魔王城へ
第三十一話 勇者と側近と殺人鬼
「ねぇ、本当に置いてきてよかったの?」
「そんなことオレに聞かれたってわかんねぇよ」
ヘラがどこかに行ってから一週間ほど経った今、私たちはキスタナ洞窟を進んでいた。
「そうですねぇ。ヘラくんたちが移動し始めたようなので置いてきて正解っちゃあ正解ですね」
「そっか。よかった……よかったのかな?」
クノリティアにいた時と一つ違うのが、ハレティの存在である。ハレティはどこに行っていたのかも告げずに普通に帰ってきたのだ。
ハレティは私たちが何も知らないと思っているだろうけど、私たちは彼が天界にいたことは知っているのだ。
「あと……それ、やめてもらえません?」
「ん?」
「ペンダントをカイロ代わりにするの」
ハレティは不満をできる限り表に出して言った。
「これくらいが丁度いいの!いつも超熱くなるだけで役に立たないじゃない。たまには役に立ちなさいよね」
「えー、役に立ってると思いますけどねぇ」
(もうついていけねぇわ、このノリ)
レインが呆れかけた時、キスタナ洞窟の出口が見えた。
「ふぅ、やっと出口だわ!」
「むむ、役に立ってるんですよ、ね?」
「まだ考えてるのかよ!」
「だって側近として重大じゃないですか」
「あんたたち、ちょっとは感動というものはないの?」
「ないね」「ありません」
「……」
二人から同時アタック(非物理)を受け、私は落胆した。
「さぁ、リグナまで競争ですよ!」
「ずるいぞ!お前、浮いてるのに!疲れなんてないのに!」
「レインだってでっかい翼あるじゃないの……」
私はレインが普段収納している翼を見て言った。
「いや……この道狭いから、翼が引っ掛かって動けないんだ」
「……ヘラだったら細いところでも動き回るのに」
「いやいや!無いに等しいだろ!二枚で背中より小さいんだぞ!?」
「知ってた?ヘッジさんもカリビアさんも翼あるんだよ」
「うっそ、マジかよ」
レインは何かが凍りついたような顔をしていた。
もちろん、見たこともないし見せられたこともない。ヘッジさんはあり得るかもしれないけど、カリビアさんは魔法をこれっぽっちも使えないらしいので、あり得ないだろう。
気がつくとハレティの姿はなかった。
「くっそ!あいつマジで行きやがった!!」
「くくっ……ふふふっ……」
「笑うな!行くぞ!」
レインはまだ、ペンダントが発熱したことを知らない。いや、知らせない方が面白そうなので知らせなかった。封印されに戻ったことを知ったらどんな反応をするか、とても楽しみだ。
__________
「……というかなんでリグナに行くの?」
「魔王城にスフィアがあったようなのでね」
「魔王城に?なんで気づけなかったんだろう……」
ペンダントの中のハレティと話していると、レインが話しかけてきた。
魔王城はもう目の前だ。
「なに独り言を……ってまさかその中に……」
「今頃気づいたの?」
「全然走らないと思ったら!くっそー!ナメんなよ!」
むきー!というようにピョンピョン飛び跳ねるレインを見て、思わず笑ってしまった。首に巻き付けているマフラーも同じように上下に揺れる。
ペンダントの中のハレティは「まだまだお子様ですね」と笑っていた。
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「着いた!魔王城だ!」
私たちは魔王城に到着した。相変わらず見た目は白いが、どことなく魔王城の雰囲気を取り戻しつつあった。
魔王城に入ろうとすると、男の人に声をかけられた。
「そこの旅人……。魔王城に入るのか?」
「あなたは?」
「門番をしてる……アルファ」
「あ、わたしはベータよ!アルファの姉なの」
アルファという男はどこかやる気がなさそうだった。まさに今からでも眠れますというように。一方ベータはその真逆といったところか。
「魔王様に入城許可をもらってますか?」
「もらってないけど……」
「じゃあダメです。あぁ……めんどくさい」
ふぁぁ、と欠伸をしながら唸るアルファ。その時、ペンダントが熱を発した。
ペンダントが発熱する時、それはハレティがこの世に顕現する時。
「アルファさん、私たちはライルさんに呼ばれてここまで参りました。入城許可、出ませんか?」
「……僕は寝るから姉ちゃんに聞いて」
「えっ」
「……ぐぅ」
「ほんとに寝たぞ、この人」
「ちょっと待ってて。最近の魔王様の予定は……あぁ、あなたたち、大工さんっぽくないから勇者、かな?」
「えぇ。スフィアを受け取りに参りました」
ハレティは仰々しく礼をした。それをベータさんは「わたしなんかに?いいのいいの!」と笑って流していた。
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「……あれ、あの人らは?」
「あんたが寝てる間に行かせたわよ」
「えぇっ!?」
彼は睡眠禁止ということを心に刻み付けた……とさ。
どうも、グラニュー糖*です!
パソコン開いて絵を描く気満々です。
では、また!




