第76話。怪物からの逃避行~ターク神父の贈り物吟味
俺は、ハーネさんを連れて、
南門の外、獣人キャンプに戻る。
南門には、あのクソ門番達は居なかった。
昼休憩だろうか?
町の自警団らしき人が、替わって門番をしていた。
キャンプの方を見ると、
ダンザと、ハチムは、
冒険者ギルド長バイロンさんにしごかれ、
グロッキー状態で、木陰に寝転んでいた。
ドラカンさんとオーラスさんは、
ただ単に、ぐうたらとその脇に寝転んでいるw
俺は、キャンプに向かって歩きながら、
ドラカンさん達に、声を掛ける。
「町の用事、終わったっす。
また、売り荷の値が判らないので、
ハーネさんに来て貰いました」
ドラカンさんが、上半身を起こし言う。
「お?終わっただーか」
オーラスさんも、上半身を起こし言った。
「お前さんを待つか、昼飯食べてしまうか、
相談してたところだったんだが、
もう中で食べて来たのかい?」
ハーネさんが、答える。
「いえ、まだですわ。
今、シュンツが、お使いに行ってますの、
みなさんとここで、一緒に昼食にしようと思いまして」
ダンザとハチムは、ぐったりと草むらに横たわっているw
俺は、キャンプに付くと、ダンザ達の脇に座り、
買い物の報告は、ダンザとハチムから、
聞いているだろうから端折り。
街中であった事、ターク神父の話と、売り荷の値を、
ドラカンさん、オーラスさんに、小声で報告する。
ドラカンさん達は、
ターク神父が神の声を直々に聞いた事を喜び、
シガラキ様の事を隠している間は勿論、
一段と、シガラキ様の事を公表した後も、
集落は大丈夫だろうと言う。
HPポーションや魔石や魔狼、その他もろもろの売り荷を、
ハーネさんが、高値で買ってくれる事に付いては、
高く買って貰えてありがたいと、即了承し。
ドラカンさんオーラスさん2人とも、
小金貨2枚で異論は無かった。
俺は、ハーネさんの目を気にしながらも、
シュンツ君の、そら恐ろしさを、
ドラカンさん達に訴えて見たが、
シュンツは、甥っ子みたいなもんだと、
耳を貸しては貰えなかった。
そうこうしていると、シュンツ君が、
ランチが入っているバスケットを片手に、
イーハンから出てきた。
少し遠くから、シュンツ君が声を掛けてくる。
「バイロンさんは、もう居ないですよね?
アルファさん達は、ランチを持参したと言ってたので、
母と僕分だけ、買って来ました」
ドラカンさんによると、
バイロンさんは、前回同様、ダンザとハチムが稽古で潰れると、
高笑いを残し、ギルドに帰って行ったそうなw
グロッキー状態の、ダンザとハチムを起こし、
俺達は、車座となって、
獣人キャンプで昼食を取る事となった。
俺は、食事を取りながら、ターク神父から頂いた、
ローブ2着と杖1本、MPポーションを、
皆に見せ、鑑定もした。
貰った物をその場で鑑定するのは、
やっぱ、なんか失礼と言う気がしたから、
その場では出来なかったのだ。
ローブは、神職用の防具で、聖属性のモノであった。
オーラスさんやハーネさんが言うには、
祭事用、儀礼用の装飾的な物ではなく、
実戦用のローブで、結構良い物だと言う。
ローブは、革のジャケットの上から、装備出来るっぽいな。
効果としては、物理攻撃には、ほぼ無意味だが、
魔法に対する防御力が上がる。
この間の、魔狼の咆哮や、
魔ゴブのウインドショットみたいなもんのダメージが、
軽減される感じかな?
オーラスさんの火系の魔法はどうなんだろか?
炎は、物理攻撃?
熱、科学的現象みたいなトコあるしなぁ・・。
俺の石つぶてだって、そうだ。
バリバリの物理攻撃だ。
オーラスさん曰く、
炎系の魔法は、少しは魔法防御でダメージが減るが、
俺の石つぶてには、魔法防御の効果はほぼ無いだろうとの事。
そりゃそうか。
ローブ、これば・・・ターク神父のお下がり?
予備?
