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七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす  作者: 蒼月よる


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小門の帳簿

 旧税関裏小門を突破する鍵は、扉ではなく帳簿だった。


 門番は規則で動く。規則を越えるのは偽鍵より、正しい照会番号だ。イオナは中央照会書の空欄番号S-4を逆に利用し、門番へ照会履歴の閲覧を求めた。


 門番は渋ったが、番号が合っている以上拒否しづらい。


「閲覧は十分だけ」


 制限付きで帳簿が開かれる。


 記載は簡潔だった。

 搬入者、時刻、照会番号、受領印。


 受領印の欄に、初めて未知の印が出た。


 沿岸調整会。


 正式名称ではない。略称の可能性が高い。それでも、初めて「会議体」を指す語が紙に現れた。


 ガルムは帳簿を一瞥し、目を細める。


「これで影に名前が付く」


 イオナは複写を取り、原本を戻した。証拠は奪わない。残して複製するほうが強い。


 帳簿を閉じると、門番が小さく言った。


「……あんたら、本当に止める気か」


 イオナは短く答える。


「止める。少なくとも、隠したままにはさせない」


 小門を出たとき、雨は止んでいた。

 空気だけが、次の戦いを予告している。



 毎朝最初の白墨線を引くのは、誰でもいい。

 重要なのは、誰かが必ず引くこと。


 デルガでは今、その役目を取り合う日がある。

 それは港が少し強くなった証だった。


 追記メモ。

 この幕間の主題は「中央照会と連携」。

 大きな判断を成立させるのは、後景にいる実務者の反復だった。


 同じ作業を何度も繰り返し、記録し、ずれを直し、次へ渡す。

 この連鎖が切れた瞬間に、どれほど正しい方針も現場で無力になる。


 ここで描かれている人物たちは英雄ではない。

 それでも彼らの手が一つでも欠ければ、列は止まり、掲示板は空白になり、判断は再び密室へ戻る。

 だから幕間は本筋の余白ではなく、本筋を支える土台として配置されている。



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