第41話 レアモンス ~カエル、妖怪になる~ 前編
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『タオシテキタゾ』
サブマスが戻った。
意気揚々とした態度だったが、どこか抜けている。
その直後、キアゲハの群れが襲いかかってきた。
短絡的だが、さっきよりも数が多い。
勝利してきたことで力を得たらしく、サブマスターが下剋上を狙ってきたのだ。
『キャハハハハハ! ニンゲンヲカテニ、ワレハアラタナチカラヲエタ。ワタシコソガ『ダンジョンマスター』ニフサワシイ!』
『人間』を倒して経験値を得たようだ。
それで力が上がったので、『勝てる』と踏んだのだろう。
サブマスの反抗。
ありがちな話だ。
だから、裏切られることに慣れたオレは驚かない。
「『電気ラケット風蠅叩きソード』!」
55階層奥の宝箱に入っている神話級武器だ。
対虫攻撃時に攻撃力2倍で敏捷性1.5倍という優れものの装備である。
見た目は一回り大きくなった『蠅叩き』でしかないが、なんと雷魔法付きでインパクトと同時に電気が走るという魔法剣でもある。
いわば,『決戦用装備』だ。
『最深部モンスター』の討伐を目的としていた今回のレイドでは、各階層の探索は二の次で駆け下りていた。
そのため、本来は有効なはずの装備品の類があちこちに放置されたままとなっていたのだ。これを、いくつか回収しておいた。
こんなこともあろうかと!
「『バグズキラーストラッシュ』!」
厨二病っぽい必殺技名を叫んで、蠅叩きを振り下ろす。
スパン! バリバリッ!
小気味のいい音がして、キアゲハの翅が散った。
胴体が床に落ちたが、立て直す余裕を与える慈悲はない。
『ムシミツブシ』。
58階層の宝箱に入っていた品だ。
対虫型モンスター用足装備の・・・スリッパ。
これを装備して、虫型モンスターと戦闘状態になるとある技が発動する。
「喰らえ! 『ペストパウンダー』!」
そのままずばり、『害虫を踏み潰す』技である。
足の下で、何かが潰れる感触がした。
一瞬後、経験値が入って来る。
『『サブマスター』を討伐しました。『迷宮の複座に座すもの』の称号を獲得。既得の『首座簒奪者』と統合され『迷宮の再誕者』の称号が与えられます。これにより、不可能だったダンジョンの組み換えなど各種権限が解放されました』
「おお。そうか。サブマスターが現存していたから勝手にはできないって話だったのか」
それが、サブもいなくなったからフリーハンドで弄れるようになったと。
『サブマスターが取得していた魔力の回収に成功しました』
かなりの魔力が手に入ったようだ。
『ダンジョンレベル』を60まで上げられる量である。
そりゃ調子に乗って下克上も狙うわ。
もちろん、速攻で上げた。
『『迷宮の再誕者』取得により、『構造変容』が解禁されました。ダンジョンの構造変更が可能になります。『禁種錬成』が解禁されました。レアモンスターの作成が可能になります』
おお。一気にできることの幅が広がったな。
「といっても『ポイントがあれば』、なんだろ?」
『その通りです』
やはり、そこは制限付きか。
『システム』があることから、薄々わかっていた——言われていた——ことだが『ダンジョン』は何者かの意志で創生された何らかの『ゲーム』なのだ。
あるいは『試練』か?
そうでなければ、モンスターやトラップはともかくドロップアイテムや宝箱の存在に違和感が出る。
なぜ、わざわざ侵入者の力を上昇させるようなものが用意されているのか? とな。
「今考える事じゃないな」
頭を振って考えを振り払った。
居残り組は片付けたが、主力級がここを目指して移動中だ。
『ダンジョンマスター』と『サブマスター』を討伐して、オレ自身もレベルが上がってはいる。だが、戦闘特化型の、それもパーティとの直接戦闘は分が悪い。
これを退けるまでは他のことにリソースを割くべきではなかった。
評価いただけると続編を書く意欲に直結します




