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七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす  作者: 蒼月よる


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本聴聞

 本聴聞は中央会館大ホールで行われた。


 傍聴席は満席。四港の実務者も住民代表も来ている。密室に戻させないための布陣だ。


 イオナは開廷直後、流路証明を提示した。


 運搬印L-9系列。

 旧税関裏小門帳簿。

 沿岸調整会(仮称)受領印。


 審査官は即座に反論する。


「受領印は偽造の可能性がある」


 イオナはB束から照合資料を出す。


「同印影が四港で一致。加えて時刻逆転文書の発信元も一致」


 会場がざわつく。


 ガルムは後方で退路を見張り、メラは傍聴席で連携先へ逐次伝達を回す。聴聞は会場内だけの戦いではない。


 三時間後、審査官は中間結論を読み上げた。


 「沿岸調整会(仮称)文書流路の実在性を認定。構成員調査を開始」


 完全勝利ではない。

 だが会議体の実在が初めて中央公文で認定された。


 イオナは席を立たず、ただ深く息を吐いた。

 ここまで来るのに、港の夜をいくつ使ったかもう数えていない。





 質疑の中盤、中央側は「連鎖証明の欠落」を突いてきた。


「受領印と流路は示された。しかし発信者側の連鎖が未確定です」


 想定どおりの反論だった。イオナはC束から保全照会票を引き抜く。


「発信者欄の実名は伏せられています。だからこそ、時刻整合と搬送経路で連鎖を示します」


 彼女は板へ時系列を描いた。


 発信時刻。

 小門通過時刻。

 受領時刻。

 実施指示時刻。


 四点の整合が、別文書でも同じ順序で現れる。


 審査官は沈黙し、別の角度から攻める。


「あなたは外港の実務者。中央制度への理解が不足している可能性は」


 ガルムが一歩前へ出かけたが、イオナは手で制した。


「不足している前提で構いません。だから公開しています。密室で理解不足を理由に切り捨てが起きた前例があるからです」


 会場後方で小さな拍手が起き、すぐ止んだ。聴聞は劇場ではない。だが空気は変わった。


 最後の陳述で、彼女は結論を感情ではなく運用語で閉じた。


 「本件の要点は犯人探しではなく、流路を公開下へ置くことです」


 審査官はメモを取り、時計を見た。

 攻防は続く。だがこの一文は、議事録に残る。



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