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ブチ切れ







「ーー双剣騎士ツヴァイフリューゲルのシーザじゃねぇかっ!」



 テイブはどうやらシーザのことを知ってるようだ。双剣騎士ツヴァイフリューゲルというのは騎士の間で通ったシーザの二つ名か何かだろうか……。



「お姉ちゃんの知り合いなの?」

「…………まあ……一応、知ってはいるわ……」



 なんだかとても嫌そうな顔をするシーザ。



「シーザ!お前でいいわ!前の任務の時みたいにオレを守れ!いいな!?とりあえずコッチに来いっ!」



 横暴な振る舞いでシーザに護衛を強要するテイブは更に言葉を続ける。



「いいかっ!?前にオレを庇ってお前が怪我がしたせいでなぁ、オレの見習いから騎士への昇格が無くなるところだったんだぞ!それを公爵であるオレの父親が何とかしてくれたんだぞ!?もう一回オレを守るチャンスをくれてやるからコッチに来いっ!何が王妃直属騎士ジュリアンナイツだ!双剣騎士ツヴァイフリューゲルだ!女のくせに生意気な肩書きしやがって!」



 喚き散らすようにテイブが長々と話した内容はおおよそ自分の預かり知らない件だったが、隣でそれを聞いていたネイナは怒りをその目に宿していた。



「……お姉ちゃん、もしかしてあんな奴を庇ったせいで奇竜花レシベルを発症したの?」

「……そうよ、護衛任務だったからね……親の威光を振りかざすしか能のない見習い騎士が討伐対象のモンスターに斬りかかったんだけど……対象に傷一つ付いてないにも関わらず『倒した』とか言って、あろうことかそのモンスターに背中を向けて勝ち誇りだしたのよ……自殺したいのかと思ったわ……」



 聞けば聞くほど酷い話だ……シーザはそんなテイブでも騎士として守り抜いたのだろう。それなのにテイブの言いようときたら…………頭にくる話だ。



 すると突然、ネイナはすくっと立ち上がる。



「へぇ、そうなんだ…………


ーーじゃあアタシ、アイツちょっとぶん殴ってくるわ、泣くまでなっ!!」



 目が完全にキマっているネイナはおもむろに走り出した……が、シーザが止める。



「はいはい、やめときなさい……あんなのに触ったら汚れるわよ……」

「ーームカつく!ムカつく!ムカつくぅぅうう!」



 涙目で怒れるネイナをヒョイっと小脇に抱えて私のところに帰ってくるシーザに、またテイブは喚き出す。



「おいっ!シーザ何やってんだよ!さっさとオレを守れよっ!上級騎士を倒した奴がオレを襲って来たらどーーすんだよ!なぁっ!オレがどうなってもいいのかっ!」

「……私よっ」

「ーーーーはっ?」

「私がやったのよ」



 シーザは呆れた顔で淡々と答える。



 テイブは意味が分からない、という顔で近くの騎士の目線をやる。すると、騎士の1人が答えた。



「……本当です。轟天騎士アンクス様と天翔騎士エルファー様は……双剣騎士シーザに……やられました」

「……なんだよそれ……アイツそんなに強いのかよ……てか、なんで騎士が騎士倒してんだよっ!反逆じゃねぇのかよ!」

「……今の私は王妃直属騎士ジュリアンナイツはもちろんのこと、この国……アトワイズの騎士団にすら所属してないわ」

「……は?」

「だから……あなたみたいなバカを守る義理なんてもうどこにもないのよ、分かったかしら?」



 シーザは明確な敵意でテイブに睨みを利かせる。



「で、でも、おまっ!お前は!身をていしてオレを守ったよなぁ?オレのこと好きだからだよなぁ!なぁ!?そうだよなぁ!?」



 一体どれだけ気持ちの悪い思考回路をこじらせたらそんな話になるのか理解に苦しんでいると大きく息を吸い込む音がネイナから聞こえる。







『ーーーーっっっっアンタみたいな奴をお姉ちゃんが好きになるわけっっっっないだろうがっーーーー!!!!!ーーーーこんのっ!!………………………………ッッバーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーカッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』





 怒り爆発!っといった感じで轟音の如く罵声を浴びせるネイナ。その声量に1番ダメージを受けていたのは他ならぬ1番近くにいたシーザだった。歪んだ表情で〈耳がキーン〉状態のシーザの小脇に抱えられたネイナは興奮のあまり息が荒ぶっている。



「ーーハァッ!ハァッ!……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」







 少し間を置いて、シーザが話を切り出す。



「と、とにかく今回の討伐遠征は失敗よ。その辺に倒れている騎士や上級騎士を回収してさっさ帰還しなさい。さもなくば…………私が相手になるわ」



 再び、睨みを利かせてテイブを含め残った兵士や騎士達を威圧する。










 すると……







『【ならば私の相手をしてもらおうか、お嬢さん】』




 〈新たな来客〉が声ともに姿を見せた。



 

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