Episode:14 作戦
僕とティリアは、シェラとディジーの間に立ち、男を見下ろす。
「まだ話しませんか?」
僕がそう話すと、シェラとディジーは首を振った。
「なるほど」
僕はため息を漏らし、男を見つめる。
直後、舌打ちをしたシェラが口を開いた。
「選ばせてやる。俺様は優しいからな……。セル・ゴロンの強振の双斧、バシフィールの凍結の魔剣、ディスピルの毒と腐敗の魔剣……。どの魔剣で死にたい?」
シェラはそう話す。
その声、内容に男の額からは汗が滲み、喉がなる。
「シェラ……」
僕の声に、シェラは僕を見て、眉を歪める。
「もういいです。解放します。行ってもいいですよ」
僕がそう話すと、シェラは目を見開いた。
「は? 何言ってんだ」
シェラは眉を歪め、僕を見つめると、その隙をついて男はシェラの腕を振り解き、走り出していた。
「おい、待て!」
シェラは立ち上がり、歯を食いしばる。
そして、僕を睨んだ。
「ルイン……どういうことだテメェ……」
シェラは牙を剥き、僕の胸ぐらを掴む。
「アイツは僕たちの話を聞いていました。おそらく、名前もわかっていますし、特徴もわかるでしょう。そして、最後にシェラは魔剣を全て言ってしまいました。逆に、いいんじゃないかと思ったんです」
僕のその言葉に、シェラは首を傾げる。
「いいって、何が?」
シェラの返答に、僕はティリアを見つめる。
「セル・ゴロンの強振の双斧、バシフィールの凍結の魔剣、ディスピルの毒と腐敗の魔剣。略奪者なら、ほしいんじゃないですか? それに、高等級の冒険者の一行に目をつけられたなんて、彼らからしたらやりづらくて仕方ないでしょう、だから何がなんでも殺しにくるはずです」
僕がそう話すと、ティリアは顎に手を当て、少し唸る。
それはこれから起きることを思考し、それに対する対策を考えているようにも見えた。
「言いたいことは分かるニャ。でも、相手の数は増えるだろうし、一筋縄では行かないと思うニャ」
「そこは想定しています。だから、夜にニフニルから離れた場所まで移動、誘導します。そしたら、彼らもやりやすいでしょう?」
僕のその返答に、シェラとティリアの表情が引き攣る。
ディジーだけは眉を歪めたままため息を漏らした。
「それだけの数、勝てる見込みがあるのかい? 正直、正体不明の組織を相手に、そこまで戦えるかはわからない」
ディジーはそう話しながら僕を見つめた。
「ディジー、セル・ゴロンの共振の双斧は、振り抜く力も発動時に関係がありますか?」
「いや、わからないよ。距離は関係ある、始まりから終わりまでの距離が長ければそれだけ威力は上がる」
ディジーの返答に、僕はシェラを見つめる。
「あぁ、なるほど」
ディジーは僕の視線の先にいるシェラを見つめ、納得したように小さく頷いた。
「はい、シェラなら、あの魔剣を上手く扱えるかと思います。ディジー、渡してもらえますか?」
僕のその言葉に、ディジーは外套から双斧の魔剣を取り出し、シェラに投げた。
「都市の外なら、大暴れできますよ、シェラ」
僕がそう話すと、シェラはニヤリと笑い胸ぐらから手を離した。
「本気でやるぞ」
「本気じゃなきゃ、救えるものも救えません」
僕のその言葉に、シェラの顔が一瞬だけ曇る。
脳裏によぎったのは、親友の姿か……。
「……だな」
シェラはそう呟いて、小さく笑った。
「では、上に行きましょうか。僕たちの目撃情報を増やせば、奴らはこちらを見つけやすくなる。でも、目立つことは避けたいはずです。誘拐や人身売買も夜になるでしょう、なら、相手がやりやすい刻に動いてやります」
僕の言葉に全員が目を見開き、ニヤリと笑った。
「やるか」
「ニャ」
「いいよ」
僕たちは地下街から上を目指し、歩き出した。




