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第77話。聖女の金庫番~スタミナポーションと甘味シンジケート

アルファ達は昼食を食べ終り、

イーハンから集落へと帰るところである。


ダンザハチムは、スタミナ切れでぐったりとしていたが、

休憩と食事により、随分と回復していた。


この世界に、スタミナポーションは存在しない。

スタミナ切れは、ポーションでは回復出来ないのである。


シュンツの母、ハーネ商会のハーネに別れを告げ、

一行は、東に、イーハン隣村に向かって出発する。


スタミナ切れから、回復し始めたばかりのダンザハチムが居ても、

荷車を曳くのに比べ、一行の足取りは軽かった。

ただ一人を除いては・・・。


俺は、ただただ悔やんでいた。


自分の大失態、

シュンツ君に儲け話を洩らしてしまった事を・・・。


毎度の如く、ドラカンさん達は、荷車が無いと楽で良い等と、

ご機嫌でお気軽な会話をしていた。


ご機嫌な理由は、

ターク神父とシガラキ様の件に付いて、一旦、話がまとまった事や、

HPポーションでの一稼ぎが、軌道に乗った事もあるだろう。


だがしかし、もっと大きな稼ぎを、

フイにしてしまったのだ。


俺に出来る事はもう無い・・・

ただただ、悔やむばかり・・・。


畑を過ぎ、人目がなくなった山道に入ると、

シュンツ君が、俺に話しかける。

「ここまで来れば、もう大丈夫です。

アルファさん、ドラカンさん達にも、さっきの話をお願いします」


俺は、どうしたらいいか判らず、

黙り込んだまま歩き続けた。


ドラカンさんが、俺に問う。

「なんだーな?さっきの話?」


シュンツ君が答える。

「アルファさんの世界の、甘味の話です」


終わった・・・全て終わった・・・。


甘味でウマウマ大作戦は、この商才の怪物、

魔人シュンツに、大部分持っていかれるに決まってる。


俺は、黙り込んだまま歩き続けた。


オーラスさんが、俺に向かって言う。

「なんだ?アルファ。

また考え事か?」


俺は、意を決して答えた。

「済みません・・・。

二神様からのお告げ・・・導き・・・。

ぼろ儲けのタネ・・・。

シュンツ君に、知られてしまいました」


ダンザが、不思議そうに言う。

「ぼろ儲けの導き?

なんだーな?それ」


ハチムも、俺に尋ねる。

「二神様と、いつ会話したんですか?」


ドラカンさんとオーラスさんも、

不思議そうに俺を見る。


シュンツ君は、何か感づいた様に言った。

「そう言う事ですか・・・。

いやだなぁ・・・。

僕は、アルファさんに信用されて無いって事ですよ」


俺は、気まずかったが、正直に言う。

「だって、シュンツ君は、タヌキ族じゃない、じゃないっすか。

まずは、ドラカンさん達と相談してからじゃないと」


俺とシュンツ君以外が、みんな笑った。


笑いながら口々に言う。

「なんだーな、アルファ。

お前、シュンツを疑ってただーかw」


「兄弟みたいなものだって、言ったじゃないですか」


「アルファ。

ハーネと俺達は、一蓮托生だよ」


「それで、さっきから様子がおかしかっただーな?」


ドラカンさんも、オーラスさんも、ダンザハチムも、

完全にハーネさんやシュンツ君を信頼している。


俺は、信用しきれないでいた。


あまりにも優遇されるし、タヌキ族じゃないし、集落の人でもない。

町の人だ。

人目のあるところでは、商人の顔で他人の演技するし。


ダンザハチムは、笑い続けていた。


笑いながら、ダンザが言う。

「お前の方が、信用いかないだーなw」


俺は、ダンザに言い返す。

「シガラキ様、ホントだっただろがい!

