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超集中状態



 森の外までぶっ飛ばすくらいのつもりで喰らわせてやった突きのはずが……どうして……?みたいな表情を浮かべる彼女はその視線を私の後ろに伸ばした。彼女が目の当たりにしたのは今まで生やしてきた木とは太さがまるで違うどっしりとした大木が隙間なく連なる光景だった。



 私にダメージを与えられない以上、ネイナから遠ざけようとするはずだと考えてあえてネイナと自分の直線上に木を生やさずネイナに歩き迫ることで彼女が攻めてくる方向を一方向に絞った。方向を予測出来たら後はタイミングを見て背中に密着するほど真後ろに捕獲用とは太さがまるで違う大木を密にして連続で生やした。実際、彼女の突きは凄まじいものだったが大木が編隊を組んだ壁を背にした私をぶっ飛ばすには至らなかった。



 私の後ろを見て状況を理解した彼女の目はまだ諦めを感じさせない。でもこれ以上は彼女の身体も保たない。強引だがこのまま木で絡め取って拘束させてもらおうとしたその時……ーー



【「妹は私が守る」】



 彼女の囁くような声が聞こえたと思ったら私のすぐ足元に【木の表皮で覆われた人の腕のように見えるもの】がゴトっと落ちた。



「…………は?……」



 それが彼女の右手首を掴んでいた自分の右腕だとはすぐには気付かなかった。


 レイスの身体を形成している木は他と比べてズバ抜けて強度が高く、彼女の身体能力強化後の攻撃でさえ傷一つ付かなかったのに……まさかそれが肘から切り落とされるなんて思いもしなかったからだ。



「これは……」

 これはヤバいっ……。


 

 右手を掴んだと言っても変わらず武器を持った左手はフリーのまま彼女を懐に留めたのが失策だったか。それにさっきから彼女から出る雰囲気が変わったように感じる。スポーツ選手で言う<ゾーン>のような超集中状態に入ったかのようだ。



 右腕が落ちて呆気にとられる数秒の間、彼女の双剣による追撃の嵐を受け続けた。背にした大木がミシミシと音を立てている。



「ーーっっハァッアアアアァーーーー!!ーー」

「ーークッーー!!ちょっ!!……待っ!!……ーー」



 残った左腕を庇うように身体や顔で斬撃を受け続けた。右腕を切り落とされた要因を自身の失策と彼女の能力の高さ以外にも思うところがあったからだ。

 修復したばかりの切り落とされた腕は木として若かったのだ。木は樹齢が高いほど粘りのある強い木になる……と言う話を元の世界で聞いたことある。素人の域を出ないほどの浅い知識だが、今の私は森のレイスであり身体は木で出来ている。少なくとも自分の身体に関しては樹齢による説は自信を持てる。つまり、形だけ修復したところで元の強度にまで戻そうとすると数十年……いや数百年は時間を要する、ということになる。

 それを証明するように庇った左腕以外で受ける斬撃はレイスの身体を切断するに至らない。



「ーーもっと鋭く……もっと……もっと…………」



 <ぶっ飛ばす> ではなく<斬る>に注力していることを呟く彼女から更に雰囲気が漂い出す……。



 嫌な予感がする……。

 修復したものでない……オリジナルのレイスの両腕を消し飛ばした爆発男の出す雰囲気を少し思い出させた。



 ーーまさか!!まだ強くなるつもりっ!?ーー


 ーーだったらヤバいっっ!!ーー



 彼女の出す雰囲気に危険を感じた私は斬撃を受けて視界が揺れる中、彼女と距離を取ろうと前方に木を生やした。あわよくば足でもひっかけて動きが止まればという……期待も少しして。



「ーーーー舐めるなぁっっ!!ーー」



 彼女が声を荒げた直後に少し離れた木に【何か】が当たってゴンッ!という音が響く。


 私は急にバランスを崩してその場に倒れた。



 ーーーー嫌な予感が的中したーーーー



 安易な期待をして生やした木を消えるが如く躱した彼女が私の側面に回って切ったその【何か】は…………。







 太腿の辺りから切り飛ばされた……



 【レイスの右脚】だった。



 


 




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