まぁいいさ、ターク神父には、急な事だったろうに、
こんなに良い物が頂けたんだから。
俺とリリーが、ダンジョンで使えばいいだろう。
杖、こいつも中々の逸品だった。
金属性では無い、木製ではあるが、やはり聖属性の装備だ。
俺が、予備に買い、今リリーが使っている物より、
断然、比べ物にならないほど性能が良い。
リリーの防御魔法、シガラキの笠の、
効きや効果時間が延びるなら、
今の俺達にとって、こんなに有難い物は無い。
これも、ターク神父の予備かお下がりか?と思ったが、
ハーネさん曰く、ターク神父の本装備だと言う。
ドラカンさんもオーラスさんも、
リリーに、こんな良い物を頂いて、良いのだろうかと言うが、
ハーネさんとシュンツ君は、
聖女には、もっと良い杖が相応しいと、小声で笑って居た。
MPポーション。
これには驚いた。
10階もありはしない浅いダンジョンで、
こんな良い物がドロップするとは・・・。
HPポーションの回復量は大体20だから、
MPポーションも20なんだろうと思ったら、
50回復する・・・。
俺はゲームでも、この手の貴重品を使わず、
クリアしてしまう系の人間だが、
現実世界で、この超便利な貴重品を手にすると・・・、
一層使えないな。
自分でボンボンとドロップさせられるならまだしも、
普通には出回らない貴重品・・・お守りだな。
俺とリリーで、何本か常にアイテム収納しておくだけ、
使うものじゃないな、コレは。
ライツ教の隠しダンジョンでも、
ボンボンドロップする訳じゃないと、
小声でドラカンさん達は言う。
浅いが、ボス的な魔物が居て、
それがたまにドロップするんだそうだ。
でしょうね?
と言う感想しか出ないw
食事を取りながら、会話をしていると、
だんだんと、ダンザとハチムが、回復してきた。
いいぞ、お前ら!!
ターク神父からの贈り物の話で、
間を持たせている間に、速く回復しろ!
ダンザ、ハチム!!
商才の権化、シュンツから、俺達の儲け話を守るんだ!!
一刻も早くここを離れるんだ!!
今が、今こそが、俺達の、ドラカン集落の、
タヌキ族の命運が決まる時だ!
さっさと食え!
何をチンタラ食ってやがる!
食え!
さっさと食って、ここから、逃げるぞ!?
山奥の集落に、逃げ帰るぞ!
いや、集落を捨ててもいい!!
ダンジョンなんか、南のゼンツに、いくらでもあるだろ?
ゼンツ通り越して、南の島まで逃げてもいい!!
魔族の支配地域だって構わない!!!
とにかく、とにかく、シュンツから、
この銭ゲバの怪物から逃げよう。
さもないと、俺は食い尽くされるような気がする。
俺だけじゃない、お前らも、ドラカン集落ごと、
いや、タヌキ族ごと食い尽くされるかも知れない。
それほどのバケモノだ。
シュンツはそれほどのバケモノだと、俺の勘は言っている。
俺は、バカだッ!
マヌケだッ!!
ミスった・・・ありえない大失態、全てが台無しだ。
何が二神様の使いだ!
何を調子に乗っていたんだ、俺は大マヌケだ!!
俺は、ターク神父との会見を終え、安堵していた。
緊張感の欠如、
弛緩、
怠慢、
傲慢、
無策、
無為、
惰性・・・。
シガラキ様が、俺を馬鹿にするのは正しい。
バケモノに・・・二神様の導きを、
甘味、水飴で一儲けを洩らしてしまった。
今更、悔やんでも遅い。
出来る事は・・・逃げる事だ。
このまま、うやむやに、しらばっくれて、
商才の怪物から離れる事だ。
だから、だから速く回復してくれ!!
俺は、平静を装い食事と会話を続け、
心の中で、自分を呪い、
ダンザとハチムの一秒でも早い回復を、ただひたすら祈った。
ハーネさんとドラカンさんオーラスさんは、
楽しそうに会話をしている。
そこに、シュンツ君が口を開いた。
「母さん、僕、しばらく、
ドラカンさんの集落に、行きたいけどいいかな?」
俺は、凍り付いた。
ドラカンさんが、楽しそうに言う。
「久しぶりに、来るだーか?」
シュンツ君が、笑顔で答える。
「ええ、シガラキ様、聖女様リリー、神の使いアルファさん、
僕も何か商人として、集落の役に立ちたいと思いまして」
オーラスさんが、嬉しそうに言う。
「そうか、シュンツが来てくれれば、何かと心強いな」
ハーネさんも、楽しそうに言う。
「ええ、こちらの事は心配要らないわ。
次に、集落からの荷を運ぶまで、いってらっしゃいな」
シュンツ君は、俺に向かって言う。
「先ほどの話、ゆっくり聞かせてくださいね。
神職枠、聖水と並ぶ、大仕事になると思います」
俺は、冷や汗を掻きながら、強張る口で答えた。
「シュ、シュンツ君は、町で色々忙しいんじゃないっすか?
ホラ、俺達もう帰らないとだし、
シュンツ君の準備、待つ時間はもう無いっすよね?」
商才魔人を遠ざける方便を、おれは考え付かなかった。
俺の様子で察して下さい。
どうか、どうか・・・。
俺は、ドラカンさんの返答に全てを賭けた。
ドラカンさんが俺を見て、何か言おうとした時、
シュンツ君が、笑顔で言った。
「着替えや身の回りの物はもう、
アイテム収納して持って来てます。
ダンザとハチムの足取りは重いでしょうし、
そろそろ出発しますか?」
このバケモノは・・・全てお見通しだったか。
終わった・・・ぼろ儲けへの道は閉ざされた。
俺がマヌケなばかりに・・・済みませんドラカンさん。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
カイジ風w
まぁ、シャレっす、冗談っすw




