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『使い捨てられた補助スキル持ち、迷宮の主になって制服妖怪と学園祭を始める』  作者: 葉月奈津・男
R15版。暴力・性的ニュアンスありバージョン

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第20話 末路③ ~出会ってしまう~

7/9

 


 ◇双子、一度やってみたかった◇


「たくっ、どこまで行ったんだ?」

「いないねぇ」

 剣士を探して、奥へと入っていく双子。


 太い通路に出た。

 直後。


「へぶ!」

「ぶへ!」

 二人の姿も消えた。


「ひっ!」

「ウソっ!」

 後ろをついていっていた回復役と魔法使いが、足を止めて壁に縋りついた。


 そこにあったのは焦げ茶色の大きな『球』。

 後ろ足で支えている体長2メートルの虫もいた。

 それも番い——カップルだ。


 迷宮名物『転がる巨石』の虫バージョン。

 探索者が『成して埋め棄てたモノ』——フンを固め集めたモノを転がしてフンコロガシさん(58階層ボス)が登場したのだった。


「や、やだ」

「くっさ!」

 二人ともが顔を背け、ついで全力ダッシュで逃げに入った。


 無駄なことだ。

 フンコロガシさんは、脇道に逸れてまで二人を追おうとはしない。

 大事な、大事な『糞球』を運ばなくてはならないのだから。


 ちょっと、余計なものがくっついちゃったけどね。


 双子を轢き倒してしまったのだ。

 二人を大切な『糞球』に埋め込ませてしまった。


 ゴロリ。

 フンコロガシさんが、ゆっくりと動く。

 半回転させて、下になっていた二人が外に出るようにした。


「ご、ゴベェェェェ!」

「ゲホ。ゲロロロロロ!」

 二人は、転がる球に巻き込まれ、泥のような塊にまみれた。


 泥のような塊──。

 だが、泥ではなかった。


 湿っていて、粘り気があり、鼻を刺すような刺激臭。


 それは、探索者たちが残していった『成果』だった。


 息もできず、視界も奪われ、ただ苦しみの中で呻いた。

 それが何であるかを考える余裕すらなかった。

 ただ、臭いと、生理的に吐き気を催す『味』だけが残る。


 ゴロ!

 糞球が再び転がる。


 べちゃ!


 二人のせいで湿った土に顔が押し付けられる。

 吐き出した糞が、再び顔に当たりくっついたようだ。

 転がる球が再び動き、双子の顔が泥のような塊に押し付けられた。

 何が付着しているかを考え、楽しむことは、さすがの双子にもできない。


 付着したモノのおかげで『異物感』が薄らいだのだろう。

 気を取り直したように糞球を転がして、フンコロガシさんはダンジョンの奥へと消えていった。



 後日。

 二人は発見される。

 球の中に埋もれ、頭だけを出した姿で。


 かつては、男子の寝袋に潜り込むのが得意だった双子。

 今は、迷宮の『寝床』に潜り込まされていた。


 ◇遠のく意識◇


「ひっ、ひぃっ・・・」

 わき目も振らず走った回復役。

 気が付くと一人で、細い通路を歩いていた。


 グサ!


「カハッ!」

 細い体が、宙に浮いた。

 右肩から何か、突起が突き出ている。


 針だ。

 少し湾曲した針。

 先端から、とろりとした液体が滴っている。

 そのはりが、肩を貫通していた。


 ガン!

 突起の生えた体が、持ち上げられて天井に激突した。

 脳天が見事に天井に当たり、衝撃で星が飛んでいる。


「な、に?」

 無意識にだろう。

 自分に『ヒール』を使いながら振り返った。


「そ、んな・・・」

 絶望の呟きが漏れる。


 振り返った先にいたのは紅い甲殻類。

 しかも大きさが2メートル越えの、サソリだった。


「ぐッ、ぎぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ここで、ようやく毒が回ったらしい。

 全身を電流が走るような感覚にのたうった。


 幸運と言っていいのだろうか?

 のたうったことが功を奏して、毒針から抜け出せた。

 地面に落ちて、這おうとしている。


「ふ、ふぐっ・・・」

 毒に犯されながらも、何とか動こうと必死だ。

 でも、そうはいかない。

 今度はしびれが来たらしく、その場で動けなくなった。


「や、やぁだぁ!」

 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を歪めて、いやいやと首を振る。


 その足元にはナメクジがいた。

 15センチくらいのが無数にだ。

 ふと見れば、体長が3メートルにはなりそうな大ナメクジがいて、背中から続々と小さなナメクジが下りて向かってきている。


 ナメクジたちは、足元から這い上がってきた。

 ぬるり、ぬるり。

 冷たく、湿った感触が、肌を這う。


「ひっ・・・ひんっ・・・や、やだ・・・・・・っ」


 毒のせいで、現実がぼやける。

 触れられているのに、感覚が曖昧で、どこを這われているのかもわからない。


 ただ、何かが確かに『自分の中』に入り込んでくるような錯覚。

 それが、恐怖なのか、嫌悪なのか、もう判断もつかない。


「や・・・やめて・・・・・・やめてぇ・・・・・・」


 涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、ナメクジが這う。

 ぬめりが唇に触れ、思わず息を呑む。


 その瞬間、自分の体が、自分のものではなくなったような感覚に襲われた。


『動けない。声も出ない。でも、何かが、確かに自分の中で動いている──。』


 そのまま、彼女は静かに意識を手放した。



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