人類終末機関 其の壱
ぼーっと天井を眺めながら、横に暦があるにもかかわらずそれを見ずにどうにか今日の日付を思い出そうとしていた。
すぐに諦めて横を向く。月末の週の初め、給料日の前日、そして...…...…。
選ばれた少女たちが、この施設に来る日だ。
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給料日が明後日だと気付いたときに、対して喜びも感じなかったのには理由がある。
別に買いたいものがないからだ。
自分以外の職員は最低限だが、給料を消費する系の趣味を持っている奴らばかりだ。
自分にそう言った趣味はない。しいて言えばこの仕事が趣味みたいなものなので、給料をもらっても使い道が思い浮かばない。
「ん~またギャンブルにでもつっこむかなぁ...…」
賭け事は好きだ、ただ依存するほどでもなければ無駄に溶かすほどでもない。
適度に稼いだ金が消えたり増えたりする緊張感が欲しいだけだ。だって増えてもそれで何を買うわけでもない。
目標にしていた高機能寝具は買って正解だと、数年は思えるほどに予想以上のものだった。
逆に言えば最近の高額出費はそれぐらいだし、買ったからと言って貯金がなくなったわけでもない。
「飯とギャンブルと寝具に金を使うだけの人生か...まぁある意味幸せなのかもな」
自分の勤めている企業NCTOこと「国家培養触手機関」は、この世界になくてはならない企業だ。
そんな場所で働いている時点でそこそこの幸せを享受しており、仕事自体も趣味みたいなもので…聞く人が聞けば殴られてもおかしくないほどの勝ち組人生だ。
「でもなぁ…大手を振って誇れる仕事かって言われるとなぁ?」
明後日に迫った搬入日を横目で捕らえつつ、余計な思考を意識の後ろに流していく。
この仕事に誇りは持たない。この仕事にやりがいは持たない。この仕事は決して「善行」ではない。
分かってはいてもそれを「趣味」と言えてしまう自分は十分、この企業側の人間なのだろう。
例えそれが、過去の時代においては倫理観が欠如した行為であっても。
例えそれが、現代においても決して肯定された価値観でなくとも。
「まぁいいや、多分きっと俺は碌な死に方しないだろうけど…うん」
この企業で働く人間は多分全員、地獄逝きの片道切符を掲げて生きている。
倫理観は無い。人類共通の定規は消えたから。
道徳心はない。正しい行動だけで生きていける時代は終わったから。




