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51 エルデランへ直帰する裏技がある?



 日々喜びを求め



 身を厚く養い 世を深く想う



 造物主を尊び 教祖・教団を頼まず



 いずれの別れも 名残を惜しみつつ



 恋慕の道 忌避・厭う心なし



 我、事において後悔せず




 〝 我  事 ニ オ イ テ  後 悔 セ ズ 〟――――――







 中央大陸ナウロパはこの世界の陸地で二番目の広さを持つ。

 もっとも広大なのは北部大陸だが、魔王・ベルクサタナの出現によって最大の版図を誇ったロッシィナ公国を始め、現時点では多くの人間《ヒューマン》の国々やデミの棲む集落が滅ばされてしまったと考えられている。


 現在、勇者一行が現地へ乗り込み戦闘状態に入っているらしい。事実かどうかは分らない。 だがいま吟遊詩人たちは魔王軍との一進一退、手に汗握る攻防を吟じの主題に据えている。


 コロンポル到着からはや3日。


 いよいよビクセン郡への到着を目前に控え、俺たちはこのコロンポルで準備を整えるための買出しに市場を訪れ、後すぐに次の目的地へ出立するつもりでいたが、ギルドからの呼び出しが宿まで急遽もたらされた。

 さらに宿の主人によれば、間もなくこの地で盛大な祭りが行われるらしい。

 見ていかなければ絶対損、とのコトだ。


「 お客さん。今出発って、トンカツ頼んでキャベツだけ食って帰るようなもんです! 」


 なんでも先代勇者とその追従者たちを顕彰し、鎮魂するため行われるようになったらしい。そういえば前回の勇者パーティーって、確か九十年ほど前に魔王と刺し違える形で全滅したと記憶している。

 ウルがお祭りに興味津々みたいだったから、いま少し出発を日延べすることにした。

 そしてシェスは先日訪れたカン・パネロ創造主教会にビクセン郡へ発つことを報告したところ、選別を渡し壮行したいという神官長からのお達しを受け、今日は別行動だ。


 任地から追放された上に古巣からも左遷では、さすがに憐れに思ったのか?


 まあ本当の所は泣きごと一つ入れず、あっさり次の行動を決めて報告に来た彼女の毅然とした姿勢が意外で、拙速な決定を恥じてるのかも。


 (「そういえばさ、師匠。前にパレアンヌ村でシェスと初めてあったときした会話の中で、グリムローディアス帝国が魔導師を大勢集めて、異世界《エルデラン》とこの世界を繋げようとしているって言ってたでしょ」)


 (『ああ、確かに。それがどうかした?』)


 (「もしその魔法がうまくいって向こうと行き来できるようになったら……ホタカも帝国へ行って扉をくぐれば、簡単に帰れるんじゃないの? 故郷へ」)


 (『そうだな。でも俺が身一つの状態で行動していた頃ならともかく、今はキミの体に間借りしている状態だ。このままでは……現状では、帰ることは無理だな』)


 (「ボクはかまわないんだけど。ホタカと一緒なら」)


 (『いや、だめだ。連れてはいけないよ』)


 (「どうして!?」)


 (『向こうはキミが生きてゆけるような所じゃない。ふさわしい場所でもないからさ』)


 (「ボクの体にはいったままじゃ、帰りたくないんだね…………」)


 (『いや、そういう事じゃない。…………そもそも向こうはね、亜人や獣人というたぐいがまったく居ないんだ。ヒト以外の種族が。……そんな世界へ、キミを連れて行けるわけが無いじゃないか』)


 (「………………」)


 ――いけない。久々にウルの心がたそがれモードに入ってしまったか? ケアしなくては!


 (『まあ、その実験が成功するかどうかも分らない段階じゃ、どうしようもないさ。それに頼めば帝国がすんなり通してくれるかどうかも怪しい。もしかしたら異世界への門を開く話し自体、デマ情報かも知れないしさ』)


 (「……そうかなぁ」)


 (『そうさ。やはり獲物をすべてコンプリートして帰る正攻法が、一番現実味あるよ。それに俺としても、しばらくはキミと一緒に楽しい旅を続けていきたいからね』)


 (「うん……そうだね。ボクだってずっとずぅ~~~っと、ホタカ師匠と旅がしたい!」)

 

 (『あ、ああ……』)


 ――おや?! なンか俺の発言と微妙に異なっているみたいな(熱量が)……まあ、いいか。


 (「だけどギルドからの呼び出しって方はさ、いったいなんだろう?」)


 (『知らんな。聞いてみない事には……』)


 (「まさか、払った報酬が多すぎるのが分ったとか言って、返還を求められたりとか」)


 (『それは無かろう。そうだとしても、一旦もらった物を返すもんか。断固、拒否だな』)


 昼前頃、ギルドにやって来た俺(たち)は直ちに用件を尋ねたが、内容は意外なものだった。

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