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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第167話 最後の10人 ~そして、終焉~

3/3

 


「させるかぁっ!!」


 リーダーは、全力で駆け戻った。

 剣を振るい、氷の床を裂きながら、ただ一葉のもとへと。


 ——間に合った。


 一葉は、無事だった。

 その代わりに、倒れ伏したのは——


「『真梨華』?!」


 仮面が外れ、露わになったその顔。

 それは、『レイド』のサブリーダー。

 かつて、共に戦い、共に夢を語った仲間。


「……あーあ。昔の女を殺して、新しい女に乗り換えか? ヒドイな」


 カルマの声が、毒のように甘く、冷たい。


「お、おまえぇぇ! おまえが仕組んだのか?!」


「まぁ、そうだな。でも——本人の希望でもあるよ?」


 カルマは、肩をすくめた。

 全体の段取りは、彼が書いた。

 だが、一葉を狙う役を買って出たのは、真梨華自身だった。


「一葉、大丈夫か?!」


 リーダーが、一葉を抱きしめるようにして支える。

 その華奢な体が、震えていた。


「え、ええ。平気よ……」


 言葉は返った。

 だが、その声は、どこか遠く、空虚だった。


 守られたはずなのに、なぜ、こんなにも痛いのだろう。


 私が壊したのは、誰だったんだろう。


 カルマ?

 沙羅?

 真梨華?

 それとも——


 リーダー?


 ふと、視線が真梨華に向いた。


「ッ?!」


 視線が、合った。

 その瞬間、心の奥で何かが砕けた。


『支え』が、破壊された。


「——裏切者」


 真梨華が、血に濡れた片手剣を握りしめ、地に伏しながらも、なおリーダーを睨みつけていた。


 その目は、怒りでも憎しみでもない。

 ただ、真実を突きつける者の目。


 彼女が見ていたのは—— 『自分を見捨てた男』だった。


 ◆


【「一葉をどうしたかったの?」 「とりあえず、八つ裂きかな?」 「!? ……そう。なら、それは私にやらせてちょうだい。チャンスを作ってくれれば、私がっ……」】


 ——殺す。


 触れられそうなほどの殺気が、空気を裂いた。


「わかった。一葉を殺す役は君にあげるよ」


 契約が、成立した。


 その時、カルマはこう続けていた。


「チャンスは二度ある。君の体には、傷を修復してくれる存在を仕込んである。リーダーなり一葉なりにやられても、すぐに死ぬことはない」


 それは——『妖霊虫』。


『再生虫』の妖怪版。

 死体となっても、魂を体にとどめ、『死後の一撃』を可能にする、禁忌の存在。


 もちろん、妖怪化まではしない。

 それには、カルマとシステムの協力が必要だ。

 だが、それでも—— 『一度死んだくらいでは死なない』身体が、そこにあった。


 さらに、真梨華は人間のまま『ダンジョンのサブマスター』に指名されていた。

『マスター』に人間がなれるのなら、『サブマスター』に制限はない。


 その階級に合わせて、いくつかの称号とスキルも付与されていた。

 心臓が止まっていても、そこからさらに動く。

 それが、カルマの用意した『舞台装置』だった。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 真梨華が、狂乱の叫びをあげて襲いかかる。


 その動きは、もはや人間ではなかった。

 死を超えた執念が、肉体を突き動かしていた。


 リーダーが剣を構える暇もなかった。

 一葉が悲鳴を上げる間もなかった。


 刃が閃き、血が舞い、命が散った。


 サブリーダーも、リーダーも、一葉も。

 誰一人として、生き残ることはなかった。


 残り、0人。




「そして、誰もいなくなった、と」


 カルマが、静かに呟いた。

 その声には、達成感も、喜びもなかった。


 ただ、一つの物語が終わったことを告げる声。


『全校生参加の最下層攻略レイド』は、ここに——


 完全に、失敗した。



「終わり、ね」

 悠が、平坦な声を落とした。


「そうなることは、わかっていたけど…」

 友梨が、静かに息を吐く。


 妖怪たちは複雑な顔で顔を見合わせていた。


評価いただけると続編を書く意欲に直結します


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