46『"正体"』
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『今来た、つーか、いま配信始まったばっか?』
『東京えぐい事になってるやん……』
『東京のテレビ局が壊滅したり、現地民が大体魔獣に食われてたりするかなんとかで、全然情報が入ってこない』
『ホワイトと勇者と、あと誰? 研究所の職員の人たちか!』
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配信を付けるとすぐに、どんどんと視聴者数が増えていった。どうやら現在、東京の壊滅的な部分で配信している人は僕だけらしい。
他の配信者たちやら人がやっていない理由を言う必要はないだろうが。
視聴者数:485600
48万人もの人が僕の配信を見ているのだ──凄い数で溢れる。
多分この中には、僕のファンではない人も多く含まれているだろう。東京にいる連絡のつかない家族の安否が気になる人だとか、東京の情報収集の為だとか。
きっと理由は様々だ。
「この視聴者数は記録更新だよ、全く嬉しくないけどね」
「そりゃそうよ」
黒町と目で会話しつつ、視聴者に説明していく。
「取り敢えず東京は大変な事になっている。所々で火災が起きて、黒煙が上がっている」
スマホのカメラで、周りの光景を映す。死体など配信では映ってはいけない物は極力映さない様にして……というか、絶対に映さないようにして、続けた。
「僕たちはこれから原因を突き止めに行きます」
「みんな、無事を祈っていて頂戴」
「そういう事で頼む」
視聴者数の増加が止まる気配は見えない。
「じゃあ行くぞ、ホワイト」
黒町が合図する。
配信する前、すべき事については確認したのだ。
僕に配信をしろと命じた最強頭脳の考え───それは、"あわよくば証拠の確保をするため"。
国指定冒険者が襲ってきた時の証拠づくりだ。
更には配信プラス録画もしている為、配信アーカイブを消されたところで意味はない。
それから、表立って配信をすることで、逆に奴らの強襲を防ぎ、この緊急事態解決に全力を注げるのだ。
ともかく、と。
「やってみるしかないよな」
僕は体を大きく振って、握りしめたダガーナイフを振り翳す。
──空気の斬撃を生み出し、
それは目の前に聳える火山を根本から少し上、横真っ二つに切断した。
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それは配信を始める前、
最強頭脳は言っていた。
東京で突如起こったダンジョンの魔獣が地上で暴走する事件、事故は……北海道で先日起きたものに酷似していると。
やはり僕の勘は正しかったようだ。
つっても、こんなのは一目見れば誰でも考察し得る程度の低いものだが。
そして、彼は続けて言った。
北海道では既に魔獣の暴走は収まっており、原因解明はまだだが、──事態を収束させる鍵は決まっている、と。
それは、
この天災を起こした『特定の魔獣』を殺すこと───である、と。
最強頭脳である彼は僕たちに説明してきたのである。
「特定の魔獣一体を殺しちまえば、地上に出てきた魔獣は消滅する……ソレがオレの考えであり、様々な所からの情報収集した結果っーわけだ」
「なるほど?」
「理解してねぇな、おい? 確認されている情報だとな、北海道の事件において他の魔獣を遥かに上回る強い魔獣が一体確認されており、ソイツを殺すのだけに千人弱が犠牲になったそうだ──」
……なるほど。
「そいつをようやく倒したら、どうなったと思う?」
「いや、僕のことをどれだけ馬鹿にしているんだ? それぐらいは分からないぐらいには、分かりきっているよ。えーっと、ああ、うん。ほら……地上にいた魔獣が全部消滅したんだっけ?」
「そう」
だが、
と続ける。
「だがな、それだけじゃねぇ。ソイツを倒したことで───北海道にあった未攻略のダンジョンたちが、あらかた消滅しちまったのさ」
絶句。
「……そ、それって本当のことですかっ!?」
先に秋元が声をあげた。
「まぁ確認されている限りでは、そうだ。それとオレの頭ん中での演算処理結果でもそうだな」
つまり、それは正しいと同義である。
「つまり、だよ。今回暴れた主をぶち殺せば……全部解決っーことな」
──打開策というか、僕たちに出来る事は見つかった。分かった。
「何か思い当たる魔獣と会ったか? お前ら」
だが思い止まる節がある……その原因は分かっている。今回暴れた主というのは間違いなく、あの炎の男だろう。
そうに決まっていた。
アイツだけ確かに力が違ったし……。
だが、奴は三宮と同じネオイロスの子であった。
それこそ、僕が奴を殺そうとすることに乗り切れない1番の原因であった。
……三宮は普通の奴でいい奴だ。
というか人間と何も変わらない。
包帯野郎も最初は襲ってきたけど、あれはフリで僕たちを殺す気はなかったらしいし……。
ならば、あの炎の男もそうなのではないか?
どうしても考えてしまう。
「会ったわ、会った。……なんか全身から炎を出している長髪で赤髪の男で、喋れて、更にシロサトの攻撃を何発も耐えるし」
更に補足する。
東京へ火山のダンジョンを転移させるし、明らかに他の魔獣たちとは格がちがう。
生物としての格が違う、と。
僕が言い止まっていると、秋元に先制されてしまった。
「ふぅん、ダンジョンを出現させた……ね。おい、辣腕。お前の兄弟か?」
辣腕というのは、国際ダンジョン研究所において階位研究者に与えられる──異名だ。
辣腕は、三宮旅路のソレであったはず。
んなことよりもだ。
「違うのじゃよ。三人目はまだ遠くにおる」
僕は三宮の発言を聞いて、また困惑させられることになる。
思わず口が開いた。
「三宮、それは本当なのか?」
「本当じゃよ、ワッシらの力は嘘をつかん」
「──でも、僕はその炎の男から聞いた。ネオイロスの子だって……」
そうすると矛盾が生じる。
ああ、もう訳が分からなくなってきた──。
そんな低スペックの僕に、最強頭脳は単純な答えだよと教える。
「ハッ、良いじゃねえか後輩。ナイスだ。これで答え合わせ終了ってわけ」
「どういうことさ」
「単純明快、矛盾? 違え、その炎のなんちゃらが嘘をついているだけだ。それから喋れる。そんな嘘をつく理由は更に簡単だろ」
俺たちを騙して、正体を錯乱するため。
奴の奥にいる敵を感知させないため──と語る。
僕たちにソイツは騙る。
かったるい話だった。
「……」
「じゃが、確かに感じるな。ワッシら以外の同じ気配がの」
意外だった。
そんな性格だとは思っていなかったが……三宮は苛立つように、聳え立つ火山に目を向けた。
ネオイロスの子ではなく、しかし同じ気配?
「決まりだな」
「は、え?」
僕はまだ困惑していた。
置いてけぼりにされている……っ!
「つまり俺たちの標的は、その炎の男ってわけで。
───ソイツはネオイロスとは違う、いや、敵対する…… また"別の神の共同体"(こ)つーことだ」
「というと」
そーいうことか。
ようやく分かった。分かりきってしまった。
「いま、こんな大々的に何度も力を行使し、北海道で東京で……なんて力が有り余ってる奴なんて一人だ」
「そうか」
「えっと、城里たちは何を言ってるの?」
今度は秋元を置いていきぼりにし、僕と最強頭脳だけ合点いった。
そういうことである。
相手は神の子であって、その先にまだいるのだ。
───それこそが、
僕の狙う……この世界においての唯一神にして、
最後の神であった。
そしてまず今回倒すべき相手は、最後の神の共同体であったという訳である。




