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国王陛下からの手紙が届いたのは翌日の早朝だった。
『詳細は追って』
そう言っていたのを思い出す。
内容は次のようなものだった。
デビュタントの舞踏会にも来賓として招待されていた隣国エメンディアの第二王子は、予定より1週間ほど早くカタルフィーナへ入る。
ヒルデリアの役割はそれを誠心誠意もてなし、周囲の者に仲が良いように見せつけること。
そして、デビュタントの舞踏会において、第三王女の紹介とともに、婚約発表を行う。
第二王子の情報をしっかりと把握し、望みのためによく考えて行動するように。
リディアナが読み終わると同時にその手紙は空気にとけるように消えてしまった。
「1週間早く?」
それはつまり、今日、ということだろうか。
もっと早く言ってほしいと思うものの、リディアナは昨日までの罪悪感と不安に押し潰されそうな感覚は薄くなっていた。
昨日、クラウドに言われたのは当面は国王陛下の言うように動いてほしい、ということだった。
もちろんリディアナはそのつもりだったので、頷いた。
『わたしも、手段を選んでいられないですね…』
なんだか物騒な言葉が聞こえた気がして、リディアナはクラウドを見た。
『どうしました?』
にこり、と優しい笑みはいつも通りだが。
『クラウドさん、無茶はしないでくださいね…?』
『大丈夫です。無茶をせず、最短ルートで可能な限り迅速に片をつけます』
「本当に、無茶しないといいけど…」
リディアナは自分のやるべきことをするだけだ。
その時、ノックとともに侍女が訪ねてくる。
焦っているようだった。
「ヒルデリア様、もうすぐ隣国の王子がお見えになるそうです!」
「国王陛下がヒルデリア様にお出迎えするように、と!」
「さぁ!御身をととのえましょう!」
何時もより多く感じる侍女の数に、リディアナは少し気後れしつつも任せることにした。
―――――――
(疲れた…)
第二王子到着後、謁見室にて国王陛下との対面後、国王陛下自らに紹介され、よく心を配るように。と命じられた。
その後、汗を流した後で少しお話がしたい、という第二王子をリディアナは豪華な応接室で待っていた。
そういえばこの城に初めて来たときも似たような感じだったと思い出す。
もちろんマナー教育を受けたリディアナは、もう疲れていたとしても背凭れに体を預けることはしない。
「ヒルデリア様、第二王子殿下がいらっしゃいました」
「どうぞ、ご案内してください」
ごくり、と唾を飲み込みクラウドをみる。
優しく微笑んだままクラウドは頷く。
(大丈夫、これから1週間、婚約を結ぶまでは安全なのだから)
リディアナはその場に立ち上がり扉を見据えた。




