目的
第三十話 霊界と魔界を繋ぐ本
俺たちは一階と地下室を繋ぐ階段を上りながらハレティについて話していた。
「ハレティ?あぁ、二年前の……」
「もしハレティが戻ってきたのならムジナの魂の解放もバレてると思う」
「魂だけじゃ物は触れないからな。誰かがあの本を開けたのなら、その誰かがハレティということか?」
「その可能性が高いと思う」
「マジかよ……」
リストは頭を抱えて唸った。リストは敵なのにどうしてこんなに親身になってくれるのだろう。
「でももし別人だったら?」
「それはないと思う」
「どうして?」
「あの本は……俺とムジナしか存在を知らないからだ」
シフを呼び出したあと、あの本は失敗作だと認識した俺たちはムジナの家の本棚に隠すことにしたのだ。
誰にもあの本の存在を教えていないはずなのに使われたということは、ムジナがハレティにお願いして開いてもらったということになる。
あの本は人間界から霊界を経由し、魔界に行くというもの。その逆もできるようになっている。しかし魔界から霊界だけというのは設定していない。恐らく、ハレティが弄ったのだろう。
霊界から魔界まで行くのは簡単だ。だがそれは膨大な魔力があるときだけ。今、ムジナにはその力は残っていない。魂だけのムジナには二回目は不可能なのだ。
「だが、どうしてハレティに教えたんだ?お前とムジナって奴と仲悪いんだろ?」
「……その時頼れたのがハレティだけだったからじゃねぇの?あと、俺らは仲悪いんじゃない。ただ気に入らないだけだ」
「……そうか。悪魔のことはよくわからない」
「ふっ、悪魔になろうとしてる奴が言うことかよ」
俺はムジナの家を出て、上を向いた。
雪山なので毎日のように降り続ける雪。昔から見ていたこの白銀の世界は今も変わらない。真っ白が故に自分がどれほど大きいのかさえわからない。
どれだけ背が伸びても、どれだけ強くなっても、見える景色は変わらない。ムジナと二人で見た景色は今もこれからも変わらないだろう。
「!」
「気づいたようだな」
「……行かなきゃ!ムジナのところに!」
「はぁ。お前、バカか?本当に行くべきなのはハレティのところじゃないのか?」
「え?」
「ムジナは一人ではこちらへ来れない。しかもエメスに最近できた塔の警備は厳重だ。なら、今一番ムジナと繋がりがあるハレティのところへ向かうべきだろう?」
「そっか……そうだな!」
俺はリストの方へ向き、拳を握った。
それを見ていたリストは安心したように微笑んだ。
「ヘラ。俺も行くよ」
「リスト?!じゃあ人間は……」
「もちろんやめたわけじゃないさ。だが……お前が言うのなら、スクーレは見逃してやる」
「リスト……」
「ほら、行くぞ。恐らくまたリグナに向かっただろう」
リグナといえば魔王城がある場所だ。だが、どうしてまたそんなところに行くのだろうか。修築はライルさんたちに任せればよいものを。
「あそこには……お前らが探し回っているスフィアがあるらしいからな」
「えぇ!?気づかなかった……」
「そうだろうな。真っ白な魔王城を修築しているときに玉座の裏から出てきたらしい。魔王もそれを忘れてしまっていたようだな」
「でもどうしてそんな情報を?」
俺は不思議そうにリストを見た。
彼は「ふん」と鼻で笑い、口を開けた。
「忘れたのか?俺は……トレジャーハンターだからな」
リストはニヤっと笑ってみせた。
どうも、グラニュー糖*です!
リストは悪い奴じゃないんです
ただ友達が少ないだけなんです
では、また!




