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監査妨害
第二監査の公開翌日、デルガ掲示板の監査欄だけが夜のうちに削られていた。
観測値欄は無事。
狙いは明白だった。日々の運用は残しても、系統追跡だけは消したい。
イオナは朝一で再掲示を行い、同時に妨害記録欄へ追記する。
『監査欄改竄、未明二時台、消去痕あり』
消された事実を公開する。妨害を隠すほど相手の利得になる。
ガルムは夜番体制を見直した。
「警備を増やすより、再掲示速度を上げる」
メラは見習いへ指示する。
「削られたら十分以内に復旧。迷ったら観測値より監査欄を優先」
住民の中には不安の声も出た。
「中央を刺激しすぎじゃないか」
イオナは板を見たまま答える。
「刺激しないと、静かに削られます」
午後、四港連携会議で同様の妨害報告が三件上がった。
単発ではない。会議体側の反応と見てよい。
イオナは議事録へ明記した。
『妨害発生を以て追跡有効性を確認』
夕刻、彼女は見習い班に小さな訓練を追加する。
削除発見。
時刻記録。
復旧掲示。
再撮影。
四動作を五分で回す。
敵が動いたこと自体が、追跡が刺さっている証拠だった。
だから刺さっている間に、復旧の速度だけを上げる。