正真正銘、神の使いじゃい!」


そんな俺達を見て、

シュンツ君は、ちょい拗ね気味で言った。

「ダンザが、門番に叩かれた時、

僕は、アルファさんは信頼できると確信したのに、

僕は信用されてなかったのかと思うと、なんかなぁ」


ドラカンさんが、話題を変える様に言う。

「そう言えば、門番に槍で叩かれてただーな」


オーラスさんも、空気を変えるように言う。

「ダンザ、何があったんだ?」


ダンザが、口をへの字にして答える。

「ただ、通っただけだーな・・・」


シュンツ君も、鼻にしわを寄せて、嫌そうに言う。

「あの門番、ゴロンって騎士団のヤツは、

町でも評判悪いんですよ」


ハチムが、真面目な顔で言った。

「それで、アルファさん、悔し泣きしたんです」


ドラカンさん、オーラスさん、ダンザが、

また声に出して笑った。


俺は、ダンザのケツを、軽く蹴りながら言った。

「悔しかったけど、泣いてないっすよ」


シュンツ君が、冗談めかして、俺に笑顔で言う。

「その涙を見て、僕はアルファさんを、

信頼できる人だと思ったのにw」


俺は、照れ臭く、かっこ悪いけど、

シュンツ君に向かって言った。

「悪かったっすよ、信用する事とするっす」


俺は、続けて思いついた事を口に出した。

「ダンザとハチム、

ついでに冒険者登録しちゃえば、良かったかな?」


オーラスさんが、答える。

「意味無いさ、ただの冒険者じゃダメだな」


ドラカンさんも、言う。

「ダメだーな、どうせ門の出入りには鑑定されるだー」


俺達は、イーハン東村に向かい、歩きながら話を続けた。


俺は、砂糖は、サトウキビから作るだけじゃない。


甜菜と言う、甘い大根?カブ?がある事を伝えるが、

この世界にあるかどうかは不明だ。


水飴についてだが、たぶん麦芽糖だろうと思っていた。


俺が、買った水飴を鑑定して見たところ、

やはり麦芽糖だ。


飴の方も、麦芽糖。

べっ甲飴ってヤツだ。


ドラカンさん、オーラスさん、シュンツ君も、

鑑定してみるが、水飴と言う結果だった。


普通の鑑定、神の目では、水飴としか鑑定出来ないらしい。

麦芽糖と言う、科学的知識が無いのだ。


水飴の製法は、TVで見た事があった気がする。


麦芽糖と言うくらいだから、

麦芽の酵素で、デンプンを分解するのだ。


作り方は、TVでは、ふたを開けた炊飯ジャーを使ってたな・・・。


とにかく、60度で、お粥?おもゆ?

みたいなもんと麦芽酵素を、数時間煮続けると、

水飴になるはずだ、と伝える。


逆に説明されたのは、この世界の甘味シンジケートについてだ。


サトウキビを育てられる、熱帯の土地を魔物から切り取り、

そこに集落を作り、住み着いて守るクランの集りだそうな。


サトウキビは、熱帯地方に土地を持つ、

実力派クランの資金源でもある訳か。


生産調整や値崩れ防止をするクランの組合、

それが砂糖シンジケートね。


水飴シンジケートについては、

その砂糖シンジケートと関係を持つ組織。


砂糖の下部組織と言う訳でも無いとの事。

武力は持たないが、極秘の水飴製造技術を持つ商会の集まり。


砂糖水飴、両方合わせて、甘味シンジケートと呼ぶらしい。


ハチミツについては、甘味シンジケートとは関わりが無いらしい。


地元で取れたものを地元で消費、

つまり、生産量自体が少ないし、流通量はもっと少ない。


水飴の値段は、砂糖より安いが、まぁそこそこ高級品。

日用品の中では、高級品といった部類との事。


ここらは、酒が安いから、水飴の方が高いが、

他所では、蒸留酒と水飴は、同じくらいの値段らしい。


水飴の製法を俺が知っている事を、

ドラカンさん達は、喜んでくれた。


そりゃそうだ、そこそこの儲け話だよな?w

酒を造るには、時間も手間も掛かるが、

水飴は、酒を作るのと比べ、時間も手間も掛からないハズだ。

原材料は、両方似たようなもん、デンプンだ。


水飴製法が、世に広まってないのは、

シンジケートが隠すからだろうが、

それ以前に、この世界の科学的知識や技術が低すぎる。


魔法がある分、科学が進歩しないのか?


俺の世界で言えば、江戸時代には、

水飴の製法なんて、世に広まってたんじゃないか?と思う。

水飴の歴史なんて、俺はまったく知らないがw



イーハン東村を囲む畑が、山道の先に見えてきた。

空の荷車を、俺のアイテム収納から出し、みんなで曳いて行く。


そう言えば・・・

イーハンに入る時に荷車を曳いて行ったが、

帰る時は、俺のアイテム収納の中だった。


俺は、疑われるんじゃないかと心配したが、

荷車の事なんか、門番も町の人も何も気にしないだろうと、

シュンツ君が言う。


極東街道、宿場町なんだから、

いちいち荷車なんか気にしないかw


アルファ達は、イーハン東村で2台の荷車に、

いつもの通り食料の買出しをする。


麦芽糖実験用に、大麦も片栗粉も少し買った。


シュンツが集落に向かう訳を、村の商人ニボガッツに聞かれたが、

シュンツは、新入りアルファの地方の、地方料理を習うためだと、

平然と答え、違和感無く切り抜けたのであった。


一行は、隣村での買い物を済まし、ドラカン集落に向けて進む。


時刻はまだ、夕方前、昼過ぎと言った方が良い。


隣村からの人目が無くなると、

アルファは、荷ごと荷車をアイテム収納する。


彼らは、いつもの如く、荷の無い移動は楽だと笑いあった。

さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。


いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、

星5やらw頂きたいっす。


反応無いと、便所の落書きだものねw


話も進んできたので、タイトルをネタバレ上等で、変更してみました。

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