利があるは!」
しかし老人は首を横に振るばかりだった。
髪と同じくらい長いひげで覆われた顔はまったく表情が見えないが、なんとなく悲しそうな雰囲気だったため、レオナは仕方なく引きさがることにして、立ち上がろうとする老人の手助けをするため、彼の手首をつかんだ。そして、その手首のあまりの細さに驚いた。
ほとんど骨と皮だけのような異常な細さだったからだ。
立ち上がった老人は意外な事に、背が高く背筋もピンと伸びていたが、そのボロボロの服装から何日も食べ物をとれないほど貧しいのはあきらかだった。
レオナは、しばし迷った末、自分もまだ昼食をとっていない事を思い出し、ここで会ったのも何かの縁に違いないと、老人にも昼食を奢ってあげることにした。
「おじいさん?おなか減ってない?私お昼ご飯まだなんだけど、一緒に食べない?」
老人は一瞬ひどく驚いたような仕草をし、しばし考えるような間があった後、空腹には勝てなかったのか恐る恐るうなずいた。
レオナは、老人がうなずくのを見ると、再び老人の細い手をとり、たまたま近くにあった食堂へと入っていった。
最後をまったく考えないで書き始めた小説なので、どこまで続くのかわかりませんが、完結目指してがんばります。
今後、少しは面白い展開になるはずだと自分的には思っているので、よろしくお願いします。




