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朝起きたら、宇宙征服者の姫になってた!  作者: 七月 夏喜
第6話 征服者より愛を込めて
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その4


「おい、みんな! 面白いもの見つけたぞ!」


 クラスの男子が、関口と全く同じように教室に飛び込んで来る。


「な、何だよ急に。驚くじゃないか!」


 男子は片手に持っていたタブレットを掲げた。彼は音量を上げる。液晶画面に、動画共有サイトの映像が動いていた。


「なんだそりゃ?」


「地球がやばいって話! ライブ映像だぞ!」


 画面では、年老いた老人が英語で身振り手振りで話をしている。自動翻訳の字幕ボタンを男子が押した。『私は、独自の宇宙研究所で、地球危機管理研究を続けているトラン博士です』と、画像の下部に文字が流れる。


 その指さす方向に楕円が二つ。円には小さな点が描いてある。一つは地球。もう一つは、茶色の岩。それが、ゆっくりと回っていた。そしてそれは、ある場所で一致する。


『これは計算上でありますが、昨日から観測された隕石の軌道です。これから言えることは、間違いなくこの隕石は地球に到達するということです』


 映像の一致する場所が、オレンジ色に点滅した。カオスと関口は沈黙して聞き耳をたてる。


『この隕石は現在の計算上、推定直径四百キロ。ここに辿り着くまでには質量は変わるものと思われます』


「四百キロ!!」


 思わずカオスは素っ頓狂な声で叫んだ。周囲の誰もが、クールな面しかなかった男の表情に驚く。


『つまり、この事態は回避できず、人類は未曾有の危機に直面しました。直径百キロの隕石が衝突した場合、人類が生き残る確率、いや、ありとあらゆる生物が生き延びられる可能性は、ゼロパーセント。もはや宇宙以外、逃げ場所などありません』


「おいおい、ここまでくると信用出来なくねえ?」


「NASAは知ってんのかよ、これ」


「あれだよ、SF洋画の宣伝。プロモーションビデオか凄い素人作品!」


「イベント用かなんか? 結婚式とかに使われるやつ?」


 一人の男子が言い放つと、次々に文句が教室を埋め尽くした。通常の理解を超える出来事は、日常生活に不要な情報としか取れなくなる。創作物扱いになっていた。


「何よ、最近流行ってんの、これ?」


「これってライブだって」


 女子から笑いが起こる。


「馬鹿らしい」


「いい年老いて、目立とうとしているだけじゃね」


 教室は嘲笑と失笑の嵐で湧いた。



『地球生物の運命は、もはや無い……』


 台詞に飽きたクラスメイトたちは、次々と自分の机に戻っていく。


『これからは神のみぞ知る世界です。私たちは祈るしかありません、奇跡を。これから先は一番大切なひとと過ごしてください。記憶に残る出来事を……』


 突然、身を乗りだしたカオスは、男子生徒からタブレットを奪い取る。そのまま液晶画面を凝視した。


「……姫」




「一ノ瀬君と関口。地球の大変なことって、このことだったの?」


 早紀は小声で問いかける。二人は口を噤んだ。


「本当、なの……」



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