四時十五分
奥さまの話した通り、義男くんと清さんが揃って屋敷へ戻ってきた。二人は別室で着替えを済ませてから大広間に戻ってきた。それから二人にこれまでのことを話した。
話をしたのが奥さまだったというのが良かったのだろうか。話を聞く間、清さんは黙って素直に耳を傾けていた。午前中のように感情的になるということが一切見られなかったのである。
「じゃあ、今度はぼくが話します――」
清さんが切り出した。
「まず捜索の方ですが、ひとり見つかりました。首山の頂上です。神楽殿の舞台の上に首のない死体があったんです。村長さんと二人で見つけました。誰かは分かりません。三姉妹のうちの誰かです」
そこで一旦、清さんの言葉が途切れた。これで三姉妹のうち二人の死亡が確定された。重たい空気がその場を圧迫する。清さんがふたたび口を開く。
「首山の上はすぐに捜し終わりました。それから村長さんと昼過ぎには山を下りて、真っ直ぐ牧場へ向かいました。牧場へ着いてからは村長さんと別れて捜すことにしました。それで三時ごろに雨が降ってきたから、そこで一旦、牧場の干し草小屋に行ったら、そこにちょうど義男くんも雨宿りしていて、大雨が止んだのを契機に一緒に屋敷へ帰ってきたんです。牧場の方は何も見つかりませんでした」
それから義男くんの方を見る。
「義男くんの方も何もなかったよね?」
清さんの問い掛けに、義男くんが頷いた。
「あの――」
思わず美千代が尋ねる。
「村長さんと佐橋さんは? 牧場で一緒にならなかったんですか?」
他の者の安否を知るための質問だ。
「見掛けませんでした。牧場ではみんな別行動だったので、義男くんとも雨が降らなければ会わなかったと思います」
清さんが丁寧に答えた。
午前中とは感じが違う、と思う美千代だった。特に奥さまの話を聞いてから、雰囲気が変わったように感じる。午前中は見るからに激しやすい性格に見えたが、今は萎れてしまった印象だ。午前中よりも、今の方が何を考えているのか分からないように感じるのだった。




